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【アニメ放送中】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月より】  作者: ハム男
第13章 魔王城の攻略と攫われた天使

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第857話 祭りの後で

 魔導砲を使って魔王城に大穴を開けたタムタムがそのまま、外へとゆっくりと飛び出そうとする。

 アレンの仲間たちも合わせるように迅速にタムタムに飛び乗っていく。

 神技「竜王貫通牙」を発動させたハクとクレナもタムタムの背を追う。

 

 魔王城から飛び出し、魔法障壁の干渉を十分受けないほど離れることが出来たら、セシルの神技「時空魔法」で魔王軍から一気に逃げることができる。


「よし、脱出した。クレナたちも早く!」


「分かっているよ、メルル!」


 クレナの腰には今回の戦いで死んだヘルミオスのパーティー、十英獣の棺桶袋が入っている。

 復活させるためにも絶対に逃げないといけないことは、クレナはよく分かっていた。


 あと数秒の時間があれば確実に脱出できただろう。


 だが、それを魔王は許さなかった。

 今にも凶悪な魔法を放とうとしている。


 飛び乗ったクレナと立ち代わるようにロゼッタが床に降り立った。


「もう仕方ないわね。強奪手ローバーハンズ!!」


「え? ロゼッタさん」


 クレナの視界とすれ違うロゼッタがこの場に残り、エクストラスキル「強奪手」を発動して魔王の「ダークネスソウル」の発動を遅らせるようだ。


「馬鹿め。人族ごときが超越者になった余の力を止めれるわけなかろう」


「ぐっ!? ぐああああああ!!」


 魔王が魔力を込めると抗えないと言わんばかりに、右腕を掲げるロゼッタの右腕の血管が一瞬にして弾ける。

 それでも命懸けでロゼッタは、魔王の攻撃のほんの数秒、ほんの一瞬でも遅らせて全員を脱出させたかった。

 発動させた右腕が弾けようと全魔力を込め、魔王の攻撃を止めようとする。


 そんなロゼッタの横にもう1人、男が降り立った。


「もう、ロゼッタの考えそうなことだ」


「ヘルミオス!? なんで!!」


「皆の未来を僕らで守るんだ。いいね」

「……ええ。いくわよ!!」


 ロゼッタの左手とヘルミオスの右手が強く握られる。


「「強奪手ローバーハンズ!!」」


 2人とも握り締めた手とは反対の手で、魔王へ向けて真っすぐ伸ばして「強奪手」を発動した。


「ぐぐっ!? だが燃え尽きよ!!」


「ヘルミオスさん!? ロゼッタさん!!」


 絶叫するクレナの目の前で、ヘルミオスとロゼッタの2人は、魔王によるダークネスソウルの漆黒の炎に包まれた。


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオッ


 魔王城の壁際から外へと魔王の放った「ダークネスソウル」が全てを満たして焼き尽くす。

 漆黒の炎は今にもハクやタムタムに乗るセシルたちのところまで届きそうだ。


「く! 空間転移テレポート!!」


 クレナが絶叫するが、セシルは構わず時空魔法「転移」を発動して魔王城から脱出したのであった。


***


 今は10月1日の夜遅くだ。

 アレンの仲間たちが魔王城から脱出した数時間後、ロダン村は静けさに満たされていた。


「ひひ、もう飲めねえよ……」


 豊穣祭は夜遅くに解散したのだが、振舞われたお酒を飲んだ村人たちが広場に転がっている。


「全く、ほれ? もう夜中は冷えるぞ」


「村長、すみません……。むにゃむにゃ」


 広場の中央のかがり火に照らされたロダンが酔った村人を片手で抱え、自宅である村長の家に運んであげるようだ。

 これから収穫時の時期の豊穣を願った祭りはたくさんの村人が盛り上げてくれて盛況のまま終わった。


「……まったく。結局、アレンたちは戻ってこなかったな」


 朝から魔王軍との戦いに出かけたアレンたちは、もしかしたら夜の祭りには顔を出せるかもしれないみたいな話をしていた。


「ロダン、私たちも家に戻りましょう。アレンは忙しいのよ。明日には元気に帰ってきますよ」


「……ああ、そうだな。それにしても今日はやけに冷えるな」


 急な突風が背中に当たったロダンは、残暑が残る今の時期とは思えない冷たい風と思いながらも妻のテレシアと一緒に入っていく。


 それからさらに数時間が経過した日にちを跨いだ深夜だ。

 ロダン村に入るための巨大な門を前に数人の門番たちが夜の番をしている。


「うう、今日はやけに冷えるぜ。それに嫌な風だ。なんだか唸っているように聞こえるぜ」


