表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで俺が落単なんですか!  作者: グッドバイ左衛門
1/1

は?落単?

ノリで書いちゃった系小説ですが、ゆる~くお付き合い頂ければ幸いでござんす。

 大学生活が始まって3度目の夏。長期休暇に差し掛かり、アルバイトに遊びに飲み会に精を出し、近代的かつ模範的な大学生像を余すことなく体現していた。追試や集中講義、実習などとは無縁な俺にとって、天国のような期間だが、そんな中にも忘れてはいけない大事なイベントがいくつかある。その1つが、成績開示である。だらけきった者には地獄であり、その真逆の者にすれば、己の努力の証左を確認できる貴重な機会となりうるのが、この開示である。現在では概ねの大学において、ネット上での通達が普通になっており、わざわざ大学などに赴かなくても、自宅で確認ができる。かくいう俺も、自分の成績を確認するために、ベッドに横たわりながらノートパソコンを開いている。自慢ではないが、俺はどんなことも卒なくこなすタイプで、これまで落とした単位も1つしかないほど、優秀な学生なのだ。だからこれから見る成績について、特にこれといった感慨もなければ絶望もない。ただただ作業のように、大学のサイトにアクセスし、自分の成績を確認するページを開く。大学の成績は、評価の高い順に、秀、優、良、可と続く。そして単位が認められない場合、つまり落第の場合は”不可“とされる。俺の成績は、秀、良、秀、秀、優、良、優…ふむ、今期はいつもより良いかもしれない。と思った次の瞬間、最下段の列に見慣れない二文字があった。


 「なんで俺が落単なんですか!」

 俺は勢いあまって強い語気で言い放ってしまった。すると教授は

 「はぁ…なんでって君、成績が良くないからに決まっとるじゃないか。」

 と、面倒くさそうに淡々と答えた。

 「でも僕はレポートをきちんと提出していますし、テストも入念に準備をして臨みました。これで単位すらもらえないというのは、おかしいのではないでしょうか。」

 簡単に食い下がる気はなかった。そんな俺を見て教授は、書類の束の中をごそごそと探り出し、やがて1枚の再生紙を取り出した。

 「君、名前は?」

 「梶村です。」

 「梶村、梶村…」

 教授は手元の紙を上から眺め始めた。少しして、教授は咳払いを入れてから言った。

 「あー、梶村君、大事な中間レポートの提出がないみたいだね。私の授業じゃこのレポートがないことには単位はあげられないよ。」

 「僕は確かにすべてのレポートを提出したはずです。何かの間違いではないですか?」

 「そうは言ってもねぇ、私も素人じゃないから、レポートのチェックに余念はないよ。ゼミの子たちにも協力してもらって、何重にも確認するもの。もし確認漏れがあったら、大ごとだからね。一応、もう一度確認してみるけど、期待はしないほうがいいと思うよ。」

「そうですか…」

 力なく答えた。提出したはずのレポートがないという事実が頭の中をぐるぐると巡っている。教授をやりこめるまで帰らないつもりだったが、予想外の事態になり、すっかり意気消沈してしまった。教授に挨拶をしてから大学を後にし、真上からの強い日差しと、セミたちの熱いシャウトを浴びながら、とぼとぼと帰路についた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