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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
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焼きたてクッキー

 

 甘い香りが部屋に満ちる。


 焼きたてのクッキーの香ばしさに、セリアもエルナも目を輝かせてオーブンを覗き込んでいた。


「わぁ……」


 セリアが感嘆の声を漏らし、エルナが小さく跳ねるようにして喜ぶ。


「ねぇねぇ、あとどれくらい?」

 エルナが白衣の職員に問いかける。


「もうすぐですよ。熱いので、まだ触らないようにね。」


 職員はそう言って、鍋つかみを手に取り、慎重にオーブンの扉を開いた。


 ふわりと、さらに強く甘い香りが広がる。


 天板の上には、ほんのりと焼き色がついたクッキーが並んでいる。



「熱いから下がってね」と職員が注意しながら、トングでクッキーを一つずつ皿に盛り付けていく。



 リネットは、椅子に座って静かにそれを眺めていた。

 彼女はクッキーを楽しみにしているのか、それともただのんびりしているのか――どちらともとれる態度で、ぼんやりと頭を揺らしていた。


「焼きたてって、すぐに食べられるの?」

 セリアが聞く。


「ちょっと冷ましてからね。我慢できる?」

「……うーん、がんばる!」


 エルナがくすくすと笑った。


 彼女たちは、ただの少女だった。

 ただの、何も知らない、無邪気な少女たちだった。

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