 門番の1人がかがり火に手を当てて全身を震わせる。


「ほれ、これを呑んで温まれ?」


「おい、これ。祭りの酒じゃねえのか?」


「いいんだよ。祭りは終わったんだ。余ってても仕方ねえだろ。お前もこれを呑んで温まれ」


 2人の若い門番が祭りの残りのお酒を飲んでいる諫める者がいる。


「おいおい、もう少し集中しろ。ここは白竜山脈が近く、グレイトボアがそろそろこの辺りまで降りてくる時期なんだぞ」


「すみません!? ベスさん」


 ベスはロダンと一緒に20年以上ボア狩りをした最古参だ。

 ロダンと一緒に平民となり、ロダンが村長として開拓村へ出ると分かった時は一緒になってついてきた仲間の1人だ。


 ベスの怒りを他所に新人の門番たちの反論が飛び交う。


「何言っているんですか。こんなに高い塀と門があるんだ。それに村の周りは深い水路で隔ててあるんですよ。これまで一度もグレイトボアが村に攻めてきたことなんて……」


 ここはアレンが故郷に残した両親を思って、召喚獣を使って作り上げた村だ。

 そこへもう1人の年長の門番のペケジが、ベスが怒って手を出す前に割って入った。


「こら、ベスが怒っているぞ……。そこは『気を付けます』でいいんだよ」


 ベスが睨みを利かせると、2人の若手の門番たちが持ち場についていく。


「ったく。村長が甘いから、若いもんの身が入らねえんだ。今度の村長会議でしっかり言わないとな……ん? 揺れている?」


 地面が揺れているような気がした。

 今日の夜番のために進められた酒を断ったベスは、最初は気のせいだと思った。


 メシッ

 ミシッ


「おい、門が揺れているぞ」

「塀もだ。何だなんだ?」


 塀も門も大きく揺れ、決して酔いが回ったわけではないと門番たちがすぐに確信する。


「お? 止んだか?」

「何だったんだ?」


「外の様子を……」


「馬鹿! 門に近付くな!!」


 若い門番の1人は外が気になると門に近付き、ベスに注意された瞬間だ。


『グモオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


「うわあああああああ!?」


 巨大な鳴き声と共に門がこっちに向かって倒れ込んできてベスと若い門番が巻き込まれる。


「うわあああああ! 魔獣だ!! 門をけやぶって入ってきたぞ!!」

「こいつはグレイトボアか? いや、もっとでけえぞ!!」

「おい、門に潰されたぞ、助けなきゃって、ぎゃあああああ!!」


 グレイトボアよりも1ランク高いヒュージボアが門を破壊して村の中に入っていく。


 グシャッ


 大人の身長よりも大きく太い足の蹄が迫り、若手の門番を1人、捻り潰した。


 門番たちを蹴散らしたヒュージボアの集団が村の中に入っていく。


「おい、何だ? 何の騒ぎだ!?」

「魔獣だ!! 巨大な魔獣たちが入ってきたぞ!!」


 居住区に入ったヒュージボアたちが家の壁に鼻先を突っ込むと思いっきり首を持ち上げる。

 そこらかしこで2階建ての家が、自らの屋根の倍ほどの高さまで舞い上がり、村人たちの絶叫が広がった。


 何十、何百のヒュージボアによって逃げ惑う村人は踏みつぶされ、食われていく。

 村人の阿吽絶叫が広がる中、突如襲ってきたヒュージボアの集団にロダン村が襲われるのであった。


***


 それから1ヶ月ほどが過ぎたギアムート帝国の帝都ベルティアス付近だ。

 Aランクの魔獣で構成された魔王軍は、100万を超える軍勢で帝都を取り囲んでいる。


「決して後れを取るな!」

「帝都は我らが守り抜くのだ!」

「帝都臣民の命は我らの戦いにかかっているのだぞ!!」


 将軍や隊長級の兵たちが部下の兵たちに檄を入れる。

 外壁の上では、数万人にも及ぶギアムート帝国軍がグルっと戦いに備えて待機している。


 帝都の建物の中では避難できなかった数十万人の帝都に暮らしてきた平民や貴族たちがいる。

 帝都内の一角にあるエルメア教会の中では、魔王軍との戦争で親を失った数十人の孤児たちが、地下に設けた避難室で神官たちと一緒に身を寄せていた。


「怖い……」

「大丈夫です。エルメア様が必ずお救いになります」

「でも、なんか揺れてるよ」

「大丈夫ですよ。静かにしましょう。皆で祈るのです!」


 ズン

 ズウウン

 ズガガガンッ


 石作りの頑丈な地下室が何故か揺れ始め、困惑して泣き出す孤児たちを神官たちは困惑する。

 それは外壁の上で待機する帝都の兵たちも一緒だった。


「何だこれは……」

「こんなの勝てるはずがない」

「もう、終わりだ。勇者様、我らをお救いください……」


 外壁の上にいる兵たちの遥か視界の先から絶望がやってくる。

