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令和2年12月6日午前10時12分

作者: 花 美咲

愛する人が、自分より先に死ぬ、その後、自分がどうなるか考えた事がありますか。

愛する人が、自分より先に死ぬか、後に死ぬか、それは神様にしかわからない事だけれども、

絶対に誰しも経験する事だ。

自分の人生の終わりについて、愛する人の人生の終わりについて、ある程度の年齢を重ねると、真剣に真摯に向き合わなければいけないと思います。

令和2年12月6日午前10時12分・・・

突然・・・妻が死んだ・・・

夜勤仕事が終わって家に帰ると、動かない無反応の妻が、布団の上で倒れていた。慌てて、スマホで救急車を呼んだ。

でも、すでに、手遅れだった・・・

令和2年12月6日午前10時12分・・・

病院の救急外来で、永遠の眠りに・・・

そして僕が、ひとりほっちになった瞬間でもある。

僕は48歳、妻が53歳、年の差婚の夫婦でした。

結婚生活28年と2日・・・

子供は妻が病気の為にあきらめました、でも、満足した結婚生活でした。

でも、愛する人が先に死ぬと言う事は、精神を電光石火の如く崩壊させる。

逆に、愛する人を置いて先に死ぬと言う事も、同じ意味合いだと思う。

妻は、僕がそばにいなければ、生きて行けない女性だった。

病気を患っていた為、看病が必要だったのもあるが・・・


「私より先に死なないでね、私、一人では生きて行けないから・・・」


現実的な事を常に考えている、いつもの妻の口癖だ。

そりゃそうだ、現実的に妻は働く事が出来ない、障害者手帳1級所持者だ。

だから僕に先に死なれた場合、お金の事で困るからだ。

僕も、妻よりも、先に死ぬと言う選択肢を考えていなかったし、健康面でも気をつけていた。

そして突然、ひとりほっちになった。

僕と妻の結婚は、周囲との縁を切っての、駆け落ち同然の結婚なので、本当の意味でのひとりほっちなのである。

当たり前の日常生活・・・

「いまから、帰るよ。」

スマホでの帰宅コールも・・

妻に、仕事の時に、いつも言ってもらっていた。

「行ってらっしゃい、早く帰って来てね。」

もう、妻の口から聴くことは・・・永遠にない。

すべてが・・・

もう、ない・・・

なんの為に生き、なんの為に働くのか・・・

覚悟はしてたさ、覚悟はしてたはずなのに・・・

自分が、こんなにも寂しがり屋さんだったなんて・・

思いもしなかった。

生きている理由、働く理由、理由を失った僕は生きる屍になった、ただ、死を待つだけの僕に、現実の世界は、普段の日常生活を求めてくる。

仕事、帰宅、飯、風呂、睡眠、起床、出勤、そして・・

仕事、この繰り返しをしなければ、僕は現実の世界で生きて行けない。

しかし、こころ・・・現実の世界にあらず・・・

現実の世界は、妻の死になんの興味も示さない。

僕も、現実の世界に、興味を示さなくなっている。

そんな、僕に追い討ちをかける出来事が起きた。

妻の遺品整理をしてた時だ、妻の遺品、結婚生活28年と2日分、大量に処分しなければいけない。

持っておいても邪魔になるだけだし、処分を始めた。

妻の遺品の整理途中に・・・


「なんだ・・・なんなんだ・・・」


妻の遺品の中に、男の影がみえた・・・


古い手帳の中に、知らない男の、知らない女のプリクラが・・・

見知らぬ家族のプリクラもあった。

意味がわからない、天変地異だ。

妻は、俺を裏切っていたのか。

妻の病院の付き添いの為、僕は深夜の仕事をしていた。

昼間は寝ている、だから、妻の夜間の行動は、わからない・・・

男と逢い引きをしようと思えば簡単に出来るだろう。

妻の患っていた病気、発症する前の出来事ではないか?

病気を発症する前の妻は働いていた、僕も家計を少しでも楽にするために給料の良い深夜の仕事をしていた。

風俗サービスのチケットの裏に見知らぬ携帯番号、避妊具、僕は見たことがない、ウィッグ、マニキュア、大人のオモチャ、なにがなんだがわからない。

妻は、墓場まで持って行く秘密があったと言う事なのか、結婚生活28年と2日、妻に対してなんの不満もなかった。

満足の結婚生活だった、でも、もし妻に裏切られていたとするならば、僕になんらかの不満があったと言う事なのだろうか。

妻に墓場まで持って行く秘密を作らせてしまうほどに、僕に不満があったのかと悩んでしまう。

でも、僕は夜の夫婦生活も頑張っていた、どちらかと言えば性欲は強い方だ。

こうなってくると、妻は遊び人、僕は騙さていた人生となる。

悩む・・悩む・・

でも・・答えは永遠にわからない・・

答えは永遠にわからないが、僕をさらに苦しめる。

この苦しみは、僕が死ぬまで続く。

世の中の女性は、旦那、恋人に、墓場まで持って行く秘密を抱えている女性が何人いるのかは知らないが、これだけは言いたい。

墓場まで持って行く秘密を抱えるならば、証拠は、この現実の世界から抹消してほしい。

僕の妻みたいに、証拠を残してしまうと、僕は現実の世界で生き地獄を味わって生きている。

だから言いたい、世の中の女性に・・・

墓場まで持って行く秘密を抱えてしまう理由は、よほどの覚悟があったのだと思う。

それを否定も肯定もしないが、自分が先に相手より死んでしまう事も考えて、秘密の証拠は先に、この世の中から抹消する事を考えて欲しい。

その行動は、残された者にとっても、少なからずとも苦しみが和らぐと思う。

愛する人より、先に逝くか、後に逝くか、それは神様にしか、わからない事だけれども、それなりの年齢を重ねてきたら、人生の終わりに真摯に取り組むべきだと思う。

また、墓場まで持って行く秘密を抱えてしまうのは、世の中の女性だけではない、男性でも同じことだ。

世の中の男性諸君、愛する女性に悲しい思いをさせない為にも、秘密はこの世の中から抹消するべきだ。

・・・抹消しろと言いたい訳ではない・・・

男性にしろ、女性にしろ、墓場まで持って行く秘密を抱えてしまうのは不自然だと言いたいのだ。

好きから愛してるになり・・・結婚・・・

夫婦生活を一緒に歩むと決断した以上、秘密を抱えてはいけないと思う。

お互いの結婚生活が、満足の結婚生活だったと思う為にも・・・

そう、思いませんか、皆さん。

僕は、言いたい事が書き終わりましたので、これで終わりにしたいと思います。




読まれた後、妻を失った男の弱音と思う方もいるでしょう、しかし、あなたにも必ず訪れるんですよ、愛する人が死ぬと言う経験をするんです。

誰しも避ける事が出来ない、愛する人の死・・・

愛する人が先に死ぬか後に死ぬか、それは神様にしかわからない事だけれども、ある程度の年齢を重ねたら、自分の死について、愛する人の死について、真剣に真摯に向き合わないといけないと思います。

覚悟はしていても、いざ、自分にふりかかると、こころは、いとも簡単に砕けちる。

まして、愛する人に墓場まで持って行く秘密を抱えていたと疑いがあるのならば、精神は崩壊してしまう。

言いたい事は、こころの準備はしておいて、損はないと言う事だ。

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