ハナとタロ②
ダイニングルームに行くと、リオとランディが朝食を取っていた。
ランディは昨日泊まる予定ではなかったのだが、夜も遅くなっていたので、今日帰ることにしたそうだ。
「おはよう。リオ、ランディ」
「おはよう、アサヒ。よく眠れた?」
いつも通りのリオだ。
「うん。リオ、昨日は寝室まで運んでくれてありがとう…」
「どういたしまして」
リオはニコッと笑った。
「アサヒの分の朝食はキッチンにあるぞ。スープは温めるといい」
「わかった。ランディ、お客さんなのに朝食まで作ってくれてありがとうね」
「かまわないさ。俺はこのあとすぐに街へ出て荷物を揃えてから、明日の早朝にリオを迎えに来る。アサヒも、今日はリオの準備を手伝ってやってくれるか」
「明日の早朝に、王都へ出発するの?」
「おう。アサヒ、留守を頼むな」
「うん。準備も任せて!リオ、必要なものがあったら言ってね」
よかった。
二人には昨日心配をかけてしまったから、王都へ行ってくれるか不安だったのだけど。これでリオのお仕事にも迷惑をかけずにすみそうだ。
リオは少し眉間に皺を寄せて、
「一週間だ。絶対にそれ以上は滞在しない」
とランディに念を押すように言った。
「に…睨むなよ…」
昨日の夜、ランディは相当苦労してリオを説得したのかもしれない。
「アサヒ、必要なものは向こうでも調達できるから、準備は大丈夫だよ」
「そうなの?でも、何かお手伝いするよ?」
「そうだな…じゃあ、明日の朝までにお土産は何がいいか考えておいて」
リオは変わらず、私に甘々だ。
「俺にもその優しさを分けてほしいものだね…」
ランディはボソッとつぶやいたが、リオの耳には届かなかったようだ。