 全長300メートルのガンディーラ改拾式が、地響きを鳴らし、大地を揺らし、自らの体の数倍もある大岩を両手で担ぎ上げて、魔王軍の最前線にやってきた。


『よし、我ら魔王軍の力を愚かな人族共に見せつけてやるのだ!! 放てええええ!!』


『……』


 最高指揮官の上位魔神が号令を上げると、ガンディーラ改が小さく頷いて大岩を持ったまま振りかぶり、そのまま帝都の中央に向けて投げつける。


 外壁の上にいる兵たちは頭上遥か上を通過する。

 兵たちの中には明らかな力の差に絶望して武器を落としてしまっている者までいた。


 ズガアアアアアアアン


 帝都中央にある宮殿が自らの数十倍の大きさの大岩に容易く捻り潰され、建物の中にいた王侯貴族ごと姿を消していく。

 着弾と共に強力な爆風が生まれ、無数の建物を襲い基礎から吹き飛ばして帝都は瓦礫と化していく。


 兵の上に立つ兵たちは強風によって、帝都の外まで数百人、数千人と投げ出されていく。

 外壁の内側に立っていた兵たちは無数の瓦礫に襲われて隊列は崩壊してしまった。


『逃げる場所などない! 全員殺せ! 1人も逃さず腸を引き千切るのだ!!』

『魔王様はせん滅をお望みだ。人間どもの阿吽絶叫を世界に響かせるのだ!!』


 指揮官の魔神たちが今度は自らの部隊に指示を出し始めた。


『グモオオオオオオオオオオオオオオ!!』

「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 巨躯のトロルキングやオーガキングが四方から半壊状態の帝都ベルティアスに襲い掛かるのであった。


***


 ギアムート帝国の帝都ベルティアスへの攻勢を進めるのと同時期に、忘れ去られた大陸の集合知力のルキモネのいる魔王軍の指示機関では絶えず指示が出されていた。


 ルキモネは1ヶ月ほど過ぎたが、まだ完全に回復しておらず、アレンたちと戦う前の3分の1ほどの大きさしかない。


「ギアムート帝国の帝都の壊滅を確認。周囲で人族たちが軍の再配備を進めないように警戒を怠るな」

「ラムチャッカ海峡に展開するゴーレム軍を破壊した。海底のプロスティア帝国を含め、援軍の可能性は低い。このままバウキス帝国の帝都および魔導船兵器の工場のせん滅に向けて軍の配置を進めるように」

「竜人たちのほとんどが審判の門のある神殿へ立てこもりを確認。竜王並びに兵たちが徹底抗戦の構えである。審判の門は最重要目標だ。他国からの援助を受けられないよう全ての道を塞ぐように」


 魔族たちが、ルキモネが分析した状況を踏まえ、各方面に分かれた魔王軍の指揮官たちに細かい指示を矢継ぎ早に送っている。


『うんうん、彼らもしつこいからね。しっかり叩きつつ、僕らの目標を達成するんだよ』


 ブンッ

 カツカツ


 その様子を側に大魔王ゼルディアスが魔王軍総司令オルドーを引き連れて転移してやってきた


「順調のようだな。キュベルよ」


『はい。大魔王様! 人族を中心として構成された5大陸同盟軍を壊滅しつつあります。神界へ通じる審判の門を速やかに僕らの手に掌握してみせましょう。これも大魔王様が魔獣のランクをさらに1つ挙げていただいたおかげです』


「……そうか。余は油断せぬ。お前もそうであると期待しておるぞ」


『はは!! 大魔王様の悲願を1日も早く達成させます!!』


 大魔王となって新たなスキルを発動し、魔獣のランクをさらに1つ上げた。

 各大陸が絶望と混乱する中、魔王軍を各大陸に侵攻し、世界の人口の3分の1人ほどで数億人の人間が1か月間の間に死んだと言われている。


 人々が神々に祈りを捧げる中、世界は魔王軍の手に落ちようとしているのであった。


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ヘルモードコミック13巻
発売日:2026年1月9日
ISBN:978-4803022483

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― 新着の感想 ―
ロゼッタは惜しかった。。 まさに、ヘルモード。。
ヘルモードについて色々言ってる人らもいるようだが個人的な認識としてはモードってのは本作のように自分の強さ、成長の仕方の設定とか敵の強さの話だから、別にストーリーの流れとは本来別の話のワードのような気が…
S級ダンジョンのビービーとかクリムゾンもランク1つ上がったのかな? 強化された魔獣やボスを周回しての修行回とか妄想しましたが、 あーでもそのへん管理してたディグラグニが亡くなってるなら、どうなるんだろ…
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