会議
「外出の許可、ということですね?」
軍の作戦会議室。
薄暗い照明の下、数人の軍関係者と白衣の研究員たちがテーブルを囲んでいた。
中央に映し出されたホログラムには、セリアたち三人のデータが表示されている。
「ええ。聖女たちの嘆願です。特にエルナという少女が熱心に望んでいたようですね」
一人の研究員が、冷静な声で答える。
「面白い。まだ幼い彼女たちが、この世界の本質を何も知らずに、外を夢見るとは。」
軍服を着た男が小さく笑う。
「まあいい。“適応”の範囲内なら、多少の自由は与えてもいいでしょう。 それが彼女たちの安定を保つことにつながるのならな」
「問題は採血量の増加ですね」
別の研究員が言った。
「今回の外出に際して、通常の1.5倍の血液を提供してもらいました。その影響がどの程度出るか……」
「体調を崩すほどならば、それもデータのうちでしょう」
軍の上層部は、まるで機械のように冷たい態度だった。
——そして、彼女たちがどこへ「外出」するのかも、すでに決まっていた。
「区画E-03の管理環境を使用する。 昨日、電光パネルの調整も終えている」
「では、これで決定ですね」
静かに会議は進行していく。
“偽りの空の下で、少女たちは何を思うのか”