聖女たちの談笑
「それでね、それでね!」
エルナが、両手を広げながら興奮気味に話す。
「次はね、"カップケーキ"を作るの! 本に載ってたの!」
「カップケーキ……?」
リネットが小さく首をかしげた。
「クッキーよりもふわふわしてて、甘くて、美味しいのよ!」
「へぇ……いいかも。」
セリアも楽しげに頷く。
ついさっき、クッキー作りを終えたばかりだというのに、彼女たちはもう次の"お願い"を考えていた。
「それか……もう一度、外に行けるかお願いしてみるのもアリじゃない?」
エルナが期待に満ちた目で言う。
「またお外に?」
リネットが、のんびりと空を仰ぐように言った。
「この間みたいに、緑の中でゴロゴロできるかなぁ。」
「いいなぁ……でも、お願い、聞いてもらえるかな?」
セリアが少し不安そうに呟く。
「うーん……でも、この前のお願いは聞いてくれたし!」
エルナが拳を握る。
「だから、今回もきっと!」
「……かもね。」
セリアはそう言いながらも、胸の奥に"小さな違和感"を覚えていた。
(私たちのお願いって、どこまで聞いてもらえるんだろう……?)
けれど、それを深く考えることはなかった。
楽しい会話が、それを押し流していく。




