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第3話  祝福と代償


「クソ……ッ!

間に合わなかったか。

いや、どちらにせよ毒はアタシの専門外だから解毒してやれなかったな…。」


「聖女リリー!!

遅れてしまい、申し訳ありません。

追っ手を相手していたら手こずってしまい。

これは………、一体何があったのですか!」



そこに木々の隙間から駆けつけた白髪の仮面聖騎士エリスが聖女リリーから事の顛末てんまつを伝えられた。


「………という訳だ。

エリス、こりゃ救世主の救出だけじゃ済まされなくなっちまったみてぇだ。」


「…なるほど。

俺がもう少し早く到着できていれば…、すみません。」



「おい、居たぞ!

ルフェリア様とアスナデ様と合流した。

それと敵、3名を発見!

追っていた騎士エリスと転移召喚を無断で行使した大罪人の内の1人聖女リリー。それと………。」


「あぁ、この雑魚は良いのです。

こいつはもう死人だ。

救世主は死んだと報告するように。

王もさぞ喜ばれることでしょう、クク。」


既に辺り一体は、甲冑かっちゅうまとった大量の兵士達で溢れていた。

どうやらアスナデの増援に包囲されたようだ。


閑静かんせいだった森は、あっという間に騒然と化し森に住まう動物達も逃げていく。


な、なんだなんだ、騒々しいなぁ……。

ハッ……!

…あれ確か私、神父に毒殺されて

ルフェリアの腕の中で気絶してたはずだけど。

…でも、なんで生きてるんだ。


「かしこまりました。()()如何いかがいたしますか?」


「燃やして差し上げなさい。

…とその前に、大罪人も捕らえるとしよう。

我が王に栄光あれ。

さ、ルフェリア様。ここはわたくしめにお任せください。」


え、何それ、何だそれ!!やっぱり、死んでる。

よく見れば自分の手足が透けてるし……。

これは、もしかすると幽体離脱というやつなのか……。

いや、今はそんな事どうでもいい!

一体どうすれ…………。



ーーールフェリアの囁いた言葉を思い返す。

諦めるなと彼女は言った。

助けるからと彼女は言ってくれた。


なら、今はとりあえずその言葉を信じて受け入れるしかない。

だって最初に助けてくれたのは、

こんな無力な私でも救ってくれたのは紛れもなく魔女ルフェリアなのだからーーー。



「………まだ救世主は死んでいないわ。

アスナデ、貴方勝手なことしすぎよ?

………なら、私も勝手にさせてもらうわね。」



「ルフェリア様……?一体何をなさるおつもりで!!!まさか…………!!!!」




「……目覚めよ、そして覚醒せよ。

ありとあらゆる地獄から我々を救済せし者よ。

魔女ルフェリアの名の下に、なんじ

我が祝福を授けん。

大魔法 祝福の施し(ベネディクトィオ・エレモシィナ)。」


ーーー森を囲むように魔法陣が発現し、足元が優しい光に照らされる。

まるで、春の訪れのようにーーー。


光がニアの身体を包み込むと、脳内に無機質な"声"が響き渡る。



ーーー生命コントール、解析………完了クリア

魂と肉体の融合前に、祝福享受者を身体損傷前の状態に完全復元する。


損傷した筋繊維、細胞、血管、解析………

組織の再建、完了クリア

毒物除去開始…………解毒、完了クリア


続いて、享受者の世界からの拒絶を一時的緩和試行………………完了クリア

存在証明開始………完了クリア

存在意義証明開始…………一時的に完了クリア



【享受者 白川しらかわ 仁明にあに、魔女の祝福を一時的に付加します。】


……障害発生、祝福付加にあたり代償(デッドデバフ)の強制が行使されました。


今回の代償(デッドデバフ)は、永続的な寿命の減少、また享受者による厄災の放出をともないますが……付加を完遂かんすいしますか。




「ええ。

此処ここに魔女ルフェリアと享受者ニアとの間に契約を交わし遂行します。」


いきどおったアスナデは、血眼になって兵士達に発狂しながら命じる。


「ルフェリアアアアアアアアアアアアアアアア!!

裏切ったのかああああああああああああ!!

今すぐ、ルフェリアを無力化しろ!!!!!!」


すかさず、ルフェリアを援護するために

アスナデと兵士達の前にリリーとエリスが立ちはだかる。


「………魔女様の心意気気に入ったぜ。

数が圧倒的にそちらさんの方が上だが、ここは通すわけにはいかねぇよなぁ!!エリス!!!」


「あぁ、彼女らを邪魔するならば………問答無用で斬る……!!」


2人にアスナデの吸血根ルーツ・ブレッドサッカーが迫り来るもエリスの刃が斬り刻む。

押し寄せる兵士達を、リリーが倒木で薙ぎ払った。


ーーーしかし、次から次へとさらなる増援が迫り来る。

圧倒的に、エリスとリリーが不利な状況に追い込まれていく。



私のために戦い傷つく人達が居る。

こんな私を守ろうと救おうと必死になってくれた目の前の人達がいる。


それは、紛れもなく事実だ。

だから、せめてこの人達を助けられるくらいに強くなりたいと心から思った。

期待してくれていることに、応えたい応えなければと。


どんなに世界から拒絶されていようとも

ーーーそんなの全部、全部私がくつがえしてやる!!!





