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第40話 Eランク

 収納スキルが分かった翌日。


 午後からは騎士ごっこ。家に帰ったら夕食にマッシュやミュラを寝かしつけなくてはならない。そうこうしているうちに真っ暗だ。スキルの検証は洗濯物を洗う時と決めている。


(さて、魔力も満タンだし、次はEランクの召喚獣に挑戦だ)


 洗濯物を大きな桶の上で踏みつつ、魔導書を見ながらEランクの召喚獣の検証をするのである。


(まずは、虫と獣は生成スキルで作ることができるはずだ。まずは、虫Eから挑戦だな。

虫E生成だ!)


 今まで通り、虫Eができるように念じる。


 しかし、何も出てこない。目の前に普段であるなら、光と共にカードが現れるのだが。


(ふぁ? なんで? 魔力が足りんかった? 魔力233もあるんだけども?)


 何年も前、生成レベル2に必要な魔力5が足りなかった時を思い出す。しかし今は魔力が233ある。足りないはずがないと思い、魔導書の表紙を見る。


 そこには、銀色の文字でログが表示されているのである。


『虫ランクEを生成するために必要な、Eランクの魔石が足りません』


「ぶっ!?」


 思わず吹き出す。あまりの驚きで木桶の外に転びそうになる。


(ま、魔石!? Eランクから魔石がいるのか?)


 魔導書の表紙のログの表示のとおり、Eランクのカードを生成するために、Eランクの魔石が必要のようだ。


 たしか、Eランクの魔石が子供部屋にあったことを思い出す。ミュラが眠る子供部屋の床板を剥がし、大量の銀貨の入った袋の側に転がる6個の角の生えたウサギの魔石を拾う。小指の爪ほどの小さな魔石だ。色は紫なので、石ころと間違えたりしないのである。


 なお、魔石は紫なのか、徴税で全て納めたアルバヘロンの魔石もグレイトボアの魔石も紫である。ほぼ球形の形で、アルバヘロンの魔石は親指の1節ほど、グレイトボアの魔石はピンポン玉ほどの大きさがある。


 残りの大量の銀貨はアルバヘロンの肉を売って手に入れたものだ。銀貨342枚ほどある。


 また、木桶に戻り洗濯を続ける。魔石を握り、先ほどと同じように生成スキルを発動させようと念じる。


(よし、今度こそ。虫E生成!)


 しかし、何も起こらない。カードが生成されずまたかと思い、魔導書のログを確認する。まったく同じログが流れている。Eランクの魔石が不足しているとのことである。


(ん? 魔石持っているんだけど? 持つ? なるほど!!)


 どうやら、何かを閃いたようだ。魔導書の収納のページを開く。


(もしや、ここに入れろってことか?)


 とりあえず、全部の魔石を入れてみる。


(これで良しと。で、改めてとEランクのカード生成!)


 すると目の前に虫Eと右上に表示されたカードが現れるのである。


(おお!! できた。なるほど、収納はこうやって使うのか。ふむふむ、Eランクはチョウチョか。ちょっと召喚してみるかな)


 大きさが分からないので、カードから召喚獣にしてみる。


 カードが光り、虫Eの召喚獣が出現する。


「ぶっ!? でかい戻れ!!」


 1メートルを超える巨大な蝶々が現れたため、慌ててカードに戻す。アゲハ蝶をかなり大きくしたものが宙に浮いていた。細部を見る余裕もなかった。


(やばいな、Eランクは1メートル以上あるかも)


 もう庭先で気軽に召喚できないなと思う。家に家族もいる。バッタの大きさ程度だったころから、召喚獣のレベルが上がる度に大きくなっていっている。


(よし、じゃあ、獣Eも作ってみるか。おお! これはサーベルタイガーだ!! 犬からサーベルタイガーだ。一気に強くなったぞ!! 虫と獣は終わったから、後は合成かな。合成もしてみるぞ)


 魔導書の合成のページを開く。そこにも変化があった。


 以前までは見開き左側に合成元になるカードを2枚入れることができる凹みがあった。そして、右側には完成したカードが現れる凹みが1つである。


 しかし、右側の凹みは変わらないが、左側の凹みが3つある。


 左側の凹みは、カードがすっぽりはまる大きさの凹みが上に2つ。その下に何かを置くような凹みが1つ。どうもカードの大きさではない。


(え? もしかして、合成にも魔石がいるの? 虫と犬に魔石使ったんだけど)


 嫌な予感がする。とりあえず、虫Eと獣Eを左において、鳥Eを合成しようと思う。ランクが変わっても合成パターンは同じだ。


 合成と心の中で唱えてみるが、何も起こらない。どうやら本当に魔石が必要なようだ。


 虫Eと獣Eのカードの下の凹みに1つの魔石を置いてみる。


(合成!)


