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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第13章 魔王城の攻略と攫われた天使

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第795話 攻略準備10日目:演説

 海上を北へ真っすぐ向かうヘビーユーザー島の一角にアレンはアレン軍との合流を果たした。

 3時間後のアレンは種族ごとに隊列を組んだ2万人の前に立つ。


(なんか俺のために小山を踏み固めているし)


 アレンが出発の挨拶をする予定は、作戦決行のスケジュールの中に盛り込んでいたのか、当然とばかりに土を数メートルの高さに盛り上げている。


「私たちパーティーの皆さんはこちらです」


 ソフィーの指示の下、アレンが立つ小山を背後に、アレン軍の前面に仲間たちが並ぶ。

 アレンの背後にはメルスが翼を広げて空中に浮いている。

 仲間の横には今回の作戦に参加する十英獣、小山の背後の左右には巨躯のタムタムとハクがアレン軍に相対する。


『皆さん、地声では皆さん全員に届けられませんので召喚獣の力を借ります』


 地声では2万の軍勢の全員には届かないので、肩に止まらせた鳥Fの召喚獣ごしに語らせる。


『まずは今回の戦いに参加していただいたことに感謝を述べたいと思います。ありがとうございます』


 黙って聞くアレン軍の兵たちに向かって語り続ける。


『各将軍からも誰1人として欠けなかったと報告を受けております。おかげで作戦が経過どおりに実行できそうです』


 アレンは今回の作戦の危険性からどうしても参加が厳しい場合は、アレンやメルスが回収に向かう集合先に集まらなくてよいと伝えていた。

 里帰りは帰国しやすいためでもあった。

 だが、家族や大切な人と会ったアレン軍の兵の誰もが今日の戦いに参加する意思は揺るがなかった。

 このアレン軍結成時、魔王軍によって家族を失ったりと戦いの士気の高い才能のある者たちを集めた経緯があるのだが、それは故郷に帰っても変わることはなかった。


 さらに、集合先には魔王軍との戦いを知った家族、親類、仲間たちが詰めかけて、一緒に戦わせてほしいと詰め掛ける状況にあったことを、将軍たちからの報告と各方面に転移用に待機させていた鳥Aの召喚獣たちが捉えている。

 だが、十分な装備も作戦の指示系統も分からない者を参加するわけにはいかず、はっきりと断った上で転移の対象者から外して、この場にやってきたという経緯があった。


『昨日、王家に出発に際し奮闘させるためもてなされた者、久々の家族や友人と会えた者、ただただ、今日という日のために武器を磨いた者。様々だったと思います』


「………」


 どれだけの思いがあるのか拳を体の横で強く握りしめ、兵たちが無言でアレンの言葉を聞いている。

 数十年、侵略を受けても、魔王軍の根城である忘れ去られた大陸を攻めたことは一度もない。

 今日はそれぞれの無念を晴らし、大切な家族を守るための大切な日のようだ。


『中には家族に行かないでほしい。お子様から泣き縋られた方もいるでしょう』


 一緒に戦いたいと参加を申し出られただけではないようだ。

 2万人も参加者がいれば、当然、家族がいて、子供もいるだろう。

 もしかしたら将来を約束した相手がいたのかもしれない。


 アレンの言葉に兵たちが思いが溢れ肩を揺らし、目が充満してくる。

 どれだけの思いで大切な人たちを置いてこの場に来たのだろうか。


『皆さんが魔王軍と戦う強い意志をもってアレン軍に参加していることは聞いております。今日はその思いに応える日です』


『今回の作戦に限っては、家族、仲間たち、故郷のために全力で戦ってほしい。命を懸けてほしいです』


『……普段の演習では、私は「命を大事に」と伝えてきました。S級ダンジョンでの集合演習で命を失うことほど馬鹿らしいものはありません』


『今、学園で必死に魔王軍の戦いに向けて修練を積んでいる学生。世界の広さをまだ知らない無垢な子供たちの未来は私たちの戦いに掛かっています』


『皆さんには最も魔王軍の矢面に立って戦っていただきます。それも、魔王軍が攻めてくると分かっている中に飛び込む形です。魔王軍の策略が牙を向くでしょう。ですが、戦いに参加するのは私たちだけではありません!!』


