表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィクトリア朝の暮らし  作者: 久我真樹
7/11

消えていった未来

「ねぇ、きれいな雪だよ。アリサ。見てごらん」

 少年は微笑み、同い年の少女に、手のひらを差し出す。

 雪は融けて、ただの水になっていた。

「すぐに消えてしまうのですね」

「もっと、きれいな雪を見せてあげるよ」

「危ないです、伯爵様」

「大丈夫だって」

 テラスに腰掛けて、身を乗り出す少年は、空から舞い降りるひときわ大きな雪の塊を見つけると、待ちかねるようにじっと見つめ、それから一気に、手を伸ばした。

 その刹那に。

 平衡を欠いた少年は、落ちていった。

 三階、二階、一階の窓の外を緩やかに、大地へと。

 声にならぬ叫びをあげ、テラスに駆け寄った少女が見たのは、薄く積もり始めた雪に彩られた地上に落ちた、幼い主人の無残な姿だった。

 上に差し出したままの手のひら、強く降り始めた雪が、重なっては消えていた……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