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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第11章 神界編②原獣の園と大地の神ガイアの迷宮

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第552話 アレンの神技

 精霊の園で精霊獣を倒した際に獲得した神技を発動すると「創生」というスキルが新たに手に入った。

 完全な闇夜のロダン村の広場で、魔導具の灯りを傍に置いて、セシルに見つめられながら検証を続けることにする。


(創生か。創世じゃなくて創生ね。名前的に、命を創る神の御業的な響きがあるな)


 まずは魔導書で見て分かることを分析する。

 創世だと、世界を創るという意味なので、創生なら命を創ると読める。


(召喚できる召喚獣に封印が多いな。ってことは、召喚獣のランクが上がるたびに増えていた系統ごと数を均一化するってことか)


 これまで、スキルレベル1のころから召還できる虫Hと獣Hの召喚獣から、スキルレベルが上がるごとに、鳥、草、石と新たな系統の召喚獣が開放されてきた。

 結果、虫と獣系統と最後に召還できるようになった天使系統では1つの系統で召喚できる召喚獣の種類に大きな数の隔たりがあった。

 天使系統ではメルスしか召喚できない。


(スキル名に一巡目の①とあるからな。条件は分からないが2巡目、3巡目と何巡かしながら段階的に全ての召喚獣が召喚できるようになるのか)


 一巡目という言葉の意味から二巡目、三巡目はどうなるのか予想する。


【アレンの予想する各順目で召喚できるようになる召喚獣】

・一巡目は鳥H、草G、石F、魚E、霊D、竜C、天使B、【-】A

・二巡目は草H、石G、魚F、霊E、竜D、天使C、【-】B

・三巡目は石H、魚G、霊F、竜E、天使D、【-】C

・以降、全ての召喚獣の系統は全てSからHまでの種類を召喚可能になる


(今では成長スキルがあるからな。ランクの低い召喚獣でも、成長させたら戦術に組み込めるからな)


 成長させたらHランクでも魔神並みのステータスとなり、仲間や精霊などの補助が重なれば、上位魔神とも戦えるだけの力を持つことができる。

 日中のダンジョン攻略でも成長した霊Cの召喚獣が抜群の働きをした。


(さて、とりあえず創生を使うか。生成じゃないのは新鮮だな)


 魔導書から分かる範囲の分析は済んだので、創生スキルを発動させてみる。

 1歳のころから使ってきた生成スキルではないスキルで召喚獣を召喚するのは新鮮だ。


 アレンは魔導書に魔力を込める。

 しかし、反応がなかった。


 ポンッ


 魔導書の表紙には銀色の文字でログが流れる。


『創生スキルの使用には霊力が必要です』


 魔力では創生スキルは使用できないようだ。

 仲間たちのスキルも含めて、神技は霊力の使用で発動するが、同じく霊力が必要なようだ。

 魔導書に霊力を込めてみる。

 しかし、反応がなかった。


 ポンッ


 魔導書の表紙には銀色の文字でログが流れる。


『創生スキルの使用には霊石が必要です』


 アレンの様子を見つめていたセシルが思わず口を開いた。


「なかなか上手くいかないわね」


「検証とは可能性をつぶす作業だからな」


「可能性をつぶす?」


「できないことを否定しておかないと、何かあった時、選択肢を絞れないからな」


 アレンは創生には魔力は使えない、魔石も駄目なんだろうなという予想がついていた。

 魔力や魔石の利用を意識してみて、「できない」ことを確定させている。

 魔王軍との戦いで絶体絶命な時に「できるかもしれない」が多いと選択を誤る可能性がある。


「そういうものなのね」


「ああ、霊力を使って、魔導書に収納された霊石を使用してと」


 しかし、反応がなかった。


 ポンッ


 魔導書の表紙には銀色の文字でログが流れる。


『鳥Hの召喚獣を創生するためには、虫Hと獣Hの召喚獣が必要です』


「ほうほう、なるほど。霊石と魔力だけでなく生成した召喚獣も必要だと」


 なんとなくやるべきことが決まってきた。

 アレンの魔導書には収納された1000個ほどの霊石がある。

 アレンは改めてカード化された虫Hと獣Hの召喚獣、霊石、及び霊力を込める。


 パアッ


 虫Hと獣Hの召喚獣、霊石を1つ使用して、アレンの霊力を100消費して、鳥Hの召喚獣のカードが創生される。


(トサカがあるし、鶏だな)


 鳥Hのカードのデザインは前世の記憶でいうところの鶏だった。


(覚醒スキルはいけるか? 創生した召喚獣にもいけるっと)


