第八話 シルビアという女
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「貴様は人の風上に置けないな」
ひどい言われようだ。シルビアはとにかく僕のことを敵視している。さすがにそれはないと言ったら、アマゾネスの戦士とはいえ女を泣かす奴はクズの中のクズだと脅された。シルビアはミリィが泣いているときはオロオロしてなんの役にも立たなかったのに
あのあとミリィは泣き疲れてそのままベットで眠ってしまった。
「結局貴様はこれからどうするのだ?」
「これからとは?」
「姫様との関係だ。」
部屋を出た後、シルビアに問い詰められる。
「クロード族のこれからかと思った」
クロード族の戦士であるシルビアにとってクロード族のこれからはとても気になるだろう
「そんなことはどうでもいい」
言いきりやがった…
「シルビアはクロード族よりもミリィのことが大切なんだね」
笑いかけたがシルビアに無視されてしまった
「…全く…姫様のことを呼び捨てになぞ…私にも恐れ多くてできないのに…姫様も一体なぜこの男の無礼を許しておられるのだ…姫様は姫様で満更でもなさそうだし…」
「うん?なんか言った?」
「いや…」
変なの
「そうだ。この砦を案内してもらおうかな。この砦のことはどれぐらい知っているの?シテ島でもなかなか見ない、結構立派な砦だけど」
話題を変えるとシルビアはワタリに船とばかりに食いついてきた。
「おお、わかるか❗️この砦は女王陛下の御命令のもとに私が指揮して作ったのだ。海からくる海賊を撃退するためにな」
「ええと、シルビアってもしかして結構偉い人?」
シルビアはフンと鼻を鳴らすと誇らしげに答えた
「恐れ多くも女王陛下直属の戦士団の団長にしてこの砦の守備隊長、そしてミリィ姫様の剣術指南を仰せ使っている。」
砦の中央北寄りにある建物のてっぺんから見下ろすと、砦の全貌
が見えてくる。
砦は丸い形をしていて直径は100メートル程度。周囲には2メートルの土塁が築かれ、とその上に2メートルほどの木製の柵がある。柵は丸太を格子状に組んだ上に外側から木の板が打ち付けられており、さらにその木の板には鉄の板が木の部分が外側から見えないように覆っている。
砦の内部には50ほどの木でできた掘立小屋が作られており、中央は詰めれば三百人ほどが座れるであろう広場が作られている。広場は兵士達を集めたり、いざという時テントを貼ったりするのだろう。
僕たちが立っている建物は広場の北にある三階建で、他の建物よりも基礎や作りもしっかりしている。三階部分には屋根はあるが壁はほとんどなく、アマゾネスの兵士達が持つボウガンよりも明らかに大きなバリスタが東西南北に四つほど据え付けられている。ここは戦時には物見台兼バリスタの発射台となるのだろう。
「この物見台は北側に立っているんだね。ここから遠くの海が見えるよ」
「当然だ。この砦はもともと北からやってくる海賊達を迎え撃つために作られたのだ。」
「海賊?こんなところに来るのか」
「ああ、奴隷商人たちの話ではアマゾネスは奴隷として高く売れるらしい。」
一体全体、なんででしょうね
「そんなことよりも、タンクレディ殿は果たしていくつなのだ?私よりも歳が上のようには見えないが…」
「18だけど…そんなことを聞いてどうするんだい?」
振り返るとシルビアが苦虫を噛み潰したような顔で立っていた。
「まさかこの私が18のガキにタメ口を聞かれるとはな。一応は年上なのだから敬意を示してもらいたいものだ。」
「うーん。今までは気さくに話しかけたほうが喜ばれたんだけどね。」
「ここは貴様の暮らしていた場所とは違う。」
やれやれずいぶん嫌われたものだ。
「シルビアは18歳なのが気に入らないんじゃなくて、僕がミリィともしかしたら結婚するかもしれないということが嫌なんじゃないのかな?」
「そうともいう」
「それはまずいね。ミリィが最も信頼するシルビアと僕の仲が悪ければ今後の作戦行動に支障が出かねない。結局どんな戦いでも心を一つにした方が勝つからね」
そう、太平洋戦争でも、日本軍は負けているにもかかわらず、陸軍と海軍が争い合った。剣豪同士の戦いもそうだ。心をより落ち着けた方が勝つ。僕がマルグレーテに負けたのも僕の心が動揺していたということが大きかった。
「ふん❗️私に認めてもらいたくば、私よりも強いことを示すのだな。古来アマゾネスはたくさんの男を囲ってきたが、例外として自分よりも強い男には全てを捧げるという古来からの風習がある。」
「ミリィとの関係も?」
「なんだ貴様ミリィに惚れていたのか。そんなそぶりは今まであまり見せなかったのに」
ははは、挑発に乗ってきたぞ、シルビアはあまりに気性がまっすぐすぎてちょっと挑発すればすぐに乗ってくる。
武人らしくていい性格なんだけどなあ。
「いえトップが率先してアマゾネスと婚姻すれば部下達も従いやすくなりますから」
「っ、やはりそれが本性か❗️やはり貴様のようなやつにミリィは渡せん」
「うーんでもそれはミリィが決めることじゃない?」
「黙れっ」
シルビアは両手でえり首をつかもうと飛びかかってきた。僕は軽くそれをいなしてやる
30分も続けていると、シルビアの息が切れ始めた。
「シルビア、どうしてもミリィとのことは認められないか?」
「あっ…たりっ…前だっ」
シルビアは体力を消耗し切っていてマトモに目線すら上げてこない。僕はわざとシルビア の目の前に立つと、冷たい目つきをして見下ろした。
「ならシルビアにもチャンスを与えよう」
「はあっ?」
シルビアが僕のことを見上げてきた。
「僕と決闘して、勝てたらミリィのことは諦める。負けたら僕とミリィとの結婚を認めろ」
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