 カッ


「おおおおっ!?」

「おおおおっ!?」

「おおおおっ!?」


 アレンの言葉に反応するように直進するヘビーユーザー島の天に合わせるように魔法陣が生じ、金色のゴーレムが舞い降りる。


『今回の戦いは神界を荒らした魔王軍から第一天使ルプト様を救う大切な戦いです。戦いの成否によって人類の存続が掛かっているのです。5柱の神々が人類の存続を掛けた戦いに参加してくださいます』


 アレンの立つ小山の背後にゆっくりと迷宮神でありダンジョンマスター・ディグラグニが下りた。

 さらにソフィーの胸元にモモンガの姿をした精霊神ローゼン、ルークの頭に漆黒のイタチの姿をした精霊神ファーブルが舞い降りた。


 ポンポン

 コンコン


 さらに2体の亜神である精霊王ポンズとコンズが大精霊神イースレイによって遣わされた。

 それぞれ狸と狐の姿をしてソフィーとルークの周りを舞う。


 アレンは大天使アウラを通じて創造神エルメアと交渉し、神々参加を要請した。

 人類の存続と第一天使の奪還を理由に神々の力を貸してほしいという交渉は8日間に及び、ようやく話がまとまった。


 神々としても第一天使ルプトを攫われたことを重く見たようで、元々協力関係にあった3柱のみ、魔王軍との戦いに参加できる協力を得た。


『私たちが前面で戦いますが、5大陸同盟軍、プロスティア帝国も全力で戦いに参加します』


 ズオオオオオオオン


 海面からヘビーユーザー島に乗るアレンたちにも届くほどの大きな水しぶきが上がる。

 4艦の巨大な戦略艦が水中から現れ、縦4列に並んで水面をヘビーユーザー島に着いていくように航行する。


(時間通りだな。作戦通り戦略艦も予定の位置に追い付いてきたな)


『あらゆる種族、あらゆる国々が今回の戦いに参加しています。皆さんと共に全力で戦う仲間たちが見えないところで命を懸けています!』


 ヘビーユーザー島と4艦の戦略艦だけの作戦ではないと熱を込めて声を荒げ始める。


『魔王に攻められて数十年、今も共に過ごせたかもしれない多くの家族の悲しみを背負ってきたでしょう。そして、それでもなお、仲間たちを失う絶望の中で戦ってきました。それも今日をもって終わりにしましょう!!』


『本日12時、全世界が同時に作戦を実行します! 今日は魔王軍と戦う最後の日になるよう全力で戦いましょう!! 我らで必ず勝利をつかみ取るのです!!』


「おおおおおおおおおおおぉおおおおおお!!」

「おおおおおおおおおおおぉおおおおおお!!」

「おおおおおおおおおおおぉおおおおおお!!」


 気持ちを高ぶらせたアレン軍の兵たちも仲間たちも全員が拳を高々と上げて怒号を上げる。


(士気は十分ある。あとは俺たちの作戦次第か)


「では、各将軍、隊長たちの指示を聞いて陣形の配置を開始してください!!」


 地声に戻したアレンの言葉に人族部隊の将軍を務めるライバックが声を上げる。


「人族隊はヘビーユーザー島の最前面だ。隊列を組んで速やかに移動を開始だ!! 全ての攻撃を我らで受けきるつもりでおれ!!」


「おおお!!」


 ライバック将軍の号令でゼノフや人族の兵たちが移動を開始する。

 ほかの部隊も同じように移動を開始し、辺り一面で力強く動き始めた兵たちによって砂煙が舞い上がる。


(日にちは十分だったかと言われたらそうじゃないけど、やれるだけのことはやった)


