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26話 キャラ変


 イーギス様の胸を押すと、距離が離れる。テレサさんを見ると、黙々と作業を進めていて居たたまれなくなる。私はイーギス様の腕の中から逃げ、テレサさんに駆け寄った。


「すみません、」

「謝らなくていいのに」


 テレサさんが苦笑して私に言う。私は肩を竦めた。イーギス様の視線が私に向けられる。私は気にしないように、手を動かした。


「ナターシャ」


 イーギス様が私の名前を呼ぶ。甘く低い声にドキンと心臓が高鳴る。


「イーギス様、気が散りますから呼ばないでください」


 私は心を鬼にしてイーギス様にお願いする。イーギス様は私の腕を引っ張って、ベッドに押し倒した。全然仕事に集中できない。どくどくと鼓動が速くなる。


「テレサさんが、」

「関係ない」


 手首を押さえつけられてイーギス様が私を見下ろす。


「イーギス様、」

「ナターシャは俺付きの侍女なんだよね?俺の遊び相手になってよ」


 イーギス様は私の首筋に吸い付く。お、俺……?イーギス様の色気に眩暈がする。まるで、私が知ってるイーギス様になったみたいな……。


「イーギス様、清掃しないと」

「テレサがいるから大丈夫」


 全然大丈夫じゃない。だけどイーギス様は私の額に、頬に、鼻にキスを落とす。私は耐えきれなくて、口を手で覆う。


「イーギス様、やめっ」

「やめない」


 イーギス様が私の手に吸い付く。恥ずかしくて、私は目を瞑った。


「可愛い」


 イーギス様の手が私の頭を撫でる。大きくて温かいその手に、きゅんとする。イーギス様は私の額にキスをして離れた。


「イ、イーギス様……どうして?」


 どうしていきなりキャラ変なんか……。私の言葉にイーギス様はフッと笑う。


「気分転換?」


 曖昧に返事するイーギス様、絶対そうじゃないってことはわかる。イーギス様はほうきを手で指した。


「仕事続けてどうぞ」

「……わかりました」


 フンッとほうきを掴んで、部屋を掃く。テレサさんを見ると、テレサさんもさすがに恥ずかしかったのか耳を赤くしていた。イーギス様が変わった理由……、心当たりがあるといえばあの本かもしれない。イーギス様ももう読んだのだろうか。フローラに好かれるために頑張ってキャラ変したんだとすれば、悪いことしちゃったな。


「イーギス様」

「何?」


 楽しそうな顔で私に目を向けるイーギス様。可愛いイーギス様も今のイーギス様も、私はどっちも好きだけど。


「かっこいいです」

「っ、」


 フローラと恋するなら今のイーギス様の方がいいだろうから。私の言葉にイーギス様が口を押える。髪の隙間から見えるイーギス様の耳が赤くて、やっぱり可愛いところも残ってるなと安心する。


「ナターシャはずるいね」

「え」


 今の会話で何がずるかったんだろうか?イーギス様は布団を被ってベッドに横になる。私は気を取り直して部屋の清掃を再開した。


「お2人は仲が良いですね」


 テレサさんが微笑む。私は頬を掻いた。


「イーギス様は、推しなので」


 自惚れかもしれないけど、イーギス様も私のこと嫌ってないとは思う。だから、仲良く出来てる今がとても幸せで大切な時間だった。

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