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22話 再婚


 私とイーギス様は一緒に遊んだり話したりしながらお互い10歳になった。それとなく何度もグランドル公爵には再婚しないように伝えてたけどうざがられていて、私の立場もやばいなぁと思った頃にその知らせはやってきた。


「あの馬鹿親父!!」


 その手紙を破り捨て、私は地団太を踏む。グランドル公爵が再婚したとの知らせだった。相手は連れ子が2人いる母親で、シナリオ通りの展開に怒りがこみあげてくる。こうなったら私のやることは一つ。


「お父様!私をイーギス様の侍女にしてください!」


 お父様の部屋で土下座をして懇願する。お父様は深くため息を吐いた。


「ナターシャ、まだそんなことを考えていたのか。ナターシャはイーギス様の婚約者だ。侍女になる必要はないよ」

「でも、私のずっと夢だったんです!」


 今、グランドル公爵邸に居座らないとイーギス様の居場所がなくなる。私は額を絨毯にこすりつける。


「ナターシャ、何故お前は侯爵令嬢に生まれたのに侍女になんかなりたいんだ」

「イーギス様の幸せのためです」


 なんて、半分は私がイーギス様をもっと近くで見たいからだけど。お父様は頭を抱え、首を横に振る。


「お父様、イーギス様はきっとグランドル公爵の再婚で肩身の狭い思いをされていますわ。私にはそれが耐えられないのです」

「……お前がイーギス様のためを思う気持ちはわかった。だが……」


 私は書斎の机に両手を置いて、跪く。


「お願い、お父様」


 お父様はなんだかんだ娘に甘いから。私の言葉にお父様はまた深くため息を吐いた。


「わかった。今以上に花嫁修行を頑張るなら、グランドル家に頼んでもいい。ただし、侍女としてじゃなく婚約者として」


 とりあえず何でもいい。イーギス様の家に居られるなら。


「ありがとうお父様!」


 私は立ち上がってお父様に抱きつく。


「全く、最近のナターシャは令嬢らしくない。一体誰に似たんだか」

「あら、私は私ですわよ」


 おほほほほ、と笑って書斎を出る。グランドル家に行ったら侍女になれるようお願いしよう。イーギス様ならきっと面白そうだねって了承してくれる。私は早速筋トレを始めた。再婚相手の家族に勝てるように。イーギス様は絶対に私が守る。午後になって、私は出掛ける準備をする。今日は予定があるのだ。


「ナターシャ様、イーギス様もいらっしゃるんですか?」

「私だけよ。このことは誰にも内緒にして」


 キャシーに言われ、釘を刺す。キャシーは複雑そうな表情をした。


「ナターシャ様、婚約者がいる身で他の殿方と会うのは……」

「これもイーギス様のためなのよ」


 ドレスの中でも比較的動きやすそうなドレスを選んで屋敷を出る。セリとは何度か手紙のやりとりをしていたが会うのは久しぶり。だけど、フローラにあってイーギス様を選ぶように仕向けないといけないからそろそろ動かなきゃね。


「ナターシャ様、」

「私はセリの幼馴染に興味があるの。美少女らしいわ」


 心配そうにするキャシーを放って馬車に乗り込む。フローラに見せるための小説も持って。寡黙なイケメンが流行るこの世界で、チャラい男子がヒーローの恋愛小説を探すのはなかなかに大変だった。これをフローラに見せればきっと、イーギス様に憧れを抱くはず。それを信じて私はセリの家に向かった。

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