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皿
ガッシャーン!
甲高い音が響いた。
「セリア、大丈夫!?」
エルナの声が響く。
白衣の職員たちが、一瞬で動いた。
セリアは驚いた顔で立ち尽くしていた。
手から滑り落ちた皿が、床で粉々になっている。
「ご、ごめんなさい……」
セリアは慌てて割れた欠片を拾おうとした——その時だった。
「イタッ」
指先に鋭い痛み。
ポタリ、と赤い雫が落ちる。
小さな傷だった。
だが、職員たちの反応は異常なほど早かった。
「セリア、怪我は——」
白衣の一人が言いかけ、赤い雫を見た瞬間、顔色が変わった。
「……ッ!」
即座にもう一人の職員がセリアの腕を掴み、引っ張るように後ろへ下げた。
「——今すぐ消毒を!」
「……え?」
エルナが驚いた顔をする。
セリアも戸惑いながら、割れた皿を見下ろした。
「このくらい平気、血を採られるより全然痛くないから……」
そう言いかけると、職員が素早くガーゼを巻き、指を覆う。




