エリック・バーナードとの面談
エドワードが部屋に入ると、エリック・バーナードはうつむいたまま座っていた。
「……お前が来るとはな。」
「君の処遇を見直す話を進めてきた。」
「……何?」
エドワードは椅子に腰を下ろし、静かに言葉を続ける。
「"事故"の原因を聞かせてくれ。」
エリックはしばらく沈黙していたが、やがてポツリと話し始めた。
「……片付けのときだった。セリアが皿を落として、それを拾おうとして指を切った。それだけだ。」
「皿を落とすことは珍しいことか?」
「いや……まあ、多少はあるが……」
「ならば、なぜ今回に限って問題になった?」
「それは……」
「ストレスだ。」
「……」
「現在の管理体制は、聖女たちの精神的負担を軽視している。必要以上の緊張と圧力が、小さなミスを生む。」
「……」
「これは君の"過失"ではなく、"環境の不備"が生んだ事故だ。」
「……だが、俺は担当者として……」
「君には"罪"はない。」
エドワードは言い切った。
「だが、"責任"はある。それは君も承知しているだろう?」
「……ああ。」
「だからこそ、君の処遇を少しでも軽くするために協力してほしい。」
「……協力?」
「聖女の待遇改善のためのデータを提供すること。」
エリックは驚いたようにエドワードを見た。
「お前、本気でそんなことを……」
「もちろんだ。」
エドワードは微笑する。
「君が証言すれば、彼女たちの生活環境を改善する"理由"が作れる。」
「……俺の証言だけで、何かが変わるとは思えない。」
「だが、"変わる可能性"はある。」
エリックはしばらく考えた後、小さく息を吐いた。
「……わかった。」
「ありがとう。」
エドワードは静かに頷いた。




