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バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件  作者: 沢田美


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19/30

夏休み前のテスト勉強

白瀬さんと共に、僕は『ヒーリング』の一番くじを引いた。

 結果は下位賞だったが、僕も彼女も推しのグッズを手に入れることができたため、結果オーライだ。

 僕はスズミのアクリルキーホルダー。

 白瀬さんはケンヤのアクリルスタンド。

 満足そうに戦利品を眺めている。


「有馬っち、付き合ってくれてありがと!」


 白瀬さんがケンヤのアクスタを掲げて、嬉しそうに言った。

 その笑顔が、とても眩しい。


「いえいえ……それより、僕、ビックリしました」


「――なんで?」


 白瀬さんが、不思議そうな顔をする。


「いや、その……今日、避けられてる気がして……」


 頬を掻きながら、今日のことを思い出す。

 朝、挨拶しても無視されたこと。

 顔を合わせてもらえなかったこと。

 話しかけても、素通りされたこと。

 あの時の、胸が締め付けられるような感覚。


「あ、それは……ね」


 白瀬さんが、どこか照れているような顔になる。

 頬が、少し赤い。


「だって……さ? 有馬っちを見てたら――意識しちゃうから」


「――ッ!」


 心臓が、跳ねた。

 そうだったのか……。

 僕だけじゃなかったのか。

 白瀬さんも、僕のことを意識していた。

 告白のことを、忘れられなかった。

 今日の一日を、振り返っていく。

 白瀬さんが避けていた理由。

 それは、嫌いになったからじゃない。

 意識しすぎて、顔を合わせられなかったから。

 どうやら僕の告白が、ここまでの影響を出していたことに、僕は内心驚く。

 でも――

 嬉しい。

 すごく、嬉しい。


「な、なんだ〜。てっきり嫌われたのかな、って思いました〜。アハハ」


 僕が本心を、笑いながら漏らす。

 一緒に歩いていた彼女が、立ち止まる。

 そして、真剣な顔で――


「ならないよ。私が有馬くんのこと、嫌いになんてならないから」


 予想外の白瀬さんの言葉に、僕も真面目な顔になる。

 白瀬さんの目が、真っ直ぐ僕を見ている。

 嘘じゃない。

 本気で、そう言ってくれている。

 数秒の沈黙が続いた。

 夕方の街の雑音だけが、聞こえる。

 そんな沈黙を破るように、白瀬さんは笑った。


「それに――答えを、まだ言ってないからさ!」


 白瀬さんが、いつもの笑顔に戻る。


「それまで、付き合ってよ! 有馬っち!」


「はい!」


 僕は、力強く頷いた。

 僕があの日、白瀬さんに伝えた告白は、確実に影響が出ているらしい。

 そんなことを実感しながら、僕も白瀬さんにつられて笑った。

 やっぱり、白瀬さんといると、今まで経験できなかったことを経験できる。

 ドキドキする。

 胸が温かくなる。

 笑顔になれる。

 そんな気がした。

 いや――

 気がするんじゃない。

 確信している。

 白瀬さんといると、僕は変われる。

 もっと、成長できる。

 だから――

 答えが出るまで、待つ。

 何年でも、待つ。

 その覚悟が、また少し強くなった気がした。


 ※


 翌日。

 朝のホームルーム。

 

「今日から1週間、テスト期間に入るからな!」

 

 前澤先生の声が、教室に響く。


「夏休みに補習を受けたくないやつは、この1週間、勉強しておくように!!」 


 そう言って、前澤先生は黒板を叩いた。

 バン、と大きな音。

 教室が、一瞬静まり返る。

 そして――


「「「えええええええ!!」」」


 悲鳴が上がった。

 テストか……。

 この前の学年順位は、そこまで悪くなかったから、今回もマイペースで行けばいいか。

 そんなことを思いながら、ホームルームが終わった。

 ホームルームが終わると、周りのクラスメイトたちの悲鳴や嘆きが聞こえてくる。


「どうしよう!? 全く勉強してねぇよ!」


「今回は赤点確定だァァァ!」


「誰か助けてくれええええ!」


 絶望しているクラスメイトがいる中、僕は少し優越感に浸っていた。

 なぜって?

 僕は前々から勉強していたからだ!!

 余裕を持って戦に向けて準備する――それが武士の心構えだ!

 そんなことを思いながら、ラノベを開く。

 今日も、平和な一日になりそうだ。


「余裕そうだな」


 ラノベを読んでいた僕に、海斗くんは言葉を投げた。


「もちろん」


 僕は、胸を張って答える。

 それを聞いた彼は、ふっと笑った。


「まぁ、有馬のことはあまり心配してない。でも――」


 海斗くんは苦笑いをしながら、とある方向を向いた。

 彼の視線の先には――

 白瀬さんたちがいた。


「どしよ!? 私、全然勉強してないんだけど!?」


 須藤さんが、慌てた様子で言う。

 頭を抱えている。


「今日、勉強教えるから落ち着いて、奏」


 有村さんが、冷静に言う。


「紗良も、奏を止めて――紗良!?」


 有村さんが、驚きの声で彼女の名前を呼んだ。

 僕も思わず、白瀬さんに視線を向けた。

 白瀬さんは、冷や汗を流しながら、顔が青ざめている。

 まるで、世界の終わりを見たような顔。


「ど、どしよ……私、ここ最近、全く勉強してない!」


「アンタもかい!」


 有村さんのツッコミが入る。

 そして、須藤さんが何か思いついたように、手を上げる。


「そうだ! 勉強会しよ! 勉強会!」


「いいね! それ!」 


 須藤さんの提案に、光くんが声を上げる。

 そして、それに呼応するように、司くんも言う。


「いいな! みんなでやれば、楽しそうだし!」


「有馬も海斗も来るよね?」


 光くんが、僕たちを見て手を振る。

 勉強会……。

 いつも、テストには一人で挑んできた僕。

 だが、今回はみんなとだ。

 みんなで勉強する。

 それって――

 なんだか、楽しそう。


「有馬、勉強会、来るか?」


 海斗くんが、僕に尋ねる。

 僕は――


「行く!」


 威勢よく言った。

 海斗くんは、優しく笑った。


「そうこなくっちゃな」


 司くんが、僕の肩を叩く。


「やった! 有馬っちも来るんだ!」


 須藤さんが、ぴょんと跳ねる。


「じゃあ、放課後、カフェに集合ね」


 有村さんが、手帳に何かメモしている。


「え、カフェ?」


「うん。駅前の新しくできた、あのカフェ。勉強スペースがあるんだって」


 有村さんが、スマホで写真を見せてくれる。

 おしゃれなカフェだ。

 こんな場所で勉強するのか……。

 なんだか、新鮮だ。

 そして――

 ふと、白瀬さんに目が合った。

 白瀬さんが、小さく微笑む。

 僕も、微笑み返す。

 勉強会。

 白瀬さんと一緒に勉強できる。

 それって――

 なんだか、嬉しい。

 胸が、温かくなった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

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