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小さなカフェの物語  作者: ソデッチ
1/5

マスターの成長記録

駅前徒歩5分、利用者が多い一駅手前の大橋駅から通じている地下道を通ってもおよそ15分はかかるだろうか。


立地条件が良くテナント料も月額15万、しかも居抜き物件で前の店主が残していたであろう?ウエッジウッドの洒落たカップやらがキレイに整頓され並べられている。


さすがにこれだけの好条件を見た妻、「幸子」もようやく首を縦に振った。


以前から退職後はカフェが開きたいと何度も相談し、一人で物件探しにも出かけたがなかなか見つからずじまい。


だが、この場所に直観が働き「幸子」を連れてきていたのだ。




名乗るほどのでもないが、一応この物語の主人公私は大手通信会社を先日退職したばかりで、昔からカフェを開くのが夢だった。


斎藤隆さいとうたかし」同姓同名の有名人がいるような,いないような。


ともかくありふれた名前でそのうえ見た目にも特徴が無い。


知り合いと勘違いされてよく声を掛けられる始末。


その時の気まずさったら言葉に出来ない。


なにか失敗した訳でもなく、知人と勘違いした方が悪い訳でもなく。


都会じゃありふれた一場面にすぎない。


要するに目立たない事で時には不便を感じ両親を恨んだりしたものだが、それも運命と思い込ませていれば僅かながらに明るい日差しも指そうもの。




65歳の手前で退職願を出し、幸子に居抜き物件と立地の良さで早く決めなければと懇願し、やっとの思いで了解を得て今日に至る。


店内には焙煎機もあり本格的だ。


席数は4人掛けのテーブルが2つ、後はカウンターに5席と狭いがそれがかえっノスタルジーを彷彿させる。


また、焙煎機も現役でこれがまたいい香りを店外の通り迄もたらし、言葉は悪いが客引きの役割をはたしてくれている。


味の違いが分かる通、御用達の店だったに違いない。


だが、何故前の店主はこんな条件の良い物件から離れたのかは全く想像もつかない。


2,3度寄ったことがあったがその時も満席で繁盛してる様子。


珈琲もうまかった記憶があり、成功している店主が羨ましくも感じたような…。


だが、世の中平等なのかな?


チャンスは唐突にやって来て巡り合わせかもと都合の良い解釈をしてしまったような。




最後にお茶でもと同僚に誘われた時のこと。


ふと、このカフェを思い出し久しぶりに行ってみると、入口に張り紙が貼ってあり強烈に運命を感じた。




「店長が体調を崩したため当店を廃業することとなりました。長らく御贔屓頂き誠にありがとうございました。」


そのあとには不動産屋の電話番号が記載してある。


偶然、同僚と来なかったらおそらくタイミングを逸していたに違いない。


こんな好条件の物件は早々に借りらてしまっていたはず。


やはり記憶通り外観もクラシカルで内装も素晴らしい。


入店するとクラシックが流れていて、現実世界からの離脱を感じられる。


独特の世界観に訪れた人々は魅了される。


初めて来店した時の事を昨日のように思い出す。


ここの店主に成れるとは…。


人生何があるか分からん。


願いはかなうのかも。


当時の私はそんな甘い思いにとらわれていたのだ。




ゆーっくり投稿しますのでよろしくお願いいたします。




最後までお読みいただきありがとうございました。

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