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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
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生き残り

 




 ゼファーはハッと我に返ると、少し恥ずかしそうに首をすくめる。


「つい夢中になってしまって…反省してるよ。いや、全然してないな。むしろ次を見せたいくらいでね、これなんだけど――」



 次の瞬間、ゼファーは手にしていた何の部品か分からないパーツを掲げて、


「見てくれ、この回転軸の滑りだが……ここの摩擦係数を調整すると、出力低下を防げて――」


 と早口に解説を始めた。


 エドワードは完全に付いていけずに眉をひそめていたが、その様子を見かねたように、後方からリーネの落ち着いた声が飛んできた。


「所長、大佐が困っております。」


「おっと……いやぁ、聞いてくれる人がいるとつい嬉しくなってね。」


 ゼファーは申し訳なさそうというより、楽しそうに肩をすくめる。



 その時だった。




「博士。」



 低く冷めた声がゼファーの背後から響く。



 振り返ると、そこには大きなヘッドギアを装着した少女が立っていた。まだ若いが、頬には古い創痕があり、どこか大人びた雰囲気を纏っている。


「運用テスト、早く始めた方がいいです。新規入隊生が装着してから欠陥が見つかったら遅い。誰でもいいですから。」


 その瞳には諦めと冷静さが宿り、ゼファーに淡々と告げた。


 リーネは彼女に視線をやると、一歩下がり無言で成り行きを見守る。


 ゼファーは笑顔を浮かべて答えた。


「そうしたいのは山々だけどね。仮運用の対象者は今、適応中でね。もう少しだけ待ってくれ。私も、実戦データが楽しみなんだ。」


 そして彼女のヘッドギアに目をやり、ふと思い出したように言う。


「ああ、そうだ、さっき説明しかけていた第2世代の特徴、まさに彼女がその体現者さ。」


 エドワードが驚きに目を見開く。


「まさか……」


「そうとも、第2世代の唯一の生き残りだよ。」


 ゼファーは自信満々に頷く。


「第2世代型は、第3世代に比べれば完全な下位互換さ。配線は滅茶苦茶、冷却機構は脆弱、エネルギー効率も悪い。でもね――」


 彼は少し熱を帯びた口調で続ける。


「無骨で、直線的で、設計がとにかく分かりやすい。僕はあの粗削りな構造が大好きなんだ。しかもパーツはどれも汎用性が高く、すぐに換装できる。ある意味では"換装型"と呼べるかもしれないね。」


「……おっと、彼女はS2型-015で、名前は……なんだったかな?」


 少女は一歩前に出て、小さく告げた。



「セラ。そう呼ばれています。」

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