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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第1部:正義に注ぐは聖なる犠牲
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クッキー作り

 

 カシャ、カシャッ——


 金属製のボウルの中で、泡立て器が滑らかに動く。

 卵、砂糖、小麦粉に似たデンプンの粉を混ぜ、やがて生地がまとまり始めた。


 クッキー作りは、彼女たちにとって数少ない「特別なこと」だった。

 単調な日々の中で、決められた行動の範囲内で許された「楽しみ」のひとつ。


 3人の聖女にはそれぞれ白衣を着た職員がついており、彼らは危険のないよう監視しつつ、穏やかに見守っていた。


 包丁もナイフもない。ピーラーすらない。


 彼女たちの手に渡されたのは、ボウルとホイッパー、そして型抜きくらいだった。


 エルナは元気よく型枠を押し付け、セリアは慎重に天板へと並べる。


 リネットはのんびりと、その様子を見守りながら、少しずつ自分のクッキーを作っていた。



「ふふ、どんな形にしようかな〜」


「リネット、遅いよ〜!」


 エルナが笑いながらリネットを急かす。


「まあまあ、焼き上がりは逃げないよ〜」


 リネットはマイペースに答えた。


 そうして、生地を並べ終わり、天板をオーブンへと入れた。

 焼き上がるまでの間、彼女たちは片付けを始める。


「できたら、みんなで食べようね!」


 エルナが嬉しそうに言った。

 セリアも笑顔で頷く。


 誰もが穏やかな時間を過ごしていた——少なくとも、その時までは。

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