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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第8章 邪神の尻尾と聖魚マクリスの涙

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第443話 邪神のしっぽとの戦い

 上位魔神ラモンハモンを魚Sの召喚獣の特技「フリーズキャノン」で倒した。

 あまりにも圧倒的な力と、存在感に上位魔神たちに緊張が走る。


(さて、1体倒したところで本番が出てきたぞ。必ず報酬のレベル100アップは頂くことにする)


 もう少し上位魔神の数を減らしてから邪神との戦いに臨みたかったが仕方ない。

 変貌を終えた邪神のしっぽがゆっくりと足を動かして、前にやってくる。


『アアアアアアアア!!』


 巨大で凶悪な両手足のあるアンコウがまるで自我もなく大きな咆哮を上げる。

 そこに知性のようなものは一切感じられなかった。

 その体躯は巨大で全長数百メートルに達する。

 凶悪な前足の一撃で、この巨大な花柱を破壊するのではというほどの亀裂が入っていく。


『アクシリオン様、このような酷いお姿に。キュプラス、これがあなたの望んだ形ですか!』


 調停神は苦々しい顔をしながらも、キュベルを睨みつけ叫んだ。


『……そうだよ。ただの復活では何も変えられないからね』


 そんなキュベルは調停神を見ることもなく、邪神を見ながら悟りの極致のような言葉を口にする。


(キュプラスね。知らないな。キュベルの本名で、お二人は知り合いと)


 キュベルと調停神に何らかの関係があることは、誰が見ても明らかであった。

 そして、邪神とも何らかの関係もあるようだ。


 アレンはこれまで貴族家の従僕を経て、学園に通い、世界を冒険している。

 そんな中で一度もキュプラスなんて名前は聞いたことがない。


「邪神が暴れだす前にここで倒すぞ」


 アレンにとって最も大事なことはこの場で邪神を倒し、レベル100アップの報酬を手に入れることだ。

 せっかくの神界の大盤振る舞いなので、遠慮なくいただくことにする。


『おうなのら! 下にある街にはいかせないのらああああ!!』


 アレンはマクリスに邪神討伐を指示した。

 邪神はこの花柱の上から解放させるわけにはいかない風貌をしている。


『アアアアァアアアアァァ!!』


『うらああ、なのらあああ!!』


 ズオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


 2体の視線が合うなり、吸い込まれるようにお互いを目指して前進を開始した。

 勢いを一切殺さない速度でぶつかった2体によって、轟音と共に衝撃波がこの場にいる皆を襲う。

 マクリスは自分よりも数倍大きな邪神に対し正面から巨大な口を開け、メキメキと喉元に噛みつく。


 メキメキ


『アアアアァアアアアァァ!!』


 かみ砕く勢いのマクリスに対して、明らかに苦悶の表情を邪神は浮かべる。


『ビルディガ、バスク止めるのです!!』


 口調を荒げるキュベルがビルディガとバスクに対して、マクリスを止めるように指示を出した。

 変貌したビルディガが一気に距離を詰め、その凶悪な前足で切り込みを入れた。

 ビルディガの前足と、バスクの魔剣が襲うが、マクリスの肉厚の尾に刃が少しめり込んだところで止まってしまった。


『ふん! なのら!!』


 止めに入ろうとしたビルディガの攻撃を巨大なマクリスの尾で薙ぎ払う。

 彼方に飛ばされるのではと思うほどの力で吹き飛ばされる。


『んぐ!? 無茶苦茶だ!!』


 尾の一撃をくらい、ビルディガが圧倒的なマクリスの力にあきれ果てている。

 メタリックな腹部の外骨格に複雑な亀裂が入った。


(やはり、もう上位魔神は相手じゃないな。ラモンハモンを特技で倒した時点で分かったけど。これがSランクの召喚獣の力か。補助役の魚系統でこれとはな)