 鳥Hのカードに覚醒スキルを発動させて、名前も登録してみる。


 【種 類】 鳥

 【ランク】 H

 【名 前】 コッコ

 【体 力】 3

 【霊 力】 4

 【攻撃力】 3

 【耐久力】 2

 【素早さ】 5

 【知 力】 5

 【幸 運】 1

 【加 護】 素早さ1、知力1

 【特 技】 朝の目覚め

 【覚 醒】 黄金の卵


 カード化された鳥Hの召喚獣のステータスや特技、覚醒スキルを確認すると、これまでの召喚獣と変わらないように思える。

 ただ、魔力ではなく霊力だ。


「召喚してみるか」


『コケコケッ』


 鳴き声も、歩き方も、大きさも完全な鶏だ。

 今年も10月1日、ロダン村では、今は魔導具の灯りでは全容が見えない目の前にある、村の中心の広い広場では収穫祭をすると言う。

 村に恵みをもたらしてくれた豊穣神への感謝の気持ちを伝え、来年の豊作を願う村々にとってとても大事な行事だ。

 今年は村長の息子としてアレンにも出てほしいとロダンにダンジョン攻略中の道中で聞いた。

 ロダンには「なるべく出るようにする」と答えた深夜の広場を鶏が首をわずかに前後に振りながら歩いている。


(む、この感じは……)


 幼少期に苦労したどこか懐かしい感覚を覚える。


「アレン? どうしたの?」


 セシルがアレンの表情に何かを察した。


「どうやらこの召喚獣は共有で指示ができないようだ。成長させても同じか? 同じようだな」


 アレンは魔力を消費して、鳥Hの召喚獣の成長レベルを上げていく。

 鳥Hの召喚獣はレベルをいくら上げても、ロダン村の深夜の広場を自由奔放にテコテコと歩き回っている。

 その様に、虫Hの召喚獣に必死に指示をした幼少期を思い出す。


(さてと、特技を使ってみるか。この感じはあれだよな)


 アレンは特技から効果を予想する。

 あらかじめ深夜に鳥Dの召喚獣を召喚し、闇夜の空に旋回させる。


「コッコ、『朝の目覚め』を使って」


 アレンが特技「朝の目覚め」を指示すると、歩みを止め、首を高々に上げる。


『コケコッコー!!』


 鳥Hの召喚獣は翼をばたつかせ、大きく鳴いた。

 この世界にも鶏みたいな、空を飛べず家畜として飼われている鳥はいるのだが、鶏そのものはいない。

 前世の子供のころ、小学校では鶏やウサギなどを飼っており、確かにこんな感じで鳴いていたように思える。


「おいなんだ!!」

「魔獣が攻めてきたのか!」

「みんな起きろ!」


 近くの住宅地の窓から明かりが灯る。

 中にはクワや、秋にはボア狩りに参加しているのか槍を持った男たちがワラワラと家から出てくる。

 一緒に家から出てこようとした妻や子に家の中に居ろと騒いでいる。


(ふむふむ、完全に目覚めたな。そこまで大きな声で鳴いていないのだが範囲は半径1キロメートルくらいか)


「ちょっと、なんか騒ぎになっているわよ!」


 大きな騒ぎとなり、セシルが慌てる中、アレンはこの特技の効果の本質を理解する。


 アレンはこの特技の名前から、目覚めさせる効果があるだろうと予想がついた。

 香味野菜の効果でも、耐えられないほど強い効果の睡眠攻撃を受けた場合にきっと有効なのかもしれない。


 だが、どの程度の目覚めなのかが最も大事だ。

 同じ目覚めでも、急に起こされ意識が朦朧とした状態なのか、完全に覚醒し戦闘にすぐに参加できるのか効果を知っておくことはとても大事だ。


 夜目の効く鳥Dの召喚獣がかなり広大な範囲で村人が起きていることが分かる。

 アレンが召喚獣で開拓を手伝ったロダン村は、その辺の領都とも引けを取らないほど広いのだが、住宅地の先にある農地に住む住民まで起きて出てきている。


「最近、アレン軍は反応が悪いからな。多少ドッキリになったが、我慢してもらおう」


「もう、後で謝っておきなさいよね」


 アレンは回復薬や召喚獣、さらに実験でララッパ団長に作らせた魔導具の効果をアレン軍やヘビーユーザー島の住人に実験になってもらうことが多い。

 しかし、あれこれ付き合ってもらった結果、最近では反応がとても悪くなった。

 中には、アレンに気を遣って大げさに反応する者もいる。


 素の効果が知りたかったため、村人には実験になってもらった。

 何か、村でも使える便利な魔導具でも買ってお詫びとすることにする。


 アレンたちも知らぬ存ぜぬで黙っていると、村人たちは何もないことを悟り、家の中に入っていく。

 どうやらバレなかったようだなとアレンの安堵の表情に、セシルはため息をつく。


「次は、覚醒スキルだな。コッコ、黄金の卵を産んでくれ」


(見た目は雄鶏なんだけど、卵産んでくれるのか?)


