表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
29/123

エリック・バーナードとの面談

 

 エドワードが部屋に入ると、エリック・バーナードはうつむいたまま座っていた。


「……お前が来るとはな。」


「君の処遇を見直す話を進めてきた。」


「……何?」


 エドワードは椅子に腰を下ろし、静かに言葉を続ける。


「"事故"の原因を聞かせてくれ。」


 エリックはしばらく沈黙していたが、やがてポツリと話し始めた。


「……片付けのときだった。セリアが皿を落として、それを拾おうとして指を切った。それだけだ。」


「皿を落とすことは珍しいことか?」


「いや……まあ、多少はあるが……」


「ならば、なぜ今回に限って問題になった?」


「それは……」


「ストレスだ。」


「……」


「現在の管理体制は、聖女たちの精神的負担を軽視している。必要以上の緊張と圧力が、小さなミスを生む。」


「……」


「これは君の"過失"ではなく、"環境の不備"が生んだ事故だ。」


「……だが、俺は担当者として……」


「君には"罪"はない。」


 エドワードは言い切った。


「だが、"責任"はある。それは君も承知しているだろう?」


「……ああ。」


「だからこそ、君の処遇を少しでも軽くするために協力してほしい。」


「……協力?」


「聖女の待遇改善のためのデータを提供すること。」


 エリックは驚いたようにエドワードを見た。


「お前、本気でそんなことを……」


「もちろんだ。」


 エドワードは微笑する。


「君が証言すれば、彼女たちの生活環境を改善する"理由"が作れる。」


「……俺の証言だけで、何かが変わるとは思えない。」


「だが、"変わる可能性"はある。」


 エリックはしばらく考えた後、小さく息を吐いた。


「……わかった。」


「ありがとう。」


 エドワードは静かに頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