リオの帰宅③
楽しい時間が過ぎるのはあっという間で、食事を始めてから3時間が過ぎていた。
「さて、そろそろお開きにしましょうか」
テーブルに並んでいたたくさんの料理も、みなきれいに平らげられた。さすが、現役の騎士の食欲である。
ランディは
「ヤヨイ様!片付けはお任せください!!どうぞ、先にお休みになってください」
と言ってさっそくお皿を片付け始めた。
「そう、悪いわね。では、そうさせていただくわ。リオも片付けを手伝ってあげてちょうだい」
「分かりました。屋敷のことは、また明日話しましょう」
『屋敷のこと』とは、おそらく屋敷の引き渡しのことだろう。
「そうねぇ…リオと話す時間はないかもしれないわ。明日はアサヒさんと新しいお洋服でおしゃれをして、カフェにでも行こうかと思っているのよ」
ヤヨイ様はにっこりと微笑んだ。
「お祖母様。今日届いた荷物の量をご覧になったでしょう。明日は片付けが最優先です。それにご自身の部屋も準備が必要でしょう。夕方には終わりますから」
ヤヨイ様の表情はみるみる渋くなっていく。
「いやだわ。ウィルもロン兄様も、ついにはリオまで」
「なんですか」
「なんでもないわよ。さて、では皆さん、おやすみなさい」
私はヤヨイ様に駆け寄った。
「ヤヨイ様、今日は私のためにお祝いしてくださり、ありがとうございました」
「私も楽しかったわ」
ヤヨイ様は再び微笑み、客室へと上がっていった。
「アサヒ」
リオがそばへ寄り、かがんで話しかけた。
「ここは僕たちに任せて、先にお風呂に入っておいで」
「うん、ありがとう」
実は、8歳の身体は眠気の限界のようで、気が緩むと今にもウトウトと眠りに落ちる寸前であった。
リオは私の様子を見てふふっと笑い、私の頭を撫でた。
「今日はそのまま寝てもいいんだよ?2階へは一人で上がれる?」
「うん。大丈夫…お風呂入る…」
(ダメだ…眠い…)
「ランディ、少しの間、ここを任せてもいいか?」
リオは目を閉じかけている私を抱え上げた。
「おう。連れて行ってやんな」
ランディはテキパキと片付けながら、ニヤニヤした顔で答えた。
私は心地良い揺れを感じながら、深い眠りについた。