 アレンは魔導書を使い、マクリスのステータスを確認する。


・この時点でのマクリスのステータス

 【体 力】 88088

 【魔 力】 90090

 【攻撃力】 80530

 【耐久力】 117173

 【素早さ】 68900

 【知 力】 95870

 【幸 運】 65000


 精霊王の祝福を筆頭に、仲間たちのバフを貰いに貰い、覚醒スキル「ロイヤルオーラ」を使ったマクリスは上位魔神に対抗できるなどというレベルではなくなっていた。


 これで戦いよりも補助系の特技、覚醒スキルに重きを置く、魚系統の召喚獣なのだから末恐ろしい。

 虫、獣、竜系統など攻撃に特化したSランクの召喚獣ならどれほどの力を得るのか。

 そんなSランクの召喚獣の覚醒スキルは現在覚醒スキルが1つ封印されており、これでも全力ではないようだ。


『くそが!!』


 同じくバスクも振り払われ彼方に飛ばされる。

 マクリスは魔剣オヌバをもってしても大したダメージは与えられないし、圧倒的な体力なので、ダメージを受けた傍から回復が可能だ。


『何が召喚獣じゃ。こんなの亜神の域に入っておるぞ。儂は帰る! こ、これ以上は付き合っていられぬぞ。て、転移じゃ!!』


『ギイイイイ!?』


「き、貴様!! 待つのだ!!」


 マクリスの圧倒的な力に血相を変えたシノロムが転移の魔法を使う。

 巨大な目玉の化け物も置いていかないでと一緒に転移していく。

 シノロムを捉えようとするドベルグの刃は水中を切ってしまった。


(シノロムは逃げてしまったか。さて、北部の戦いはどうにかなりそうだな)


 帝都パトランタ北部でも戦況は大いに変わっていった。


 守り主体の陣で変わらないのだが、ロイヤルオーラのお陰で、攻撃力も知力も上がったので、ゴーレムたちと召喚獣を盾にしながらも、魔獣たちを殲滅し始める。


 そんな召喚獣たちも光る泡に包まれ、ロイヤルガードやロイヤルオーラの効果を受けている。

 虫Aや虫Bの召喚獣の大群は魔王軍の魔獣の数を減らしていく。


 ゴーレム隊はバフ効果がないのでそのまま盾役になってもらう中、すごい勢いで魔獣たちが屍に変えられていく。


 鳥Eの召喚獣で全容を確認するが、北部は勝利で間違いないだろう。

 戦局を変えるだけの効果が「ロイヤルオーラ」にはあった。


『ふん!』


 花柱の上では戦況がすでに変わっている。

 上位魔神に優勢になったのはマクリスだけではなかった。

 6つの羽の生えた神々しい天使もその1体だ。


『んぐ? やるじゃねえか!!』


 メルスの拳がメキメキとバスクの腹に食い込む。

 マクリスが使った覚醒スキル「ロイヤルオーラ」はメルスの力を圧倒的に強くした。

 メルスもバスクと善戦できるようになってきた。


・この時点でのメルスのステータス

 【体 力】 72358

 【魔 力】 61490

 【攻撃力】 65190

 【耐久力】 96249

 【素早さ】 55900

 【知 力】 65190

 【幸 運】 52000


 マクリスとメルスを筆頭に有利に戦いを進める中、アレンたちも奮闘し始める。


「本当ね。面白いほど当たるわ。なんか勘が鈍りそうよ? ブリザード!」


 セシルは呆れながら氷魔法を唱える。


「いくらでも狙い撃ちにしろ。絶対に当たるから」


 ビルディガにはマクリスの特技「シューティングスター」を使っている。

 どんなに避けても、ロイヤルオーラで威力の上がったセシルの氷魔法で放たれたツララ状の無数の刃がビルディガの体に突き立てられる。


 ソフィーの顕現させた精霊の攻撃も同じだ。

 これ以上の場所はないという急所めがけて放たれていく。


(シューティングスターは必中って感じか)


 マクリスが使用できる特技、覚醒スキルの分析もほぼほぼ終わった。

 その中でもシューティングスターの能力にセシルとソフィーが感動する。


【シューティングスターの能力】

・遠距離攻撃が必中になる

・対象は1体

・一定期間効果持続


 この世界では魔法は必中ではない。

 詠唱速度、クールタイム、敵の動きなどあらゆることを予想して攻撃魔法を発動しないといけない。

 必中というだけで、どれだけ楽に魔法を放つことができるのかということだ。

 タイミングも狙いも考えることなく放つことに、自らの腕がなまることをセシルは心配する。


(有利なうちに倒しきるぞ。こちらが有利であることをキュベルたちは分かっているんだからな)


 未だに戦闘に参加しないキュベルはともかく、なるべく早くバスクとビルディガは倒してしまいたい。


 ビルディガはメルスによって、弱点属性を氷に変更しているため、ダメージはどんどん蓄積していく。

 先ほどのマクリスの一撃と、クレナのスキル「超突撃」で強固な外骨格をはぎ取っていく。

 露出した部分に魔法や精霊の攻撃を加え、ビルディガを倒しきるつもりだ。


『アアアアァアアアアァァ!!』


 ズウウウウウウン!!


