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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第9章 竜王マティルドーラと審判の門

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第490話 メガデス戦③

 ハクとクレナで戦う門番戦に突如、調停神ファルネメスが現れた。


 パカパカ


 皆の視線を集めながら、ゆっくりとクレナとハクの下に歩みを進める。


「ファルちゃん、待ってた!」


『ファルだ!』


 調停神の登場にハクとクレナの表情が明るくなる。


『な、なぜ、調停神様がここに……。門番と竜と乗り手の空間のはず』


 本来なら入って来ることはできない空間のようだ。

 当たり前のようにやってきた調停神に対して、メガデスはかなり動揺をしている。


『ここも私が構築し、管理していた空間です。あまり大きな変化もないようですし、参戦することも可能でしょう』


 以前は調停神が審判の門を管理していた。

 試しの門などの運営に変更点がなかったために時間は少しかかったが、入ってくることができたと調停神は言う。


『だ、だからと言って……』


『私は無断でこの空間に入ってきました。時空神デスペラードの理を破ると言うなら、ここから去りましょう』


『……』


 虚偽は一切許さない。

 そんな目で調停神はメガデスを見つめる。

 メガデスは何も言えず黙ってしまう。


『それで、先ほどの時空神の話の続きを聞かせてください。何でも、力ある者がやってくるから生かすとか?』


 アレンの話は置いておいて、調停神登場前のメガデスの会話に話を戻す。

 調停神の口調が変わり、一気にこの場の緊張感が増した。

 調停神とは、神が神を裁くための存在だ。


『えっと、いや、なんのことかな……。時空神様はただの契約を交わしただけだから……』


『そうですか。神とは理を作る存在。故に、自らを律しなければならない。そう、私は考えています。契約の中での話なら問題ないです、それに……』


『それに?』


『私はただの亜神に成り下がりました。もう、神を裁く力はほとんど残されておりません』


 上位神と呼ばれていたのは過去の話だと調停神は言う。


『そうですか……。あの、それで……』


『気にすることはありません。私は、クレナさんたちについて戦います』


「おお!!」


『ギャウ!』


『ちょ!? ちょっと!! 何故、神が参戦するのですか。そんな試しの門は聞いたことはありません』


『これは私が交わした契約なのです。私は、アレンとの契約に基づきクレナさんたちに助力をする』


『ちょっと、そんな契約は聞いたことがない。ちょっと、待ってください』


 慌てふためくメガデスは、固まってしまった。


「ほよ? 固まったね」


『ギャウ』


『時空神に確認をしているのでしょう。だが問題はないですよ。過去にも私は精霊王や聖獣の参戦を許可したことがありますから。試しの門とは単純な力のみで攻略するものではありません』


「ほうほう。たしかに」


『マンマ、すごい!』


 理解をすることを止めたが、顎に手をあて、したり顔のクレナにハクは賞賛する。


 調停神は今回の参戦に自信を持っているようだ。

 調停神が審判の門を管理していた時代に何度か似たようなことがあると言う。

 一言二言会話をしている間に、メガデスの硬直が元に戻った。

 時空神との確認は終わったようだ。


『……時空神様は調停神の参戦には問題ないと言っておられる。既に力を失った神だからと。だけど、契約内容の確認は必須と仰せです』


 契約内容が分からない状況での参戦は認められない。

 参戦するなら調停神がアレンと交わした契約をつまびらかに公開することを条件にする。


『いいでしょう。私が勝ち取った成果を聞きなさい』


 調停神は鬼畜アレンから勝ち取った契約内容を語りだす。


【アレンとの契約】

・毎日、これまでの3倍の牧草を提供する

・毎日、モルモの実10個提供する

・アレン軍が活動し続ける限り、契約は有効

・以上3点を条件に1回、クレナとハクと共に門番と戦う

・門番以外の戦闘を打診する場合は、アレンは調停神と新たな契約を結ぶ

 

