2話
下校中の彼は帰宅前にやる所がある、ゲームセンターだ。このゲームセンターには今世界的に人気になりつつあるタイトルVR MMO"RPG・FREEDOM"が導入されている。
このゲームの魅力は意識を仮想世界に行くのではなく、身体ごと仮想世界に入り込むといところだ。理論は公表されておらず、謎の多いゲームだがこの新しいシステムにプレイヤーは魅了されている。
公表されていない部分がある為、批判的な声もあるが若いプレイヤー(小中学生)の親には批判の声が少ない。
なぜなら、小遣い程度の定額制であり時間制限のあるゲームという所。1日長くて2時間以上はできない、強制ログアウトにされるからだ。そして不正・誹謗中傷なども強制ログアウト、最悪アカウント削除もあるのだ。さらにこの判断を全てAIに任せているので、人の感情的な判断が一切ない。その為か、基本的には穏やかなゲーム内になっている。
ガチャなどの課金を煽ることもないので、ゲームに必要なのは他のプレイヤーとの協力やプレイヤースキルが求められる。
それでも優劣をつけるプレイヤーはいるが、他のゲームに比べれば炎上は少ないだろう。
さて、彼が通うゲームセンターに来たようだ。ここの店長は日頃からやる気がないのか、お世辞にも賑わっているとは言えない。他のゲームセンターでこのゲームを導入している所では予約制にしないと入店時に揉め事が起きてしまう、既に前例も出てしまっている。ただ、前述の通りここの店長はやる気がないから宣伝をしない、使用しているプレイヤーは知られたくないので周りに言わない。ここに暗黙のルールが出来たのである。
「こんにちは。」
「よう、今日も来たか。」
「相変わらずダレてますね。」
「イイんだよ、オレは忙しいのが嫌いだからな。」
「それでよく潰れないですよね。」
「あのゲームのおかげで補助金もあるしな、しかもウチの店舗にランキングNO.1がいるからよ!」
自分がNO.1でもないのにと思うが黙っている。じゃあと部屋へ向かうと"ほれと"缶ジュースをわたしてもらい。
「頑張れよ。」
と言いながらカウンター奥に入って行く。
戒は飲み干して部屋へ向かった。
『朱嶺 戒 様、認証を確認。お入りください。』
戒は開いた扉に入る、中は真っ暗だ。目の前にFREEDOMのロゴとタイトルが浮かぶ。拠点のある街からか前回のログアウトからか選択すると、周りが明るくなり、開始場所の景色になる。
…火山内部・溶岩フィールド
あれ?此処で何してたかな??
前回なにしてたかを忘れてしまい、考えこんでいると奥の方から叫び声が聞こえてくる。其方の方に目を向けると逃げているプレイヤー、背後にはこのフィールドのユニークモンスターである溶岩のガーディアンが襲い掛かっている。
「あぁ、アレは無理だね。じゃあ行きますかね。」
そう呟くと氷河の宝玉を出してモンスターへ向かう。その速さは稲妻の如く!
モンスターは襲い掛かっている方に気を取られており、戒の接近に気付いていない。
「"衝破・砕"」
蒼白く光る掌底を当てると、モンスターは光と共に砕け散る。まさに一撃必殺と言わんばかりの破壊力であった。
「大丈夫ですか?」