ーーードクン…ドクン……ドクン………



鼓動が激しく脈打つ。

とどこおりなく血液は身体中を駆け巡り、

脳が冴え渡るように覚醒した。


辺りの光はさらにその光力を強め、契約の締結を待ち望むように輝きを放つーーー。

気づけば目と鼻の先に麗しいルフェリアの顔があった。


「ッン!!ンン!」


吸い付くみたいな、キスに

蕩けそうになる理性を

保守するように理性で繋ぎ止める。


そんなことを自覚した頃には、既に自分の身体に戻れていた。

生まれて始めての口付けが、こんな地獄の最中でなければきっとロマンチックだったのだろう。 

また脳内に無機質な声が響く。


契約完了クリア

オーダーを完遂かんすいしました。】


これより、白川しらかわ 仁明にあ

魔女ルフェリアの祝福の行使を容認します。

なお、魔女の祝福 (ミゼリア・ベネディクトィオ)の行使は一時的な付加となります。


一度行使された祝福は、二度目の使用は不可能です。

また現段階の貴女の身体能力を鑑みて、5分の使用が限界であると推測。


それ以上の行使は、世界からの拒絶 (デウス・インテルケッシオ) からの介入によって

心肺停止および生命活動の停止が確定いたします。

ご注意下さい。



魔法陣は、消滅し光は私に力を授けるように集う。

瞳は、魔女と同じく琥珀の色を宿していた。



ルフェリアは、力を使い果たしたようにその場で失神して倒れてしまう。

すかさず、今度は私が受け止める。



「ルフェリア、ありがとう。

……時間はあまりないみたいだね。

………とりあえず、お前だけは葬り去る!!!」



断罪対象者を検出。神父アスナデを断罪対象として捕捉しました。


【魔女の祝福 (ミゼリア・ベネディクトィオ)を行使しますか?】


「行使する。」


【……行使を許可します。

祝福を以って義務を実行する(ベネディクトィオ・オッフィキウム)。】


身体パラメーター、スピード/攻撃力/生命力/防御力が通常時の5倍で発揮されます。



特に見た目に変化はなく、

何となく身体が軽いのと思考が冴え渡っていることだけは理解できる。


5分で片付けられるような、状況ではないにしろアスナデだけは野放しにしたくない。



ーーー瞬間、アスナデを攻撃すると頭で考えた時には既に目の前に奴がいた。

否、瞬く間に私がそこまで移動していたのだ。

今の私にはそれだけのスピードを出せるようになっていた。


がむしゃらに拳と足を使って、押し切るように連撃を与える。

受け身を取るだけで精一杯の神父の顔色は、とても悪かった。


「クッ、!

……クク、祝福の力で強化されたか。

全く、してやられたよ救世主。

しかし、ルフェリアも十傑じっけつも甘いな。

甘すぎるわ…!!!

王が、わたくしが、このような状況に何も備えていないとでも…?」



赤い、稲妻が轟く。

何度も何度も、嵐の到来を告げるようにーーー。


その瞳は、赤く鋭くこちらを見据える。

黒と黄金を基調とした鎧に、赤のマントをなびかせたたずむ赤髪の少年は大剣を振りかざした。



地割れのような轟音と共に、

森一体を呑み込もうと竜巻が何本も発生した。

否、赤髪の少年が大剣を振りかざして魔法の力で生み出したのだ。


「嵐の前触れ(テンペスタース)。

さあ、俺様の竜巻を受けるといい。

森諸共、滅びてしまえ!!!!」



こんなの、敵いっこないと素人ながら理解できた。

しかし、赤髪の少年は逃すまいと私の方に迫ってきている。


大量の兵士達に、神父の生命力を吸う根、赤髪の少年の竜巻。

戦闘慣れしていない私は、殴る蹴るが精一杯で戦場においての判断力など皆無。


聖騎士エリスも聖女リリーも、次から次へとやってくる兵士達相手に苦戦していた。

せめて、ルフェリアだけでも庇いたいのに

赤髪の少年はそれを許さなかった。



「戦場で、敵を目の前にしてよそ見すんなよ。簡単に死ぬぞ。」


ほんの一瞬、ルフェリアを案じていた隙をつかれ

赤髪の少年の大剣を避けきれず攻撃をまともに食らってしまう。


胴体を庇うように、腕で攻撃を受けるもその斬撃は腕の肉をえぐってくるーーー。



ッッッッッッッ!!!

こっれ………ッやばい!!!!腕がッ!!引き千切れるッ!!!!

まずいまずいまずい。

このままだと、腕がげる………。

痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

耐えられるのか、こんな痛み………。


「バアル殿!!そのまま救世主を斬り殺すのです!!!!!

ハハハハハハハハハハハハ!

やはり!勝利の女神は我が王にこそ微笑むのだ!!!今度こそ死ねええええ!!!救世主!!」



アスナデの声が、間に触るとでも言いたげに

バアルの大剣を持つ手にさらに力が加わった。


「言われなくても、わかってるつーの。

しかも、殺すのは俺様なんだからおっさんは少し黙ってろうるせぇから。」


「救世主!!!避けろ!!!」


何とか兵士達を切り抜けエリスが割って入るが、時すでに遅し。


バアルの剣技は既に私と、私をかばうエリスの両者に狙いを定めていたのだ。

到底、逃れられないほどの力量の差があった。



「………これでテメェらは終いだ、あばよ救世主と聖騎士。

…俺様の雷光で永遠に眠れ、死雷光モルス・フルグル。」


蓄積した雷光を吸収した大剣は、バアルの構えからの一振りで

赤い稲妻の強大な閃光を切先から一直線に解き放ったーーー。



少し長めでしたが、読んでいただきありがとうございました!


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