表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィクトリア朝の暮らし  作者: 久我真樹
10/11

白いエプロンと

 霧がうっすらと広がる舗道、ずっと遠くは見えない。霧に混ざるような真っ白い蒸気が、舗道の脇、使用人たちが働く『階段の下』から吐き出されてくる。


 馬車を降りた私は、足を止める。立派な玄関に気おされ、ためらいを覚えていた。私がこの家を訪問するのは迷惑ではないのか、場違いではないのか。あの方から迷惑に、思われるのではないか。

 少し迷って、私は家の周りを、歩き始める。




 地下へ通じる階段のひとつに、私がふと目をやると、地下のドアを開けて、ひとりの若いメイドが姿を見せた。彼女はドアを閉めるとすぐに、エプロンで顔を覆って、泣き始めた。

 その声は車道を通り過ぎる馬車の音にかき消されて。

 すぐに彼女は気持ちを落ち着け、屋敷の中へ戻っていった。

 それはほんの短い、出来事。

 玄関のベルを鳴らすと、さっきの彼女が姿を見せる。

 少し赤い瞳で、彼女は完璧な礼儀を保ち、まるで別の生き物であるかのように、私にとっての門番としての役割を果たした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