 合成の材料に魔石を追加して、合成と心の中で唱えると、1つのカードが出来上がる。


(やはり、魔石が1個要るのか。まじか。これは魔石がかなり必要な感じなのか)


 生成にも魔石が1つ要る。合成にも魔石が1つ要る。鳥は1回の合成で済むが、草は2回合成が必要だ。


「アレン、そろそろお昼よ~」


「は~い、母さん」


 かなり熱心に検証をしていたのか、随分時間が過ぎてしまっていたようだ。


 土間に入るとテレシアがいる。居間には、マッシュとミュラもいる。ミュラがアレンを見てキャッキャいっている。ミュラも茶色の髪に緑の瞳だ。1歳3か月の元気な女の子だ。ハイハイで家の中を動き回れるようになった。


 アレンが同じ1歳くらいの年だった頃は、テレシアはアレンが寝ている時に畑仕事をしていた。ミュラが1歳を過ぎたので、テレシアは畑仕事をしようとした。僕がやるから無理しないでと言った。


 アレンはテレシアと一緒に昼飯を作る。軽い昼飯だが、家族5人になるとそれなりの量だ。


「ただいま」


 ロダンも帰ってくる。朝から10時近くまでアレンも一緒に畑仕事をしていたが、途中で洗濯物のために先に家に帰った。


 毎日の団欒である。ロダンが芋をかじりながら呟く。


「そろそろ、家族も増えたし、部屋を大きくするかな。アレンも1人部屋がほしいだろ」


 どうやら今ある子供部屋は小さいのではと思っているようだ。


「え? いや今のままでいいよ。お金ないし」


「いやあるだろ。お前が稼いでくれたじゃないか」


 これで部屋を作るのに必要な材木が買えるぞと言うロダンだ。


(おいおい、せっかく平民にするために稼いでいるんだから、そんなことに使わないでくれ)


 アルバヘロンの肉は全て売った。その金額は銀貨342枚にもなった。もちろんお金は家長であるロダンのものだ。全部渡している。


 しかし、銀貨でいうと、家族全員を平民にするためには、銀貨5000枚がいる。まだまだ足りない。とても贅沢はできない。


 ロダンにもテレシアにも平民にするために貯めているとは言っていない。

 


「いや、ほら、また大怪我したり、ミュラが病気になった時のためにとっておこうよ」


 まだ1人部屋はいいという。


「そ、そうか?」


 まあ、もう少しアレンが大きくなったら考えも変わるかと、無理して部屋を大きくしようとしない。


「そういえば、父さん。村の堀って完成したんだっけ?」


「堀? ああ完成したぞ。お前も手伝ったじゃないか」


(やっぱか、やばいな)


 この村には塀がある。木を組んだ塀である。しかし、隙間があるので角の生えたウサギのような低位の魔獣が入ってきた。開拓村ベビーブームで生まれた子が大きくなり、活動範囲が広がっていく。魔獣からは美味しい肉が取れるが、子供が心配である。


 何年も前から、塀の周りの土を掘って、堀を作ろうとしてきた。魔獣が入らないようにするためだ。


 主に畑仕事のない1月から3月の間に農作業のない農奴が参加している。アレンはロダンと共に今年参加している。


 その堀が完成したため、村にEランクの魔石をもたらす、角の生えたウサギが入ってこられなくなった。


(やばい、クレナんところ、魔石とっているかな)


 アレンは急いで魔石を探さないとと思うのであった。


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発売日:2025年4月11日
ISBN:978-4803021103

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど収納を使って密猟をすれば良いわけだな。村長に魔石はやらん。と。
[気になる点]  「1メートルを超える巨大な蝶々が現れたため」  ランクが上がったらモスラも召喚可能?
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