『コケッ』


 ポンッ


 鳥Hの召喚獣のお尻から軽快な音を出して卵が飛び出てくる。

 月の光に照らされて黄金の卵がキラキラと輝いている。


「卵ね」


「そうみたいだ。やはりHランクだからか数を増やす系の覚醒スキルなのか」


 同じランクの虫Hのバッタの姿をした召喚獣も、獣Hのネズミの姿をした召喚獣も数を増やす覚醒スキルを持っている。


 同じ系統なのかと思うが卵が1つなのがどこかさみしい感じもする。


(孵化するのか)


 ピシッ


 アレンが意識すると卵が割れ、中からヒヨコが出てくる。

 黄色のフワフワな綿毛に覆われた見たまんまのヒヨコだ。


 ヒヨコは親鳥の後を追うように歩き回る。

 ステータスは成長し、強化した親鳥の半分だと魔導書に表記してある。

 アレンとセシルが様子を見つめていると、後ろから気配がした。


「お兄ちゃん、何しているの?」


「アレン、そろそろ寝た方がいいぞ」


 さっきの騒ぎで起きたのかミュラがロダンと一緒に深夜の広場にやってきた。


「そうだな。そろそろ寝るか」


 たしかに朝からダンジョン攻略して眠くなってきた。

 続きの検証は明日にする。


 布団で寝ながら、検証結果と未検証な部分をまとめていく。




 ロダン村に帰郷して3日目もミュラとロダンとゲルダのA級ダンジョン攻略だ。

 レベル上げ、スキル上げよりもS級ダンジョンを目指すことに優先させる。

 レベルなどS級ダンジョンのアイアンゴーレムを1体狩ればカンストする。

 スキルレベル上げも、魔力回復する指輪や腕輪があればそれほど時間もかけずにカンストできるだろう。


 ダンジョンの外ではそろそろ日の光が世界の果てに沈むころだ。


「ふう、今日もこれで終わりか」


「そうだね、父さん。とりあえず、どんな感じか覚えておいて参加したい村人がいれば手伝うから」


 魔王軍との戦いで何かあっても、ミュラたち3人がいたらどうにかなるわけでもない。

 とりあえず、100人規模で村人の転職などを手伝う予定だ。

 若くてやる気のある村人で才能をつけてほしいものがいれば、募集しておくようロダンに伝えておく。


 星1つと星3つの才能で、強さは圧倒的に違う世界だ。

 ステータスでいうとカンスト時に倍以上の開きが出てくる。

 生まれた時から身分以上に平等とは程遠い世界かもしれない。


 星の数以上の格差がこの世界に存在する。

 それは、才能の有る無しだ。

 才能がある者は人口全体の1割しか存在しない。

 才能の有無できっと、その後の暮らしも変わってくるだろう。

 鑑定の儀で子供に才能があると分かると絶叫する親も多い。

 親は涙しながら、子供の明るい未来を創造神に感謝をするわけだ。


 才能がないと言われ、大人になった者たちが、才能を与えると言ったらどうなるだろう。

 きっと、100人程度の応募枠ならすぐに埋まるだろう。


 アレン軍は、現在軍の強化、学園都市の開拓や生徒たちの訓練を主にやっているが、才能無しの転職を進める時期に入ったのかもしれない。

 アレン軍の今後の活動を考えることにする。


(さて、今後の事を考えて、魔導船の数も増やすか)


 グランヴェル領専用の魔導船があるが、ロダン村用にさらに専用の魔導船を買っても良い。

 金貨1万枚もせずに最新の魔導船が買えるはずだ。

 村人を学園に送ってアレン軍に世話をさせる予定だ。


 この日もロダンたちが寝着いた頃、セシルと共に広場で昨日の続きの検証をするアレンとセシルであった。

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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 天使Sっていつ解放したっけ??
[一言] 毎回ギリギリの投票ですいません!好きラノ2022下半期!ヘルモード{6)投票してきました!てか投票開催してるのさっき知って受付が8日までって!投票出来て良かったです!
[一言] 「朝の目覚め」は成長させると 封印解いたり呪いとか解除したりできるようになったりするんだろうか? 隠しスキルとか発覚させたりとか(明後日の方を見ながら
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