『なんてふざけた契約ですか……。だけど、これなら』


 メガデスは今一度固まると、時空神に調停神がアレンと交わした契約の内容を伝えに行く。

 暫く硬直したのちに、またメガデスに意識が戻る。


『いかがでしたか?』


『問題ないとの仰せです。私が全力で戦う中で、調停神様の存在が消えることになっても、それは仕方のないことです』


『ありがとうございます。これも神の交わした契約。契約の不履行のなきように』


 調停神はさらにクレナと歩みを進める。

 完全にクレナの側に物理的に立つということは、メガデスとの戦いに参戦することを意味した。


「ファルちゃんありがとう」


『いえ、これで勝利を5割までもってきたはずです』


「うんうん。後は作戦だね」


『そういうことです』


 一時休戦状態になったが戦いは始まった。

 今のメガデスは状態変化爪だ。


『こんなこと前代未聞だよ。だけど、これで勝てば僕は調停神さえ屠ったことになる。新たな神の誕生かな』


 ブツブツつぶやいた言葉の中に、メガデスの野心が見え隠れする。

 ニヤリと笑みを零した後、再度、両の爪を前に突き出した。


「私はファルちゃんに乗るから、ハクは私の後方から炎で援護して」


『うん!』


 調停神が現れる前の空気感はそこにはなかった。


 ハクがさらに後方まで後退する中、両の爪が調停神に跨ったクレナの元にやってくる。

 何度も食らって、両の爪がどこまでの距離を転移してくるのか分かっていた。


超突撃ディープインパクト!!」


『ぬぐぁ!?』


 調停神に乗ったクレナが大剣を前に突き出し、数十メートルはあろう手の片方を爆散させる。

 メガデスの片手は、スキル「超突撃」に耐えきれなかったようだ。


・ステータス省略版

 【名 前】 クレナ

 【年 齢】 16

 【職 業】 竜騎将

 【加 護】 調停神(中)

 【レベル】 99

 【体 力】 8192+7200+12000+13000(加護)

 【魔 力】 4947+3600+12000+8000(加護)

 【攻撃力】 11257+7200+12000+13000(加護)

 【耐久力】 7218+7200+12000+8000(加護)

 【素早さ】 7682+7200+12000+13000(加護)

 【知 力】 4696+3600+12000+8000(加護)

 【幸 運】 5175+3600+12000+8000(加護)


