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7話
「朱嶺くん、起きてください。」
優しげな声でカイの頭をポンポンと叩き声をかける壮年の男性。その声に気が付いたカイが慌てて起き上がり男性に顔を向ける。
「先生、スイマセン。」
「珍しいですね、君は授業中に眠るような事はしないと思ってたんですが。」
先生の言葉にカイは落ち込む、今までも稽古の次の日は疲れていても授業で寝る事などなかったからだ。
「余程疲れていたのでしょうね。次からは気をつけてください。」
反省しているように見えたのか、それ以上カイを責めなかった。
「よぉ〜、珍しいな授業中に寝るなんて。」
休み時間にケンジが声をかける。
「僕も初めてだよ、はぁ…」
「まぁ、先生も分かってくれてたみたいだし気にするなって。」
そうは言ってくれるが本人にとっては喜ばしくは無い。基本的には真面目な生徒のカイであり、良くも悪くも目立たないのだが周りからの評価はとても高い。
成績も常に上位、運動をさせれば沙汰なく熟す。秀でたものはないが頼れる人と言ったポジションであった。