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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
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聖女のデータチェック

 

 エリックはモニターの横に表示される彼女たちのデータを確認した。


 ──セリア・ヴィンザー

 ・血液採取量:通常の1.5倍

 ・精神状態:安定

 ・ストレス値:低

 ・体調:良好


 ──エルナ・クラウゼン

 ・血液採取量:通常の1.5倍

 ・精神状態:活発

 ・ストレス値:低

 ・体調:良好


 ──リネット・S

 ・血液採取量:通常の1.5倍

 ・精神状態:やや低下

 ・ストレス値:低

 ・体調:異常なし(ただし軽度の疲労傾向)



「……なるほどな」


 エリックは鼻を鳴らし、腕を組む。


 外出許可や菓子作りがある日は、いつもより多く血液が採取されている。

 だが、聖女たちはそれに対して何の不満も不安も持っていない。


 それどころか、「お願いを聞いてもらえたから、提供するのは仕方がない」と納得しているようだった。


 まるで、等価交換のように──


「あげた分だけ、もらえる」


 その価値観が彼女たちの中に、自然と染みついているのをエリックは感じ取った。


「……そういや、俺は前にセリアの担当だったんだよな」


 彼女たちがどれほど素直で、純粋なのかはよく知っている。


 エリックの目の前のモニターには、ただ無邪気に水遊びをしている少女たちが映っていた。


 彼女たちは何も知らない。

 彼女たちは何も疑わない。


 エリックの胸の奥に、なんとも言えない違和感がじわりと広がっていく。

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