表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
760/773

第760話 撤退戦王都ラブールサイド①

【魔王軍撤退まで残り3分00秒】


 アレンが魔神王マーラが魔神王ガンディーラに状況の確認を取ると、上位魔神10体を引き連れて、王都ラブール目掛けて飛んでいく。


 鳥Eの召喚獣で戦場の全てを捉え、視界を共有するメルスが、マーラたちの状況を確認していた。


(マーラを追え! 絶対に倒せ!! クワトロはメルスの下で視界をサポートしろ!!)


『ああ、分かっている』


『アレン様の命で視界を共有しますわ』


 メルスは、近隣都市シャウパ上空に鳥Fの召喚獣を使って最低限の指示をアレンの仲間たちや竜人たちにしつつ、マーラを追う。


 バフを受けて30万を超える素早さを誇るマーラが全力で王都へ向かう。

 戦闘機を思わせる速度で移動するなら、近隣都市シャウパから王都ラブールまで50キロメートルもない距離なら1分もかけずに到達できるだろう。

 あっというま間に鳥Eの召喚獣の特技「鷹の目」の範囲内から外れてしまった。


 だが、マーラの行動の重要性に気付いたアレンが、自らの側にいるクワトロを一旦カードに戻し、メルスがその後を引き継ぐように再度、クワトロを側に召喚する。


 結果、メルスの視界に1秒のラグも生まずに特技「万里眼」によって、魔力全開で王都へ向かうマーラを捉えた。

 その背後には少し遅れて、10体の上位魔神が飛んで追う。


 特技「幼雛化」で雛の姿をしたクワトロがメルスの肩に掴まる。

 今のメルスの後を追って飛ぶことはクワトロのステータスでは不可能だ。

 メルスが追い始めた時には10キロメートル近く距離を離されてしまったが、既に半分の5キロメートルを切っている。


(うしうし、マーラが飛翔系のスキルがなくて良かった。メルスと同じで基礎能力で飛べるだけってことか)


 空を飛ぶには基本的にスキルが必要だ。

 ただ鳥系統の召喚獣やメルスは基礎能力として空を飛べる。

 飛行速度は素早さ依存だが、飛翔系のスキルがあると、その分も素早さに掛け合わされるとアレンは考える。


 マーラよりメルスの方が素早さが上のため、ぐんぐん距離が縮んでいく。


『クッ。2体掛かりで始末なさい!!』


(む? まだ視界で捉えられる距離じゃないが。索敵系の魔法を使用したな。魔法陣が頭部にいくつか浮き出ているし。……なるほど、探しものがあるってことだな。マーラの行動を予想してと。これは準備が必要だな)


 人型サイズのメルスが何キロも離れた距離から追っているのだが、この距離を視界で捉えられるのは至難だと思える。

 その上、マーラは振り向いて背後を見た形跡もない。


 マーラは頭部周囲に索敵系の魔法を展開しており、これから索敵する対象があるようだ。

 その結果「ついで」にメルスが背後から迫っていることが分かる結果となったと、メルスの視界越しにアレンは、ビルディガとの戦いながらも分析する。


 索敵系のスキルがあるのか追われたことを気付いたマーラが10体のうち2体の化身となった上位魔神が涎を垂らしながらメルスに迫る。

 一切減速せず爆速で飛行するメルスに対して、1体の上位魔神が両手の爪を尖らせ、顔面を切り裂かんと右側から迫る。

 もう1体の上位魔神が横殴りに大剣を左側から迫り、左右から挟まれる形だ。


『ふん、邪魔だ!! 無限雷王斬!!』


 メルスは掛け声と共に、まさに2体の上位魔神の刃が顔面に当たろうとした時、天使B「双剣」の覚醒スキル「無限雷王斬」を発動する。


『ぎゅる!』


『げへうあ!!』


 メルスはアレンたちと一緒に大精霊神やロザリナなどのバフを一身に受けていた。

 おかげでステータス20万程度の上位魔神の倍以上の速度で攻撃ができる。

 さらに天使B「ボンボン」の特技と覚醒スキルを振りまく時に自らにも掛け、素早さを向上させた。


 【種 類】天使

 【名 前】メルス

 【ランク】S 

 【成 長】S

 【体 力】268203+10000(B)+10000(C)

