泥棒少女の職業はまさかの!
神崎はまだ幼い泥棒を警察署に連れてきた。
大人しく取り調べ室の椅子に座る少女。
「名前は?」
なるべく優しく聞く。
「しのやまき」
「漢字はどう書くの?」
「漢字書けない」
その発言に神崎と調書をとっていた相良が目を合わせて互いに驚いた。
「えっ、学校は?」
「行ってなーい」
「何歳?」
「14」
「まだ中学生じゃない」
「お家の人は何してるの?」
「お父さんは失踪中、お母さん病んで寝てる、妹はまだちっちゃい」
いわゆるヤングケアラーというやつか?
「何か身分証はある?」
そう言うと少女は保険証を出してきた。
相良が名前と住所を記録する。
「学校行かないで何してるの?」
「海賊刈り」
「「…」」
二人はまた顔を見合わせた。
切り替えて窃盗について聞き始める。
週刊誌を読んでいた男性に少女は貸してと言ったと言う。
だが了承する前にとってしまったため、通報されたのだ。
「なんでそんなに早く読みたかったの?」
「しーらない」
急にそっぽを向く少女。
そこに上司の近藤が入ってきた。
通報した男性が少女の年齢を聞いて許すと言ったのだ。
「じゃあ、帰っていい?
ご飯作らなきゃ」
そう言って少女は調書を取り終わると帰っていった。
「あの子、海賊刈りだろ?」
近藤が神崎に聞く。
「そうですけど、ご存知なんですか?」
「海兵の友達がいつも海賊とられるって嘆いてた。
相当、強いらしい」
「じゃあ、お金には困ってないのか…」
「ん?」
「彼女、ヤングケアラーで世帯収入源みたいなんです。
何かできることないでしょうか?」
「我々にはないよ。
まあ、民間の団体に報告だけしとけ」
「はい…」
神崎と相良はもどかしい気持ちになっていた。
それから3日が経ったとき、ある海賊が麻薬の密売もやっていたという噂が入ってきた。
捕まえたのはあの子だった。
「あー!」
相良が急に大声を出す。
「どうしたの?」
「これ見てくださいよ」
それは少女が盗んだ週刊誌だった。
そこには海賊が麻薬の密売に関与しているという内容が書かれていた。
「懸賞金跳ね上がるぞ。
下手すると倍だ!」
近藤は少し興奮した様子だった。
「でも、あの子が負担にならない生活を送ってもらいたいです」
それがみんなの願いだった。




