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小さな違和感
「うわーっ!」
エルナが駆け出す。
「待ってよ、エルナ!」
セリアも慌てて後を追った。
すると——
カチッ
靴の裏で、小さな違和感が走った。
「……ん?」
セリアは足元を見た。
——何か硬いものを踏んだような感触。
「……石?」
草むらをかき分けると、そこにあったのは金属製の床板だった。
「……?」
「セリア、どうしたの?」
エルナが戻ってくる。
「これ……」
セリアが指差したものを見て、エルナは首をかしげた。
「……なんだろ、これ?」
不自然なほど直線的な金属の継ぎ目。
エルナはしゃがみこみ、それを指でなぞった。
「ねえ、なんか……ここだけ変じゃない?」
「うん……」
リネットも近づいて、ぼんやりとその継ぎ目を見つめる。
——これは、何?
「外の世界」に、こんなものがあるの?
「エルナ、もう少し奥に行ってみない?」
セリアの言葉に、エルナは目を輝かせる。
「行く行く!」