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言語翻訳①

 リオと生活を始めて数か月が経った。


 最近の私はというと、生活魔法をすっかり使いこなし、魔力制御も問題ないとリオのお墨付きをもらったため、これまで魔法の練習に充てていた時間は書斎に籠ることが多くなった。


 リオは私のために、様々な書籍を取り揃えてくれた。

 もともと屋敷の書斎にはリオの仕事の本しかなかったのだが、今では、リオが幼少期から学んできた一般教養から歴史学や政治学などの専門書、はたまた魔法学やマナー本、植物や動物の図鑑に至るまで、この世界で必要な知識を得るための書籍で溢れている。


 ランディは本を配達した際に、

「うげ〜、リオのやつ英才教育でも始めるつもりか?」

 と言ってきたくらいなので、相当な品揃えなことは確かだ。


 今日も洗濯物を干しおえた私は、書斎で本を漁っていた。


(昼食まで時間もあるし…ランディにおすすめされた本でも読もうかな)


『野営に役立つスキル全集』と背に書かれた本を取り、パラパラとページをめくった。


「えっと…種族別人気武器ランキング〜スキルと合わせてレベルを上げろ!〜…って『種族』も『武器』も詳しくないから分からないな…人間の武器一位は…剣なんだ。二位は…」


 この世界に来て一番役に立っているといってもよいスキルが「言語翻訳」である。

 見たことのない文字で書かれた文章も、日本語が重なり浮き出てくるので、問題なく読める。

 今でも不思議な感覚だ。


(そういえば最近ステータスを確認してないな…

 もしかしたら、レベルが上がっているかも…)


 いったん本をサイドテーブルに置いた。


「ステータス」


 ウィンッ


 目の前に半透明のボードが現れた。



 ---------------

 名前 アサヒ

 種族 人間

 年齢 8歳

 魔法スキル

 回復魔法[レベル3]

 従魔術[レベル3]

 言語翻訳[レベル3]

 火魔法[レベル2]

 水魔法[レベル2]

 風魔法[レベル2]

 土魔法[レベル2]

 従魔 ハナ(猫又)

 祝福 魂の案内人

 ---------------



(やっぱり、「言語翻訳」のレベルが上がってる!)


 分野問わず本を読み漁った功績だろう。  


(レベル3が高いのか低いのか分からないけど…

 あと、ずっと前からあるこの「祝福」って一体…)


 ステータスについては、いまだによく分からないことが多い。

 デリケートなことに思えて、なんとなくリオにも聞けないでいた。




「んン~!トマトの酸味があって美味しいね!」

 リオはいつも本当に美味しそうに私の料理を食べる。

 今日の昼食は菜園で採れたバジルとトマトのパスタ。好評なので、わが家のレギュラーメニューになっていた。

 ハナも隣でハグハグ…と勢いよく食べている。

 ハナの分は食べやすいようにショートパスタを別茹でしたので、手間をかけた分、気に入ってもらえて嬉しい。


 リオはトマトソースまできれいに食べ終え、お皿にフォークを置いた。


「アサヒ、今日は午後に少し時間を取れそうなんだけど…ウィンス語を勉強しない?」

「ウィンス語を…?」


 ウィンス語とは、ウィンスレット王国の公用語である。

 私は内心、どきっとした。

 今までごまかし通してきたという自覚があったからだ。

 それはつまり、「言語翻訳」の限界を感じていたからである。

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