 【魔 力】248040+10000+10000

 【霊 力】268040

 【攻撃力】393770+30000+30000

 【耐久力】241930+10000+10000

 【素早さ】448240+30000+30000

 【知 力】393770+10000+10000

 【幸 運】223600+10000+10000

 【加 護】全ステータス(10000+10000)+(5000+5000)×2

 【特 技】属性付与、天使の輪、霊魔結合、プラズマボール、双剣連撃、気配察知、双剣術〈9〉

 【覚 醒】裁きの雷、封印、無限雷王斬、必中連撃

・天使B「双剣」、天使C「風のベスト」装備

 ※天使BとCは装備枠のためバフ対象外

・強化、金の卵、ロイヤルオーラ、ロイヤルガード

・天使B「ボンボン」ファニーポンポン、クレイジーダンス

・大精霊、精霊神大精霊神の加護やスキル

・ロザリナのバフスキル盛り


 爪が武器の上位魔神は攻撃力と素早さに特化していたのか、耐久力が低く、覚醒スキル「無限雷王斬」の雷を纏った刃によって無数の肉片に変わる。


 もう1体の上位魔神は、爪の上位魔神よりも素早さも低く、十分距離も詰められていなかった分、深入りしておらず、さらに耐久力もあったので、無数の刃で裂かれたがメルスに再度、襲い掛かる。


『ルバンカ!!』


『おう!!』


 メルスが視線を変えることなく、特技「天使の輪」の管理者権限でドゴラたちと戦うルバンカを一旦カードに戻し、自らの側に再召喚した。


 Sランクの召喚獣は皆、4、5万ほどのステータスがあるので、メルスほどではないが30~40万のステータスがあり、上位魔神を圧倒する。


 覚醒スキル「嵐獣化」して風を纏い、空も飛べるようになったルバンカが死にかけの上位魔神のとどめを刺そうとする。


 メルスは移動しながら覚醒スキルを消費した天使B「双剣」を削除、再召喚して、クールタイムをリセットする。


 既に巨大なピラミッド構造の王都ラブールが見えている。

 マーラが上空に上がり、階層構造の最上位である3階層の王族が住む階層を目指すようだ。


(やはり、ホマルを攫うことが狙いだったか)


 上空を飛ぶメルスやクワトロの視界がマーラを捉えながら、共有する思考の中でアレンは考える。

 狙いは第一天使ホマルだとここまでの魔王軍の動きから推察する。


 本来であれば、人間界から神界の行き来には竜神の里の審判の門を通らなければいけない。

 だが、竜神の里を攻め、審判の門をくぐって王都ラブールにいるとされるホマルを探している間に、神々が応戦してくることが予想される。

 闘神3姉妹や武具8神などが戦闘に参加がする可能性が高まり魔王軍とて、無事では済まない。


 そのため、今回の目的達成のためには「強襲」が必要だった。

 時空神の時空管理システムを掌握し、一気に魔王軍の軍勢を投入した。


(だが、なぜホマルが必要なのか分からんのだが。まったく、鎮魂祭の昨日の今日で攻めてきやがって。それが魔王の強化にでも繋がるのか?)