 アレンは自らに言い聞かせるように魔導書を開いて、仲間や召喚獣たちのステータスを確認する。


・見た目は液体金属の石Hの召喚獣

 【種 類】石

 【ランク】H

 【名 前】メタッチ

 【体 力】5

 【霊 力】3

 【攻撃力】3

 【耐久力】5

 【素早さ】2

 【知 力】2

 【幸 運】4

 【加 護】体力1、耐久力1

 【特 技】形状記憶

 【覚 醒】くっつく


・見た目はカニの魚Gの召喚獣

 【種 類】魚

 【ランク】G

 【名 前】カニカマ

 【体 力】6

 【霊 力】10

 【攻撃力】8

 【耐久力】10

 【素早さ】4

 【知 力】10

 【幸 運】6

 【加 護】魔力2、知力2

 【特 技】泡を吹く

 【覚 醒】クラブボンバー


・見た目はカボチャヘッドの霊Fの召喚獣

 【種 類】霊

 【ランク】F

 【名 前】ジャック

 【体 力】15

 【霊 力】15

 【攻撃力】10

 【耐久力】20

 【素早さ】10

 【知 力】20

 【幸 運】10

 【加 護】知力5、体力5

 【特 技】ランタン

 【覚 醒】がめ煮


・見た目はオオサンショウウオの竜Eの召喚獣

 【種 類】竜

 【ランク】E

 【名 前】ウーパ

 【体 力】30

 【霊 力】30

 【攻撃力】50

 【耐久力】20

 【素早さ】50

 【知 力】20

 【幸 運】40

 【加 護】攻撃力10、素早さ10

 【特 技】毒の霧

 【覚 醒】マヒ油


【創生した召喚獣の特技の説明一覧(簡易版)】

・石Hの召喚獣の「形状記憶」は、破壊されても最大10万まで体力が回復する

・魚Gの召喚獣の「泡を吹く」は、口から泡を吹いて、周辺の仲間たちの回避率を上昇させる

・霊Fの召喚獣の「ランタン」は、カボチャに切れ目の目や口から当たり一帯を明るくする光を発する(だいたい村1つ分)

・竜Eの召喚獣の「毒の霧」は、複数の対象を毒状態にする噴霧状の毒を発する


【創生した召喚獣の覚醒スキルの説明一覧(簡易版)】

・石Hの召喚獣の「くっつく」は、他の石Hの召喚獣同士で1つになることができる

・魚Gの召喚獣の「クラブボンマー」は、圧倒的な攻撃力で巨大なハサミをハンマーのように振り下ろす

・霊Fの召喚獣の「がめ煮」は、栄養満点な料理になる。決して筑前煮ではない

・竜Eの召喚獣の「マヒ油」は、体に乳白色の油を分泌する。攻撃してきたもの、触れた者をマヒする。体を振るって毒を振りまくこともできる

※全ての覚醒スキルはクールタイム1日


(明るくなったり食料になったり今回の戦いには向かない特技があったが、毒や泡とか、集団戦のサポートになる創生スキルは助かる。召喚獣が増えたおかげで攻撃の幅が広がったぞ)


 創生スキルを使用できるようになり、3巡目になると召喚できる召喚獣がかなり増えた。


 中には戦いに向かない特技や覚醒スキルを持った召喚獣がいるが、多様な特技は戦術を広げることをアレンは良く知っている。


「メルス、今回は別働隊だが魔法具は状況によって変えてくれ」


(作戦聞いても怒らなかったが助かる。まあ、絶対この方が救出の可能性を上げるからな)


『ああ、分かっている。ルプトが残した「魔法具」だ。これで助けることにしよう』


 創生スキルを上げたおかげでメルスはさらに自信をもってルプトを救出すると宣言する。

 アレンとメルスは今回、別動隊で動くことになっている。


「よし、そろそろ、皆も動き出すぞ。メルル、ハク、タムタムもメルスと一緒だ。敵を蹴散らして魔王城で落ち合うぞ!!」


『うん!!』


『はい!!』


『ギャウ!!』


 アレン軍が動く中、アレンの仲間たちも魔王軍との戦いに向けて動き出すのであった。


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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
アレンの演説…心に沁みます…しかし敵はアレンの上を行く演算機能を持っている…コレに気付かねば敗北は必至…どうなる…? 天使Dのことですかね魔法具って…この状況をひっくり返す一手になるか否か…?
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