 邪神は巨大な両の前足をマクリスの頭に叩き込む。

 花柱にまた大きな亀裂が入る、マクリスの頭が深くめり込む。


『いたいのらあああ!! フリーズキャノン!!』


 痛みに涙目になりながらもマクリスは特技「フリーズキャノン」をゼロ距離から放った。

 邪神の喉元辺りに深くめり込みのけ反るほどの一撃で、邪神は苦悶の表情を上げる。


(むむ、なかなかしぶといな。あまり、戦いを伸ばしたくないのだが。邪神はさすがに属性を変更できないな。何属性だ?)


 キュベルの作戦を打破するなら、スピードが命だ。

 戦闘を長引かせたら、それだけキュベルが新たな行動をしかねない。


 一気に決めたいのだが、メルスの属性付与はビルディガには通用するようになったが、邪神には通用しないようだ。

 暗黒属性と思われるバスクにも通用しないだろうが、邪神も同じ暗黒属性なのかもしれない。


『一気に畳み掛けたいです。攻撃を合わせてください』


 鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を使い、仲間たちはもちろんヘルミオスたちにも号令を出した。

 邪神、バスク、ビルディガと仲間たちがそれぞれ戦う中、敵に気付かれず指揮できるのはアレンの強みだ。


「ガードブレイク!!」


『ぐふ!?』


 ドベルグはガードブレイクを発動させ、ビルディガの体に大剣を叩きこんだ。

 外骨格が露出する中、セシルの魔法、ソフィーの精霊の攻撃が追撃される。


 メルルは魔導盤にはめられた石板を変更していく。

 巨大な砲台にゴーレムの姿を変えた。


 バスクについては、メルス、クレナ、ドゴラ、シアが迫る。

 一気に同時に攻撃を食らわせる。


(さて、無属性攻撃を食らえ)


 キャノン砲に姿を変えた巨大なゴーレムに乗るメルルは、一点突破の攻撃でバスクを狙う。

 メルルの石板には、長距離攻撃の石板があるのだが、無属性のものがとても多い。

 3人と1体がバスクに攻撃を加え、アレンの鳥Aの召喚獣の覚醒スキル「帰巣本能」で安全な距離に一気に転移させる。

 追撃をするように暗黒属性に効果のある無属性のキャノン砲をバスクに与える。


『フリーズキャノン!!』


 ビルディガもバスクも重症を負う中、邪神にも攻撃を繰り返す。

 邪神の脳天に円錐状の氷の柱がぶつかり、粉砕されたところで、この世界の勇者が邪神めがけて駆け抜ける。


「神切剣!!」


 勇者ヘルミオスのエクストラスキル「神切剣」が邪神の額めがけて突き立てられる。


(タイミングとしてはばっちりだけど。ん?)


 攻撃を完全に合わせたヘルミオスのオリハルコンの大剣は邪神の額に全く刺さっていなかった。

 まるで剣先が額の前でピタリと止まるかのように静止している。


(神聖属性でダメージを与えられないと。それでいうと、フリーズキャノンで全く凍らないな)


 マクリスはバフにバフを重ねて知力15万で特技「フリーズキャノン」を先ほどから邪神に放っている。

 巨躯ということもあって、全ての氷の柱が邪神にぶつかっているのだが、1度も邪神の体を凍らせていない。


『ふふ。やはり、神聖属性で攻撃を食らわないと』


「キュベルどういうことだ?」


 作戦がうまくいかなかったことにどこか安堵しているキュベルにアレンは尋ねることにする。


『邪神様は、最強の属性「不死属性」だよ。あらゆる属性の上位にあたるんだ』


「ふむふむ」


(キュベルは調停神のようにアクシリオンって言わないんだな。それにしても、聞いたことのない属性だな。なんだ「不死属性」なんてあるのか?)


