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24話 好きなタイプ


「フローラ様の好きな男性ってどういう方なの?」

「お、おい何聞いてんだよ」


 私の質問にセリが慌てる。フローラも赤面して、え……と固まった。


「フローラに聞いてどうすんだよ。男でも紹介するのか?」

「もし該当する方がいるならそれでもいいですわ。でも単純な興味本位です」


 イーギス様を紹介するなんて言えないから。私の言葉にセリがため息を吐く。


「くだらねぇ。いきなりなんだよ」

「言ったでしょ?恋バナしたことないって。憧れてたんだもん」


 前世だって恋愛とは縁遠すぎて、恋バナしてる友達を羨ましく眺めていただけ。


「ナターシャ様は?」

「ナターシャはイーギス様だろ。婚約者なんだし」


 フローラが私に聞いて、答える前にセリが口を挟む。


「好きなのはイーギス様ですけど、私にも好きなタイプはありますわ。紳士で女性の扱いに慣れていて、いつも余裕そうな笑みを浮かべる。そんな男性素敵じゃない?」

「素敵ですね!婚約者の方もそうなんですか?」


 私の言葉にぽーっとフローラが頬を染めて尋ねる。


「イーギス様は可愛らしい方よ」

「かっこいいって言ってほしいな」


 頭が重くなり、聞き慣れた声が聞こえる。セリとフローラが驚いた顔をした。


「イ、イーギス様!?」

「僕に内緒でバームズ侯爵子息に会いに来たの?」


 何で?セリに会うことイーギス様に言ってないのに。


「お前、言ってないのかよ」

「私はフローラに会いたかったから、言う必要ないと思ってて」


 まさかこんなに早く、イーギス様とフローラが出会うなんて思わなかった。私はイーギス様とフローラの顔を見比べる。お互いどう思ったのだろう。


「ナターシャがどうしてるかなんて、使用人に逐一報告させてたからね。手紙でやりとりしてるのも知ってる」

「え、そうなんですか?」


 そんな気配全く気付かなかった。それを知ってて今まで泳がされてたというのか。


「で、それがナターシャのおすすめの本?僕にも見せて」

「は、はいどうぞ」


 フローラが戸惑いながら本をイーギス様に渡す。パラパラと捲って、イーギス様はフローラに本を返した。


「題名は覚えたから、僕も帰ったら読むことにするよ。恋愛小説みたいだけど、ナターシャはこういう男が好きなの?」

「え、ええ。そうですわね」


 ゲームに登場するイーギス様に似てるから。イーギス様が私の手を掴んで立ち上がらせる。


「今日は帰るよ。また会おう、セリ。フローラ」

「あ、ああ」


 イーギス様!と名前を呼ぶけど、イーギス様は私の手を引っ張ってすたすたと進んでいく。まだフローラとあまり話せてないのに。でもまぁ、あの本を渡せただけで今日は十分かな。


「イーギス様、フローラ可愛かったですよね?」

「そう?」


 馬車に乗り込んで、イーギス様はようやく手を離してくれる。正面に座ろうとしたら、イーギス様に腕を引っ張られて膝に乗る形になった。


「イ、イーギス様?」

「僕はナターシャの方が可愛いと思うけどね」


 にこっと笑って言うイーギス様に裏があるんじゃないかと思える。確かにナターシャは美少女だけど、ヒロイン補正のあるフローラの方が異性からは可愛く見えるはずだ。だけどお世辞にも浮かれそうになるほど、私は浮かれていたのかもしれない。

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