許可された自由
セリアたちの願いは、思いのほかあっさりと叶った。
白衣の研究員が彼女たちを呼び、穏やかな口調で伝える。
「皆さんの希望が認められました。近いうちに、外へ出られますよ」
エルナは目を輝かせ、セリアの手をぎゅっと握った。
「やった! ほらね、お願いすれば叶うんだよ!」
セリアもリネットも、エルナの喜ぶ姿を見て微笑んだ。
だが、次に続く言葉に、セリアは少し不安を覚えた。
「ただし、条件があります。いつもより多く血を提供していただくことになりますが、大丈夫ですね?」
血を採る。
それはいつものことだった。
祈りを終えた後、静かな部屋で、腕に小さな針を刺される。
どこか冷たい感触のする管を通って、赤い液体が吸い上げられていく。
セリアは、自分の血が何に使われているのかを知らない。
ただ、それが大切なことなのだと教えられていた。
「……はい、大丈夫です」
彼女がそう答えると、エルナが明るく頷いた。
「うん、そんなの平気! 外に行けるなら、ちょっとくらい何でもないよ!」
リネットは、ふわりとした笑みを浮かべながら、小さく頷いた。
「……私も、大丈夫」
こうして、彼女たちの「外出」が決定した。