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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
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急展開

 

 エドワードは椅子の背にもたれ、議会の終わった会場を見渡す。

 その顔に焦燥はない。すべてが予定された通りの結末――そう語るような瞳。



「……人間は、自分で手を汚さないものには容赦がない」



 彼は独り言のように呟いた。



「見ない。聞かない。知らない。

 そうして“ただの資源”だと、己を騙す。

 そうすれば罪悪感からも、思考からも解放される。便利な魔法だ……」



 聖女を知る者はあまりに少ない。

 いや、知ることを最初から放棄している。


 あの無機質な白い部屋の奥で、幾度も針を刺され、血が抜かれること。



 上層部の誰も、その顔を知らない。声を聞いたこともない。

 エドワードにとっては、“知らない”ということそのものが、最も深い“暴力”に見えた。




 ───



 また別の日、議会での重圧の中、エドワードは最後に一つの「妥協案」を提示した。


 それが――エリック・バーナードの復帰だ。


 彼ならば、まだ「罪悪感」と「理性」を天秤にかける人間だと信じていた。


 エドワードは言った。


「……少なくとも、彼は“人間”を管理する視点を持っている。

 もう一度、聖女の監督官として現場に戻してほしい。

 その代わり、私には何をしてもいい」


 ライナーはその条件を面白がった。


「望み通りにしてやるよ。貴様はもう、終わった男だ。あとは“見届ける”だけでいい。

 ……貴様の失敗をな」

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