偽りの太陽
「ねえ、セリア! これ、本当に外なんだよね?」
エルナは草の上に転がり、楽しそうに空を見上げる。
「こんなに広い場所、見たことないよ!」
セリアも空を見た。
そこには、温かな陽の光と、広がる青空がある。
「……うん」
そう答えながら、彼女の胸には違和感があった。
(どうしてだろう……何か、おかしい気がする)
この空は美しい。
「リネット、どうしたの?」
エルナが振り返ると、リネットはゆっくりと目を開け、少しだけ口元を緩めた。
「……まぶしいね」
「でしょ! こんなに明るいなんて、びっくりしちゃうよ!」
リネットは何かを言いかけたが、そのまま静かに目を閉じた。
「リネット、眠いの?」
「……うん。ちょっと……ねむい……」
セリアは、そっとリネットの手を握った。
(やっぱり……血をたくさん採られたから、かな……)
それでもエルナは、楽しそうに草の上を転がっていた。
「ねえ、もっと奥まで行ってみようよ!」
「えっ?」
「この先に、もっと面白いものがあるかも! ね、セリア、リネット!」
「え、でも……」
セリアは少しためらったが、エルナの手を引かれた。
「私はここで待ってるね…」
リネットは草の上で横になり、ゆっくりと目を閉じた。