表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

15話 未来


 首を傾げるイーギス様の前で私は俯く。どこぞの転生もののヒロインみたいに、私は役目を忘れそうになっていた。イーギス様といる日々が幸せすぎて、イーギス様とフローラが結ばれても私も平穏な日々を送れると思っていた。


「ナターシャ、幸せになれないってどういうこと?」

「……なんでもありませんわ」


 イーギス様には言えない。この先の未来も、私の正体も。私は立ち上がって、帰ろうとする。イーギス様が私の手を掴んだ。


「ナターシャ、僕がナターシャを世界一幸せにするよ」

「イーギス様……」


 イーギス様が私の手を引っ張って、振り返るとイーギス様と目が合う。


「イーギス様は他の方と幸せになるんです」

「何で?何でそんなこと言うの?」


 吐き出した言葉に胸がずっしりと重く感じて締め付けられる。イーギス様が眉を顰めた。


「そばにいるって、あれ嘘なの?ナターシャまた嘘ついたの?」

「嘘ついてません。だけど……」


 イーギス様が私から離れる日が来る。今は何を言っても伝わらないだろう。私は唇を噛んで俯く。何で今思い出してしまったんだろう。イーギス様が私の手の甲にキスをする。


「ナターシャ、僕から離れないようにしてあげる」


 にやりと笑って、イーギス様が上目遣いで私を見る。子供らしい宣言に可愛いって思ってた私は知らなかった。この時すでに私の思う方向から道が逸れていたことを……。


「ナターシャ、他の遊びしよ」

「はい」


 イーギス様がトランプをシャッフルして、配り始める。今日初めて触って、見ただけでシャッフル簡単に出来るようになるなんてやっぱりイーギス様は天才だなと思った。でも部屋の遊びもレパートリー少なくて飽きてきたし、職人さんに頼んでバドミントンも作ってもらおうかなと思った。イーギス様と色んなことして遊びたい。もちろんフローラとの恋を応援するけど、本編が始まるまではまだイーギス様と遊んでていいよね?


「イーギス様」


 配り終わって、カードを整えるイーギス様の名前を呼ぶ。イーギス様は顔を上げてきょとんとした。


「私は今、十分幸せです」


 この世界に来て、イーギス様に出会えて今までにないくらいの幸せを感じてる。私の言葉に、イーギス様が笑った。


「よかった」

「はい」


 このイーギス様の笑顔を守りたい。ゲームではほとんどイーギス様は笑わなかったから。私もカードを整えて、イーギス様に大貧民の説明をする。もちろん、言い方は大富豪に変えたけど。私の地域では大貧民呼びだったんだよね。


「これ、2人でやって楽しいの?」

「お友達、欲しいですわね」


 使用人の方たちはそれぞれの仕事で忙しいだろうし、2人でやる遊びにも限界がある。イーギス様に言われて、私は苦笑した。


「じゃあ、今度の誕生パーティーで作ろう」

「誕生パーティー?」


 イーギス様の誕生日もナターシャの誕生日もまだ先だった。首を傾げると、イーギス様が目をぱちくりさせる。


「忘れたの?第三王子の誕生日だよ」

「そうでしたわ!」


【麗しの花姫】の正規ルート、第三王子のレオンハルト。この年でレオンハルトとも出会うのか……。誕生パーティーってことは、きっと他の攻略対象もいるよね?もちろんセリも。もちろんイーギス様一筋だけど、ゲームのファンとしては他の攻略対象に会うのも楽しみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