オタクくんさぁ笑
「や、やっほー……有馬っち」
どこか気まずそうな顔で僕に手を振る白瀬さん。
一方で僕は、そんな彼女から逃げるように身を翻した。
「ちょ!? 有馬っち!? ま、待ってよ!」
背後から聞こえる白瀬さんの声。
何やってるんだよ僕!? 誤解を解かないと! 解かなきゃ気まずいままだ!
体が勝手に――止まれよ!
「待っててってば、有馬っち!」
ふと、白瀬さんの声と共に彼女の手が僕の腕を掴んだ。
「なんで逃げるの? 私、何かしたなら謝るよ」
「い、いや……あの、それは……その……」
誤解を解かないと……解かないと僕はきっと変われない!
喉まで出かかっているのに、口が動かない。
しかし、白瀬さんは真剣な顔で僕を見つめていた。
「し、白瀬さん!」
僕が重い口を開いた、その時――
「蓮〜? 似合いそうな服持ってきたから試着してみ――って!?」
最悪のタイミングで姉さんが数着の服を持って現れた。
そして、自然と白瀬さんの視線は姉さんの方へ向かう。
「え……えっと、有馬っちの彼女? 私はただの友達で!」
ぎこちない表情と口調で話す白瀬さん。
そんな彼女を見て、姉さんは僕の顔を見た瞬間、ニヤけた。
あ、これダメなやつだ。
「いや〜、私、有馬蓮くんの彼女じゃなくて〜、蓮のお姉ちゃんなんだよね〜!」
姉さんはわざとらしさ全開でそう言うと、曇っていた白瀬さんの顔が一気に晴れた。
「え? 彼女じゃないの?! え、どういうこと!? お姉さんなの?!」
「はーい、有馬蓮のお姉ちゃんでーす!」
「で、でも今日、有馬っち彼女と遊ぶんじゃ……」
その瞬間、姉さんのニヤついたジト目と、白瀬さんの困惑した視線が僕に突き刺さる。
※
「アハハハ! 蓮、アンタ嘘ついてたのー?」
「有馬っち! この超可愛い人、お姉ちゃんだったの!?」
「……すみません」
白瀬さんは驚き、姉さんは笑いが止まらない。
ああもう! めちゃくちゃ恥ずかしい! いっそこの場で消えたい!!
顔を手で覆って悶絶していると、白瀬さんが僕の肩に手を置いた。
「オタクくんさぁ〜、私に変な見栄張っちゃったのかなぁ?」
「すみません……しばらくこのままにしておいてください……」
「蓮〜? 謝るなら私じゃなくて白瀬ちゃんにしな〜?」
「白瀬さん! 本当にすみませんでした! 見栄を張った嘘ついて……」
「――いいよ! 別に気にしてたわけじゃないし! それに、嘘をつくことって悪いことじゃないよ。誰だって嘘をつきたくなる時あるし! 人間、真っ白で潔白な方が不自然だもん。嘘の一つや二つついてる方が自然だよ!」
白瀬さんがそう言うと、姉さんがニヤニヤ顔で白瀬さんを見る。
白瀬さんも気づいたのか、逆に同じようにニヤニヤし返した。
「ねぇ白瀬ちゃん! 蓮とはどうやって出会ったの〜?」
「あー、それは〜! 有馬っちとはバイト先で会って〜! 色々話してたらめちゃくちゃ気が合う感じで! もうマジでマブ友的な!?」
「ひゅー! それって運命じゃん!? 蓮も良かったねー! こんな可愛い子と友達になれて!」
「もう帰っていいかな!?」
「「アハハハ!」」
※
その後、白瀬さんと姉さんは意気投合して、僕を置いて仲良く話し続けた。
……でも、聞こえてくる話題は全部「有馬蓮」という僕のことばかり。なんでだよ。
色々な店を回って、ショッピングモールを出る頃には外は夕焼けになっていた。
「今日、超楽しかったです! 有馬っちの姉貴!」
「姉貴!?」
僕が驚いて声を上げると、隣の姉さんは可愛い小動物を見るような目で白瀬さんを見つめ、抱きつこうとする。
「私、白瀬ちゃんのお姉ちゃんになるー!!」
「姉さん!?」
「マジで! 有馬っち! ちょっと姉貴、持って帰るわ!」
「ダメだよ!?」
こうして僕の「女」という嘘から生まれた誤解は完全に解け、白瀬さんとのわだかまりも晴れた。
――はずなのに、なんだこの変な気持ちは!?
「有馬っち! また明日! 学校でね!」
有馬ァァァ!
私はね、君が羨ましいよ!とても!
可愛い女の子たちに囲まれてねー!?
羨ましいイィ!
次回、有馬とうとうアレを自覚する!?
今日の夜にも投稿するのでよろしくお願いします!
あ、あと面白いと思っていただけたらブクマ、評価のほうよろしくお願いします!!!




