2話
セルランド帝国の皇子ニールベルトからミアを側室にという話が来てから一週間が過ぎ、ミアの父アクラス国王シュタインは帝国の皇帝クルガスに二人の皇子、膨大なゴールドや資源を提供する代わりに長男のアレッド皇子か次男のニールベルト皇子の正式な妃として迎えるように書状を出していた。これにクルガスは重い病にある自分の代わりにアレッド皇子とニールベルト皇子をアクラス王国へと向かわせた。
そして数日後、アクラス王都の城の謁見の間にアレッド皇子とニールベルト皇子やって来るとシュタインは二人の皇子を前に玉座から降りて膝間づき、長男であるアレッド皇子を玉座に座るよう伝えるがアレッド皇子はシュタインに敬意を示して立っているとニールベルト皇子が口にする。
「兄上、こんな小国の王に何を卑屈になられているのです?」
「ニールベルト、シュタイン国王は一国の王だ。セルランド帝国の皇子として無礼は無いように」
「、、、、分かりました兄上、それで王女は何処に?」
「はい、ニールベルト皇子、只今連れて参ります」
シュタインがそう言うと侍女達とフィアと共に赤いドレスを着て金色の髪を上に結んだミアがやって来る。ミアは二人の皇子に礼をして口を開いた。
「セルランド帝国の両皇子様を迎えてこのミア、この上なくにうれしく思います。」
下劣な視線を送るニールベルト皇子とは対照的に紳士的にアレッド皇子が挨拶してミアに言った。
「ご噂通りの美しく気品のある方ですね」
「ありがとうございます、アレッド皇子」
そんな二人のやり取りを見た後シュタインがアレッド皇子に聞いた
「このミアの事ですがお二人の皇子のどちらかの妃として迎え入れて貰えますか?」
「シュタイン殿、まだ決めかねていますが、帝都へとミア殿下を案内したいと思います。よろしいですか?」
「兄上?!兄上には他にも婚約者候補が!」
「あくまで候補者だ。ミア殿はいかがですか?」
「皇子の御心のままに、、、」
ミアの手を取るとアレッドは軽く口づけをして挨拶する。それを見ていたニールベルト皇子は強い嫉妬心を胸に抱いてアレッド皇子とミアを見つめていた。そしてその日の夜宴が開かれる。
宴の中アレッド皇子は早々に一人バルコニーでアクラス王国の王都を眺めていた。そんなアレッド皇子にマクナが話しかけた。
「アレッド皇子、宴はお気にめされませんでしたかな?」
「ガーライン将軍、私は父上や将軍、帝国の兵達と戦場にいることが大半でしたからこのような場は苦手なのです」
「貴方様はニールベルト皇子と違ってミア殿下に紳士的に接して頂いていますので安心いたしました」
「いいえ、我が父上も同じ立場ならそうしたでしょう」
「貴方にならミア殿下を任せられるように思います、誰か、フィアを連れて来てくれ」
「ガーライン将軍殿、フィアとは?」
「我が娘でミア殿下の親衛隊の騎士として務めています」
「女性でありながら親衛隊の騎士とは、、」
マクナとアレッド皇子が話をしている中フィアが城の騎士達とやって来る。
「父上、お呼びでしょうか?」
「うむ、フィアよお前は誓いの通りミア殿下の身とこのアレッド皇子の為に私の配下の騎士数名と同行しなさい」
「はい、父上」
「よろしく頼むよ、フィア殿」
「はい、アレッド皇子、父上、それでは私はミア殿下の警護に戻りまゆえ失礼いたします。」
「アレッド皇子は酒はお苦手ですかな?」
「居たって普通ですよ」
「それならばこの私といかがですかな?」
「お付き合いしましょう、ガーライン将軍」
アレッド皇子とマクナが酒を飲み交わすなかニールベルト皇子は側近のグレムと近衛騎士達と宴を後にして話し合っていた。
「計画を早めるぞ!」
「はい、この地でアレッド様の暗殺を?」
「そうだ!幸い兄上の護衛は多くない、そして父上は間もなくこの世を去る、シュタインには罪を被ってもらおう。シュタインが兄上を殺したことにすれば私が皇帝となりミアを私の物にしてこの国に攻め入り完全に帝国の支配化にする口実が出来るのだ!」
「畏まりました、ニールベルト様、それでは帝国の帰路にある森で実行するのはいかがでしょうか?」
「分かった、グレムよ、方法はお前に任せるぞ!」
「はい、ニールベルト皇子、この私めにお任せを」
ニールベルトとグレムの企みを知らぬまま夜は更けて行った。
つづく