偽りの外
数時間後。
彼女たちは、重厚な装甲を持つ車両に乗せられた。
窓のない、無機質な空間。
「わぁ、なんだか特別な感じがするね!」
エルナが楽しそうに声を上げる。
セリアは、少し窮屈な気持ちで周囲を見回す。
「……でも、窓がないのはちょっと変だね?」
「そう? でも、開けたら危ないんじゃない?」
エルナは特に気にする様子もなく笑った。
リネットはというと、すでに半分眠っている。
車両はゆっくりと動き出した。
揺れが心地よかったのか、リネットは静かに眠りにつき、エルナは少し落ち着きをなくしながら、扉の向こうをじっと見つめる。
どれほど時間が経っただろうか。
車両が止まり、扉が開かれる。
「さあ、到着しましたよ」
セリアたちは、そっと外へと足を踏み出す。
そこに広がっていたのは——
青く澄んだ空と、緑の草原だった。
エルナが歓声を上げる。
「すごい……! こんなに広いなんて!」
リネットも目を細め、光を浴びるように伸びをした。
セリアは、胸の奥が少しざわつくのを感じた。
(本当に……これが外の世界なの?)
視線を巡らせると、遠くに見えるのは、まるで絵のような風景。
——すべてが美しく、完璧に整えられていた。