 今回、魔王軍総司令オルドーや参謀キュベルを筆頭に魔神王、上位魔神、魔神を総動員したと思われる軍勢を投入した。

 魔王軍の最高幹部を筆頭に多くの犠牲を払っても達成しなければいけない。


 神器なら以前攻められた際に奪ったが、今回は何をしに来たのか。

 少なくとも撤退を進めているため、神界を破壊することだけが目的ではない。

 これまでの魔王は神器を奪い、邪神を復活させ、自らに取り込んで力を得た。

 魔王の行動は自らの強化にかけてきたのはどこか「アレン」にも通じるものを感じる。


 時空管理システムを掌握した後、魔王軍総司令オルドーと参謀キュベルを筆頭に大勢の魔神たちを投入して、神界闘技場へ転移し、神界最高戦力の神々と対峙している。


 その一方で王都ラブール周辺ではまるで散策するように近隣都市でガンディーラを筆頭に破壊活動をしている。

 態々建物を破壊する前に中にいる神界人や天使を確認してから、無用になれば遥か彼方へ投棄している。


(1時間も暴れまくったおかげで、竜人も神界人の兵も近隣都市に向かって王都は探しやすくなったな。幼い天使を近隣都市の施設で育てているくらいの情報はあったが、第一天使だし、生まれたばかりだし、そこにはいなかったということか)


 さらに、気になるのは、何故「今」、魔王軍が攻めてきたのか。

 王妃の幼子が豊穣神モルモルから名を与えられ、神力を込められる儀式があったのは前日だったりする。

 第一天使になったのは昨日のことだ。


 今必死に王城に向かう魔神王マーラを見ると、理由までは分からないが、全ての行動が第一天使ホマルが狙いだと意味する。


 近隣都市を攻めた結果、王都内は随分神兵が減っており、王都が攻めやすくなった。

 王都を狙うつもりだが、兵を城内から減らすため、念のために天使の施設を襲ったとアレンは分析する。


(王族のいる3階層へ向かいそうだぞ! 急げ! メルス!!)


『……分かっている!』


 クワトロが王都ラブールの3階層の渡り廊下から建物内に侵入しようとするマーラを捉える。

 守りを固める兵がほとんど見えないが、最小限の槍をもった神界人の神兵たちが数名いたようだ。

 3階層は天空大王を筆頭に神界人の王族が住む階層だ。


【魔王軍撤退まで残り2分15秒】


「何奴だ!!」


『邪魔だ!!』


「がは!!」


 外からの外敵から守る王都の神兵が高速で飛来するマーラたちに気付いたようだ。

 だが、マーラの掛け声と共に上位魔神の2体が魔力弾を放つと、神兵たちが爆散する。


 それから3秒遅れてメルスが王都ラブールに3階層の渡り廊下に到達しようとする。


『っく! しつこいぞ!! お前たち、食い止めなさい!!』


『ぐおおおおおおおおお!!』


『まかせるのらあああああ!!』


 マーラは時空神の神域に侵入してきたときの余裕のある口調ではなかった。

 今度も2体の全長30メートルほどある上位魔神を城内に入れないよう、道を塞ぐようにけしかけ、建物内に入っていく。


 道を一瞬塞がれたがメルスが横からマグラとマクリスを召喚し、体当たりさせる。

 2体の巨大な召喚獣に吹き飛ばされ、ピラミッド構造の外壁に打ち付けられたが、上位魔神は20万ほどのステータスがある。


 竜人たちを守るためにマグラを配置していたが、大精霊神の加護を受け強化された竜人やアレンの仲間たちによって、近隣都市シャウパは既に殲滅戦に入っている。

 魔王軍の殲滅は残った仲間たちに任せて、メルスが一旦カードに戻して、この場に再召喚する。


 2体の召喚獣に任せ、空いた隙間からメルスは王都ラブールの城内に入った。


(ホークたち、ホマルの居場所をマーラよりも早く探せ!! ツバメンたちはこの場に巣の設置を怠るなよ!!)


『ピィ!!』

『ピッ!!』


 大地の迷宮で講じられた索敵と転移がセットで出来る鳥Eと鳥Aの組み合わせでマーラの先を行こうとする。


 王都ラブールのピラミッド構造に入った上位魔神6体引き連れるマーラを、メルスが追うのであった。

コミック11巻何卒お願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルモードコミック11巻
発売日:2025年4月11日
ISBN:978-4803021103

g5ae4ygh23kpelnb249b54ob8zyp_1cqf_6o_95_3zki.png


アマゾンリンク
― 新着の感想 ―
やはりホマル君を狙っていたか…マーラはどうにかして倒したいところ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