第7章 雨上がりの道標
3作品同時連載ですと、やはり執筆に時間が掛かりますね、、。
また、寝ぼけて6章のメモを投稿してしまったので投稿し直します。
昨夜の雨が、小道に小さな水たまりをいくつも残していた。
雲は切れ、薄い青空に陽が差し始める。
レオンは村の広場で、ガルドの荷車に積まれた木箱を縛っていた。
「お、助かるわ」
縄を引く手はまだぎこちない。剣の柄なら指が自然に動くのに、とふと思う。
その時、村の門の方から馬の蹄の音が近づいてきた。
入ってきたのは年配の行商人。荷馬車の帆布は雨でまだ湿っている。
「東の関所が開いたぞ。峠の雪が解けた」
その言葉に、広場の空気がわずかに変わった。
レオンは木箱の縄を締めながら耳を傾ける。
関所の向こうには、見たことのない街や山があると聞いたことがあった。
昔なら、そんな話はただの地図の情報でしかなかった。
だが今は、その先の風景や匂いが、頭の奥にゆっくりと浮かび上がる。
「お前も、行ってみるか?」
ガルドが笑いながら声をかけてきた。
「いや……まだ」
口ではそう答えたが、心は揺れていた。
その夜、リリカが訪ねてきた。
「これ、あんたに」
渡されたのは、乾いた薬草の小袋。
「旅の時、熱出したら煎じて飲みなさい。……行くなら、だけど」
からかうような笑みの奥に、少しだけ寂しさが混じっていた。
戸口で見送ったあと、レオンは袋を手の中で転がした。
雨上がりの道が、頭に浮かぶ。
そこに、自分が立っている姿も。
始まりのキッカケは人それぞれですよね。




