第848話 地上戦⑨竜王の玉
ハクが竜王の玉を破壊すると虹色のカーテンが空を覆って揺れ始めた。。
ハクはもちろんのこと召喚獣やアレン軍たち全軍も効果がある。
『全軍よ、態勢を立て直せ! 時空神様より頂いた竜王の玉を発動した! クールタイムは1度のみリセットされるぞ!!』
「うおおおおおおお!! 力が湧いてくるぞ!!」
「同胞の敵を討つのだ!!」
「必ず我らが勝利するぞ!!」
兵たちの内から湧いてくる力に何時間も魔王軍に押された状況に希望が現われて奮い立つ。
【竜王の玉の効果】
・竜および竜人の全ステータスバフ5万増加の衣で覆われる
・竜および竜人以外の全ステータスバフ3万増加の衣で覆われる
ゴーレムは対象外。ドワーフおよび召喚獣は対象。
・バフの効果は装備枠のため、他のスキルや魔法のバフと重ならない
・竜のブレス威力および範囲2倍
・1回のみクールタイムリセット
・効果は1時間
・使い切りのため再調達には時空神から竜王の玉を貰う必要がある
さらに、装備枠だが召喚獣たちにも強力なバフが降り注ぐ。
『うむ! 力が漲ってくるぞ!!』
『まだ頑張れるのだ~』
石Hの召喚獣上空にいるマグラとマクリスのステータスが上昇した。
『ギチギチ!!』
『ギチギチ!!』
共有するメルスの指示のもと、最前線で戦うハクやメルルたちゴーレム部隊の加勢のため、無数の虫Aと虫Bの召喚獣たちがハッチ、子ハッチ、子アリポンを引き連れ、前進を開始する。
魔王軍も最前列は7体のうち4体のガンディーラ改と共に、化身となった魔族や魔獣が敷き詰めている。
ズンズンッ
『グルル!!』
『ハクよ! 狙いは正面のデカブツだ!!』
鳥Eの召喚獣の覚醒スキル「千里眼」で、メルスは竜王の玉を使用して強化した状況を魔王軍が様子を見ていると判断した。
前進するハクに先手必勝の策を指示する。
『グオオオオオオオオオ!!』
竜王の玉によりステータスが上がったハクはメルスの指示を受け、首を掲げて一気に特技「終焉の炎」の超高熱の炎を吐いた。
『か、回避を!!』
仲間たちや精霊のバフや加護を受け、自らの神技「竜気」を再度かけ直し、さらに竜王の玉で強化されたハクのブレスは強力であった。
超高熱のブレスをガンディーラ改参式の胸元に当てる。
一気に胸元が超高熱で真っ赤になるガンディーラ改参式は回避も防御の行動もとれなかった。
ズガガアアアアアン
駆動室の中にいた合計300体の上位魔神、魔神、魔族たちを数千度にも数万度にも達する超高熱に耐えられず焼き殺されてしまった。
ブレスの炎によって背面まで真っ赤になったガンディーラ改参式が操縦者を失って爆音を上げて倒れてしまった。
「よっし、1体デカブツを倒したぞ!!」
「次々いこう! 残り6体だ!!」
ようやく明るい希望が出てきたので、自分らゴーレムと違ってステータスが上がったハクを先頭に攻勢に出ようとする。
背後からは召喚獣たちがそろそろメルルたちに追い付きそうだ。
『グル!!』
ズンズンッ
まだ熱が残る地面を踏み締めながら前に進み、ハクがガンディーラ改肆式にブレス範囲に入った。
『グルオオオオオオオオオオオオ!!』
今度は全てを凍らせる特技「氷結地獄」のブレスを吐く。
ガンディーラ改肆式の足元をワラワラとハクに向かってやってくる化身になった魔族や魔獣を真っ白に凍らせ、息の根を止めていく。
『守れ! これ以上、我らの戦力を失うわけにはいかない! 防壁を貼るのだ!!』
『は!! 巨大障壁展開!!』
目の前でガンディーラ改参式が倒されたこともあって、肆式の駆動室の中では速やかに対策が立てられていた。
地面からメキメキと巨大な魔力で作られた防壁が現われ、全長300メートルに達するガンディーラ改肆式の全身を隠す。
だが、竜王の玉で2倍の威力になったブレスは魔法でできた巨大な防壁であっても完全に凍らせ、音を立てて崩していく。
あと一歩でガンディーラ改肆式に届きそうなところで、ガンディーラの視界越しに状況を見ていたルキモネは状況を理解していた。
『……後方の3体は肆式を守りなさい。前方の2体はあのドラゴンを挟み撃ちで攻撃しなさい』
全ての駆動室に響くルキモネの指示を聞くと、肆式以外の5体のガンディーラ改が速やかの攻防の行動に移る。
『ルキモネ様からの指示だ。左腕部門は巨大障壁を速やかに肆式前に展開せよ!!』
『は!!』
『は!!』
『は!!』
『グルルル!!』
ハクが倒せなかったことにいら立ちを覚え、口元の牙を大きく見せた。
「俺たちもいくぜ!!」
『そうですね、メルル! 今こそ敵巨大ゴーレムの数を減らし戦況を変えましょう!!』
「うん、超神合体だ!!」
メルルたち25体のゴーレムは、クールタイムがリセットされ、再度、神技「超神合体」を発動し1体の巨大ゴーレムになった。
『よし! 敵後方の3体は私がかく乱しよう。ハクとメルルたちの2体がかりで1体ずつ仕留めてくれ!! メタッチは1体だけ残し、2体は前進して、ハクに迫る2体のデカブツの動きを止めよ!!』
『プルプルッ!!』
『プルプルッ!!』
