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聖獣①

「リオ、王都に行くぞ!!!」

 玄関の扉を開けると、ランディが慌てた様子でリオに言った。


「落ち着け、一体どうしたんだ」

「お前、本部の招集を欠席と回答したそうだな」

「当たり前だろう。王都に行くとなれば、短くとも一週間は帰ってこれない。その間、アサヒを一人になんてできないだろう」

「そ、それはそうだが…」

「まあ、とにかく中に入れ。話は聞く」


 リオはランディを応接室に案内し、紅茶を用意しにキッチンへと向かった。

 ランディは私が急いでテーブルの上にある本を片付けているのを、申し訳なさそうに見ている。

「本部の招集って、リオのお仕事?」

「あぁ。リオと俺が王国の騎士団に所属していることは知っていると思うが、半年に一度、王都で騎士団本部の定例会があってな…」

 ランディはバツが悪いのか、その先は何も言わない。


「待たせたな」

 リオが戻ってきた。

「アサヒ、悪いけど少し席を外してもらえるかな」

「うん」

 私はそそくさと部屋を出て行った。



 自室に戻り、ふぅ。と一息ついた。

 ランディがあんなに慌てているのだから、リオは王都に行く必要があるということだ。

「アサちゃん、どうしたニャ?」

「ハナ…。私たち、少しの間くらい二人でお留守番できるのにね」

「ニャ。アサちゃんにはハナがついてるニャ」

「ふふ。ありがとう」


 どうしたら、リオに安心して王都に行ってもらえるだろう。

 しばらく考えていると、湖でミュゲを開花させたときのリオの驚いた顔を思い出した。


「ミュゲ…。そうだ、ミュゲを摘みに行こう」

 あれから何度かリオの狩りについていって、湖までの道のりも覚えている。

 リオが危険だと言った場所に近づかなければいい。

 無事に帰ってきたことを証明できれば、森の中の屋敷でハナと二人きりでも、少しの間は大丈夫だと思うかもしれない。


 今から出れば、日が暮れるまでに帰ってこれる。

「ハナ。湖まで行こう」

「ピクニックかニャ?」

「ピクニックじゃないけど、リオが王都に出かけるから、ミュゲをお守りに渡したいんだ」

「アサちゃんが行くなら、ハナもいっしょだニャ」


 私はリオとランディに気付かれないように、そろりと屋敷を出て、森の中へと入っていった。

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