Prologue
「イーギス様!イーギス様の愛する人は他にいます!」
ドレスを持ち上げて全力で走る私を、イーギス様は追いかけてくる。人生の最推しに追いかけられるこの状況を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。だけど私はヒロイン×イーギス様のカップリングが見たいのだ。
「ナターシャ、何でそんなことを言うんだい?」
私が居てもお構いなしに女遊びをしてたから安心しきっていた。イーギス様の腕が私に伸び、抱きしめる。じたばた暴れても、力強いイーギス様の腕の中からは逃げられやしない。
「俺がどれほどナターシャのことを愛してると思ってるんだ」
私の首元に吸い付いて、イーギス様が愛を囁く。私はイーギス様の幸せのために、フローラと結ばれてほしいのに。甘い言葉に揺らいでしまう。
「イーギス様、私は悪役令嬢です」
「ナターシャは俺のフィアンセだ。お願いだから、どこにも行かないで」
最近のイーギス様からは想像つかないようなか細い声に、私はイーギス様の方を向く。美しい顔、深い紺色の瞳、長いまつ毛に白い肌。一つ一つが私の大好きなイーギス様そのもので。
「ダメですって」
だからこそ幸せになってほしい。私は心を鬼にしてイーギス様を突き放す。イーギス様、私の一生のお願いです。
「誰よりも幸せになってください」
それがファンの、1番の望みなんだから。
2作目でございます。最初2週間だけ毎日投稿して、その後週3くらいの頻度で投稿できたらいいな〜と思っています。完結までよろしくお願いします。