メルスは今いる戦力で最前の方法を模索し、速やかに鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を通じて、メルルたち、ハク、召喚獣たち、そしてアレン軍たち全軍に戦況を伝えながらも指示を出した。
成長レベル9の1体の石Hの召喚獣をアレン軍の前面に残し、成長レベル8の2体の石Hの召喚獣は地面を転がるように前進する。
竜王の玉でバフを受けた2体の石Hの召喚獣は左右に分かれ、ハクに迫る前面にいるガンディーラ改の伍式と陸式に激突した。
ドオオオオオンッ
ドオオオオオンッ
吹き飛ばされたガンディーラ改の伍式と陸式は体勢を立て直し、石Hの召喚獣に攻撃を加える。
飛んできた右腕や胸からの超メガロン砲で肉体が崩壊しても体力を特技「自己修復」で修復してガンガン突進を繰り返す。
石Hの召喚獣は攻撃系の特技も覚醒スキルもないが、圧倒的な体力と自己回復能力で、倒されずに敵進行を妨げるという作戦には抜群の効果を発揮する。
『よし、ハッチとアリポンたちは前進せよ! 私と一緒に奥のデカブツ共が前面のデカブツたちに加勢しようものなら私の的だぞ! 目録……。雷火巨弓!!』
【武器名:雷火巨弓】
①特技名:サンダーレイン
・攻撃力1000当たり1本の火と雷属性の矢を降り注がせる
②覚醒スキル名:ライジングピアス
・全霊力で貫通力の高い雷属性の矢を放つ。雷による麻痺追加効果
上空を飛ぶメルスは、雷をまとう自らの身長ほどある大弓を持って敵陣奥に向かう。
『メルスが飛んできたぞ! 撃ち落とせ!!』
『は!! デスファイア!!』
『は!! エビルアロー!!』
数百、数千の魔法弾や弓矢が飛んでくるが鳥Eの召喚獣たちと無数の視界を共有したメルスは上下、前後左右、全てが見えているほどの匠な翼捌きで躱していく。
メキメキッ
『むん! ライジングピアス!!』
まだ3キロメートルほど離れていたのだが、張力のある巨大な弓を力いっぱい弾いて、敵陣奥にいるガンディーラ改漆式の胸元に向けて覚醒スキル「ライジングピアス」を放った。
ドンッ
バチバチッ
『がは!?』
『回復魔法を! 体勢を立て直せ!! 左腕部門は上空のメルスの追撃に注意せよ』
音速を超えた巨大な矢がガンディーラ改漆式の胸元に貫通し、駆動室内にいる魔神や魔族たちに雷の追加効果をもたらす。
半数近くがメルスの一撃で死亡し、残りは攻撃によってマヒ効果ですぐには動けない。
指揮官の上位魔神が各部門に体勢を立て直すよう指示を出している
『捌式と玖式はメルスからの遠距離攻撃に気をつけつつ、漆式のフォローに入りなさい』
ルキモネがガンディーラ改の駆動室内に指示を出し、態勢を立て直そうとする。
『よし、これで私を無視して前線の3体へフォロー入れられなくなったな。この数時間、これ以上のデカブツはこない。お前たちを1体ずつ倒せば勝機はまだあるぞ。時間はそこまで残されていないがな。マグラとマクリスも前面に急いで出てきてくれ』
メルスは後方の3体のガンディーラ改を倒すことが目的ではなかった。
前方の残る3体のフォローを入れられないよう、自らに攻撃を集中させることだ。
この竜王の玉はスキルでも魔法でもない、武具の装備品と同様にアイテム枠だ。
時の大精霊の加護やロザリナのスキルによる延長効果はない1時間きっかりで効果が切れる。
この1時間の間に6体のガンディーラ改を倒しきらなければいけない。
その間にもメルルとハクがガンディーラ改肆式に迫る。
『メガトンパアアアアンチ!!』
『グルオオオオオオオオオ!!』
ガンディーラ改の伍式と陸式が石Hの召喚獣のたちの体当たりで援護できないため、このまま止めをさせそうだ。
ガンディーラ改肆式が作った巨大障壁を破壊し、ブレスを叩き込もうとしたその時だ。
『……仕方ありませんね。これ以上の戦力の損耗は看過できません』
バキバキ
シュルシュルッ
「うわ? なんだ!!」
『メルル! 足元に何か!!』
『ギャウ!?』
足元の岩盤を砕き、巨大な触手が超神合体ゴーレムとハクに迫る。
『なんだと!! 何か巨大なものが地面から出てくる』
最前線上空にいるメルスは、メルルたちに起きた異変に気付いた。
『私は魔王軍最高幹部の一角。六大魔天ルキモネと言います。お初にお目にかかります』
本体の全長500メートルに達する巨大スライムに触手が全身から伸びたような形状をしている。
巨大な目と口が1つずつスライム状の頭部についているが、触手に至るまで目や口がいたるところにある不気味な形をしていた。
『おおお!! ルキモネ様が加勢に加わってくださったぞ!!』
岩盤を押しのけ出てきたルキモネにガンディーラ改肆式に乗る魔神や魔族たちも喜んでいる。
触手で超神合体ゴーレムとハクの足を掴んで前方に吹き飛ばしたルキモネは、目の前に迫る召喚獣たちに狙いを定める。
ブンッ
ブンッ
『ギチギチッ』
『ギチギチッ』
パアッ
パアッ
さらに全長数百メートルの触手を大振りで振るい、上空に浮く虫Aの召喚獣や地べたを敷き詰める虫Bの召喚獣を薙ぎ払い光の泡へと変えていく。
『く? いかんぞ!! 時間がないのに……。新手の強敵だと』
六大魔天で集合知力の巨大なルキモネが地面から這いずり出てきたことにより、メルスは明らかに動揺するのであった。





