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夢?現実?いえ、ゲームかも  作者: きゅうでん君
5/7

5話

(カイ)は部屋から出ると背伸びをする。


身体を直接動かしてるから運動不足の心配はないよね。今日の素材であと少しで考えてた装備も作れるはずだけど、あと1時間くらいはプレイ出来るといいんだけどなぁ。


ぼんやりと考えて店を出ようとすると店長からお疲れとこえをかけられ、軽く会釈をして店を出て行った。


店から20分程歩いていると勇ましい声の聞こえる建物の前に来た。これが彼の家だった、此処は母親と姉が師範として経営している空手の道場であった。今時自宅に道場を開いている所など中々ないが、先祖代々継がれている武術道場である。ただしこの朱嶺家は古くから女傑の家系らしく男より女が取り仕切っている、しかもカイは数世代ぶりに産まれた男性らしく女性の生まれる割合がかなり高いようだった。なので、朱嶺家は婿を取る事がほとんどである。もちろん父親も婿入りで、お世辞にも運動が出来るタイプの人にも見えない。


そしてこの道場に通う人は8割女性であり護身術を習う目的の方が多い、まぁ教える先生が女性でしかも歴戦のチャンピオンと現役バリバリのチャンピオンでは人気も出ると言う事であろう。そして息子の口から言うのも嫌らしいのだが、母親は年齢よりも若く美しく、姉も大学では準ミスに選ばれる程らしいのだ。その見た目も相まって此処の道場に通えば2人の様な美貌も手に入る的な都市伝説も囁かれるようになった。残り2割の男も母親や姉、通っている女性とお知り合いにと来るが3日も持たずに辞めていくのが殆どである。本気になって習ってるのが2割程度ということである。


「はぁ、帰って来てしまった。」


カイの溜息をしながら、居るのをバレないように静かに自分の部屋に向かう。しかし、制服の襟足を上に引っ張られる。


「やあやあ、弟君ではないか。何をコソコソしているのかな?」

「…ただいま姉さん。いつも素敵な笑顔で…」

「あら、ありがとう。弟から素敵なんて褒められるのは嬉しいわ。」

「それは何よりです。」

「で、何処に行くのかしら?」

「じぶんの部屋ですけど。」

「ふーん、高校生になって部活もやってないのにこの時間まで毎日遊んでイイご身分ね。」

「いやでも、其処はちゃんと母さんと父さんとも話して了承貰ってるし。」

「お黙り、けど毎日じゃなくても週に1、2度は稽古の手伝いするってのも約束したわよね。」

「…はい」

「今週のお手伝いはしたかしら?」

「してません。」

「アンタ!1、2度の手伝いも出来ないってどうゆう事なのよ!!」

「すいませーーーん!!!」


そこからは稽古という名の姉のシゴキを3時間することとなった。憐れなカイである。


さて、シゴキも終わりゆっくりと風呂に浸かりながら明日の素材回収の事を考える。


「アレが必要なんだけど苦手なんだよなぁ、オークションで売ってないかなぁ?」


風呂から上がったカイはスマホのFREEDOMのアプリから回収された素材のオークションに欲しいものがないか調べる。


「うーん、やっぱり無いかな。ドロップするのに結構手間だしあんまりやりたがらないんだろうな皆。」


すると下から夕飯だと声がかかりダイニングに降りていく、するとちょうど父親が帰ってきた。


「おかえり父さん。」

「あぁ、ただいま。今から飯か?」

「うん、いいタイミングで帰ってきたね。」

「そうだな、そういえばカイ。あっちはどうだ?」

「まぁ順調だし、楽しいよ。注目されるのは好きじゃないから派手にプレイはしてないけど。」

「そうか、勉強の支障にならない程度にな。あと、2、3ヶ月で新しいコンテンツも増えるようだから準備しておけ。」

「そうなの?でも準備も何も、内容は教えてくれないんでしょ?準備のしようがないよ。」

「なんでも出来る様にしておく事だな。」


軽く笑いながら、台所へ父親と歩く。


「あらアナタ早かったのね。早い時はメールしてっていつも言ってるわよね。」


ニコニコはしているが少し怒気が混じっていた。父は"はい、すいません"と小声で返事をし萎縮している。隣にいるカイも自分が言われてる訳でもないのにビクついてしまっている。この家での男性は肩身が狭いようだ。


そして食卓に並ぶ料理はとても美味しそうなのだが、一つ難点がある。それは量が異常に多い、誰がこんなに食べるの?と思えるほどに多い。しかもこれが一食分である。祖母、両親、姉、カイと5人しかおらずカイも父親もそれ程食べるわけではない。

そう、母親と姉である。1日の仕事が稽古であるが故にずっと動いている、まさに体力モンスターなのだ。これだけ食べてもそれ以上の運動エネルギーを使っている為太りもしないのだが、これくらい食さないと補充も出来ないようである。


「あぁ、それからカイ。明日は少し早く帰ってきなさい。」

「なんで母さん?」

「たまにはね、"アレ"の稽古しないと忘れるでしょ。」

「はい…」


母親の命には逆らえないので、諦めて素直に応じる。心の中では絶望の色に染まっているカイ少年であった。食事も終わり明日の事を考えて早く寝る事にしたのだった。

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