区画E-03外出許可
「聖女たちの外出許可を?」
エドワード・クラウスは、白衣の職員の報告を聞きながら、少し考え込むように眉を寄せた。
「……ええ。区画E-03への外出希望が出されています。」
「なるほど、先日の件があったのに、まだ好奇心は衰えていないか。」
「当然です。あの子たちは……何も知らないんですから。」
白衣の職員はエドワードの目を見ずに言う。
「それと、カップケーキ作りも希望されています。」
「カップケーキ?」
「ええ、先日クッキーを作ったことで味をしめたようで……」
「はは、それは結構なことだ。」
エドワードは軽く笑いながら、ふと職員に耳打ちするように言った。
「……こんなことを続けていると、上の連中に怒られますよ。」
白衣の職員は小さくため息をつきながら、目を伏せた。
「……あなたがそれを言いますか、大佐。」
「もちろんわかっているとも。」
エドワードは肩をすくめながら、涼しい顔で答える。
「ついでに、私にも一つ取っておいてくれないか?」
「……冗談でしょう?」
「いや、本気だよ。」
エドワードは悪びれる様子もなく言う。
「材料の確認と手続きが通り次第、渡せるようにしておく。」
「感謝するよ。」
職員が去っていくのを見送りながら、エドワードは静かに目を細めた。