 クレナは調停神に跨ることによってステータスがさらに上昇する。

 そして、今回の調停神の参加について、アレンがヘビーユーザー島でハバラクやカサゴマに会った時に契約の話が始まった。


 メガデス戦に備え、鍛えたのはスキル「超突撃」だ。

 アレンは超突撃をディープインパクトと命名した。


 スキルレベルが低かったため、S級ダンジョンではメインにスキル上げに努めたスキルだ。

 調停神に乗らないと発動しないスキルだが、その威力は抜群であった。

 スキルも上がり加護でステータスの上がった一撃は、巨大な爪を1つ粉砕する。


 なお、S級ダンジョンの協力についても、バウキス帝国産の果物や植物の提供を調停神は求めた。


「よし、もう1つの爪だ」


『うん! ぐらあああああああ!!』


 戦意が戻ったハクが業火の息を吹き付ける。

 激しく燃える中、クレナと調停神のコンビも攻撃に参加し、もう片方の爪も破壊する。


「よし! あとは本体だ!!」」


『おっと、危ない。状態変化鱗モードスケイル!!』


 メガデスが両の爪が破壊され、むき出しとなった体が攻められようとしている。

 慌てて状態を変化させる。

 ギリギリ状態変化が間に合ったのか、トゲトゲの鱗を逆立たせた球状になる。


「うりゃあああ!!」


『がるうああああああああああ!!』


 球状になったメガデス相手にもクレナとハクは攻撃を続ける。

 しかし、圧倒的な耐久力があり、攻撃は状態変化爪の時よりも高いようだ。


 球状になったが、両手の部分も回復していることが分かる。

 これまで蓄積したダメージも、今与えているダメージも、完全に回復してしまったようだ。


『おしいおしい。残念だったが、これで振り出しに戻ったね。随分回復薬を持ってきているようだけど、君のスキルはいつまで持つかな』


 メガデスはどれだけ時間を掛けても勝利する意気込みを見せる。

 調停神を見ながらニヤニヤしているところを見ると、この戦いに門番としての役目以上の価値を見出しているようだ。


 クレナのスキル「限界突破」は消費魔力によって持続時間が異なる。

 最大魔力が万に達するため、まだまだもつのだが切れてしまうと、この戦いで次に発動することはできないだろう。

 ただ、次に使うにはクールタイムを1日待たないといけない。


『たしかに、作戦を立てないと勝てませんね』


 状態変化鱗の状態で超突撃をしても、そこまでダメージは与えられていないようだ。


「なんで、この状態でいないんだろう。回復して無敵なのに」


 門番として勝利を望むなら、耐久力が最大の状態変化鱗でいるのが好都合だ。

 長期戦を望むとメガデスも言っている。

 しかし、状態をころころ変えてきたのには理由があるのではとクレナは考える。


『ほう、クレナ。いいところに目を付けましたね。彼にも1つの状態を維持する時間が存在すると』


 状態変化を繰り返し、攻撃の手をころころと変えるメガデスにも弱点はあると調停神は睨む。


『ギャウ! マンマすごい!』


 調停神が褒めるからきっとすごいことなのだろう。

 クレナの考えでは、1つの状態を長時間維持することはメガデスにはできない。


「だから、こうしようと思うんだけど。ここに『着地』してゴニョゴニョ」


 ハクと調停神にだけ聞こえるように、クレナの作戦を伝える。

 クレナの「着地」という言葉に、クレナが装備した足輪が怪しく輝いた。


『何をコソコソ話しているんだい』


「ふふふ。そんなにゴロゴロ転がって、攻撃しやすいと話していたんだよ!」


『それは面白い!』


 何か仕掛けてくることはメガデスにも分かった。

 回転しながらも、攻撃方法の変化に対応すべく油断は一切しないようにする。


 それから時間が過ぎていく。

 状態変化を今度は鱗から牙に変える。


 クレナとハク、調停神で、時間停止のブレスを受けないよう距離を取りながら遠距離攻撃を中心に攻撃を続ける。


 そうこうしているうちに2時間ほどの時間が過ぎた。

 メガデスは爪、鱗、牙、鱗、爪、鱗、牙……と何度も鱗をはさんで体力を全快にして戦う戦法を取る。

 クレナたちは攻撃の手を変えながらも、攻め切れないでいる。


 クレナは腰に付けた時計の魔導具で確認しながら、状態変化のタイミングを確認する。


『そろそろ諦めてほしいところだね。状態変化爪モードクロウ


 メガデスは戦いが長期化しても攻撃の手を緩めないし、負けるつもりもないと意気込む。

 最も攻撃力の高い状態変化爪に変わる。


「……うりゃあああああ!!」


 クレナはメガデスの足元を確認したあと、スキル「真覇王剣」を発動した。

 対象は両の爪ではなく、メガデス本体だ。


 この攻撃に一瞬、ハクと調停神の表情が変わる。

 これまで使ってこなかったスキル「真覇王剣」はクレナの作戦の合図だと分かったようだ。


『ほう、爪をいくら攻撃しても無駄だと分かったようだね』


 両の爪を破壊しても、ようやく本体を攻めるかというところで、状態変化鱗になって回復してしまう。

 だから両の爪ではなく本体を攻めてきたとメガデスは理解した。


 クレナは遠距離攻撃であるスキル「真鳳凰破」に切り替え、メガデスの本体である腹部目指してスキルをぶつけ続ける。


『なるほど、だけど僕の爪は痛いよ?』


 そんな無理な作戦で突破できるほど甘くないとメガデスはニヤニヤする。


『ギャウ!? いたい!!』


『むう』


 クレナが両の爪を無視して攻撃したため、ハクも調停神もダメージを受けてしまう。


 メガデス本体を攻撃したため、両の爪の攻撃に耐えられなくなったようだ。

 クレナは天の恵みで皆の体力を回復させつつ、それでも力業でメガデス相手に攻撃を続けた。


『さて、この作戦も上手くいかなかったようだね。せっかくダメージを蓄積したところで悪いけど』


 メガデスはそろそろ次の状態変化に変わろうとした。

 その瞬間をクレナは時計の魔導具を見ながらも、次の変態のタイミングを見逃さなかった。


「いまだ! 転移!!」


『へ?』


 クレナと調停神が一瞬、その場から消える。


『ギャウ!!』


 ハクは鍛冶職人たちが作り上げたオリハルコンの爪で、メガデスの両の爪を抑え込む。


 メガデスの目の前に調停神に乗るクレナが現れる。

 この場所は少し前にクレナが「設置」と唱え、足輪の効果で転移する場所と記録していた場所だ。

 クレナの足輪には、修羅王バスクの足輪と同様に転移の効果がある。


 メガデスの前に転移するや否や、クレナはとっておきのスキルを発動させる。


超突撃ディープインパクト!!!」


 調停神は全身の筋肉を躍動させ、角は強い輝きを秘めていた。

 全ての力を籠め、転移してきた調停神とクレナがメガデスの腹部目掛けて突っ込んでくる。


 向かってくるクレナたちに対して状態変化を進めるのか、両の爪をこちらに戻すのか。

 しかし、どの作戦も不可能なほどの速度でクレナたちは強力な攻撃を加えた。


『ヘギャッパ!?』


 超突撃をもろに受けて、メガデスはこの広い空間で大いに吹き飛ばされたのであった。

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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
[一言] 買いました。コミック3巻目、イーブックで。
[良い点] 鬼畜アレンの契約内容(笑)なんなんすかねー。本当に駄馬扱いかよと。 [気になる点] ディープインパクトはやはりあの名馬から…? [一言] もはやプロレス感を呈してきた竜の試練。吹っ飛んだと…
[一言] ディープインパクトのおかげで、ファルネメスが競走馬にしか見えなくなってしまいました。
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