 学園の授業でも習ったことのない属性をキュベルが仮面を被っていても分かるほどのドヤ顔で言う。


『あれ、なんだ。反応薄いね』


 自らのように邪神の属性を自慢するキュベルがもっと驚いてほしいと言う。


「だが、マクリスの攻撃は随分通っているみたいだからな。このまま倒させてもらうぞ」


 ヘルミオスのエクストラスキル「神切剣」はどうも属性的な相性が悪いようだ。

 マクリスの特技「フリーズキャノン」の圧倒的な知力によって随分ダメージが蓄積しているようだ。


 バスクもビルディガも今回の同時攻撃で随分体力を削ることに成功した。

 ヘルミオスとドベルグはエクストラスキルを使ってしまったが、そのほかの攻撃は何度でもタイミングを合わせて使うことができる。


 アレンは次の攻撃で少なくともバスクとビルディガは倒せると踏む。


『あらあら。新たな英雄は容赦がないね。こっちはもうやられそうなんだけど』


(待ってやる理由はないな。戦闘時間は短いに限る)


『皆行くぞ!!』


 わざわざ、掛け声を聞かれる理由はない。

 アレンの言葉と同時に一気に攻撃の態勢に変わり、ビルディガ、バスク、邪神に迫ろうとする。


『ぬぐ』


 ビルディガは体液が水中にかなりの量漏れている。

 何度となく攻撃を受け、先ほどの作戦で瀕死の重傷を負い、もう立っていられないようだ。


 次に倒せる上位魔神はビルディガかと考える。


「ブリザード!!」


 負傷を負ったビルディガに止めだとセシルが魔法を放つ。

 全ては必中で、狙い定め、縫うようにビルディガに迫る。


『そうか。これが答えか』


 ビルディガは一言呟くと防御態勢もできない体でその身にセシルの魔法を受けることにする。

 何かを悟った表情は虫面なので誰にも分からない。


『ぬん!!』


「え?」


 庇うように現れた何者かが、無造作にセシルの魔法の全てを粉砕した。


「誰だてめえら!!」


 ビルディガだけではなく、バスクの前にも立ちふさがる者がいる。

 ドゴラは横やりを入れられ叫ぶが、割って入ったのは1体ではなかった。

 魔法陣から5体の者たちが現れ、バスクやビルディガ、邪神の前に立ちふさがる。


『ああ? なんで神界攻略組の六大魔天のお前らが全員で来るんだよ』


 バスクは彼ら全員を知っているようだ。


『ビルディガよ。随分なやられようだ。貴様は我ら、六大魔天の一角を担う者だぞ。あまりがっかりさせるでない』


『オルドー総司令殿、かたじけない』


 セシルの魔法を、魔力を込めた拳で粉砕したオルドー総司令に、ビルディガは礼を言う。


(あれ、オルドーって魔王軍の全軍指揮しているやつじゃなかったっけ)


 メルスからも魔王軍を指揮する総司令のトップにして魔王の右腕を務める者がいると教えられている。

 その名を「オルドー」といい、上位魔神だと聞いている。

 外套をはためかせ、威厳たっぷりで筋肉隆々の魔族がそうなのかとアレンは思う。


『僕らだけでは任せられないと思ったのかな。作戦成功のため、六大魔天を全て総動員したってことか』


 キュベルも会話に参加する。


『ふん。来たのは我らが王が、元々このつもりでいたからだ。慎重だが、時には大胆にというやつだ』


 オルドー総司令は既に作戦上のことであったと言う。


 新たに魔法陣が出現し、後方からもう一体の何かが現れた。

 魔法陣が消え、視線の先には真っ赤な髪に、真紅の瞳をした男が現れたのであった。

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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔王軍の皆さんしれっと飛んでくるけど水対策どうしてるんだろ 準備に時間かけまくってるからそりゃ何かあるんだろうけど
[一言] 待望の4巻発売!ずっと待ってました! TSUTAYAに小説1~4巻と、コミック1巻で小さいながらもコーナーが出来上がってました。 なんか嬉しくなりました。 ここは4巻を読みたい気持ちを抑え、…
[良い点] まくお就職おめでとう [気になる点] ま、ままままおお [一言] きtらぁあああああああああああ(マクロス)
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