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ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~  作者: ハム男
第5章 バウキス帝国S級ダンジョン攻略編
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第279話 ミスリルゴーレム

 アレンたちは、皆集合みたいなノリの成人式を終えた。

 久々に家族に会えた仲間たちは、気持ち元気になったような気がする。

 廃ゲーマーのパーティーリーダーとして福利厚生をやった感がある。


 仲間たちは、アレンが1日100体目標に10時間以上ぶっ続けてアイアンゴーレム狩りをするという異常な状況から、現実に戻って来れたのかもしれない。


「銀の豆、金の豆100個ずつです」


「ありがとう」


 アレンは拠点でヘルミオスに銀の豆と金の豆を渡す。


 最も深く攻められたローゼンヘイムへの支援の意味で急ぎ銀の豆と金の豆をエルフの女王陛下に渡した。


 各種要所の防壁を修復することが急務であった。

 銀の豆、金の豆があれば安全に防壁が修復され、エルフの安全が守られる。


 しかし、侵攻を受けたのはローゼンヘイムだけではない。

 ギアムート帝国もかなり内陸まで侵攻を受けた。


 取り返した領土も去年の戦争で随分失ってしまった。

 現在も奪われた要塞がある。


 ギアムート帝国にも必要だと言うことで金銀の豆を渡した。


 ただ、魔獣を寄せ付けない金銀の豆が必ずしも戦争で有効とは限らない。

 なぜなら、街や村を魔獣から守るための金銀の豆の使い方は正解だが、要塞や砦に使って魔獣が近づかなくなって本当にそれでいいのかという話だ。


 アレンが魔獣を動かす魔王軍の部隊なら、Aランクの魔獣も近づけなくなった要塞は無視する。

 もしくは、Sランクの古代竜とかを要塞にぶつける。


 一応参考までに、要塞での使い方について助言はしておいた。

 例えば金銀の豆を要塞に配備しておく。

 頑張っても陥落しそうになった場合の兵の安全確保の保険のために使うなら有効だと伝えた。

 これなら魔王軍も時間をかけて攻めたのに結局要塞を落とせなかったという時間的、兵の消耗的な損失を与えることができる。


 どのように使えば有効か、欠点があることも含めて説明するようにヘルミオスに伝えた。


 100個ずつ渡した金の豆、銀の豆であるが、恐らくもっと必要だと言ってくる。

 ローゼンヘイムと違い、ギアムート帝国は覇権思想の強い大国だ。

 必要以上に渡して、国家の拡大路線に走らないか様子見を含めて、少しずつ金銀の豆は渡していこうとアレンは考えている。


「あ、あの。これも、アレン様が……」


 ヘルミオスの仲間の聖女グレタが歓喜の表情を見せて反応する。

 アレンが天使メルスを召喚できるようになって態度が急変した。


 どこかアレンを信仰の対象にしているような態度だ。


「グレタさん」


「は、はい」


「これはローゼンヘイムからですよ」


 アレンはこれはローゼンヘイムが用意したものだと言う。


「え、でも……」


「グレタ。その辺にするんだ。ありがと。アレン君」


 ローゼンヘイムから貰ったと言うアレンに、グレタが納得しない。

 ヘルミオスはそんなグレタを諫め、アレンに礼を言う。


 2日間の休みの日は、アレンは自分の部屋に籠っている。

 アレンの仲間たちしか部屋に入れることはない。

 きっと何かをしているが、それを言おうとしない。


 不自然だなという表情がヘルミオスのパーティーに広がっていくが、追及はしない。

 なぜなら、アレンがこの半年以上の間に冒険者たちに何をしてきたか知っている。


 万単位の冒険者が既に命を救われている。

 万という命はただの数字ではない。


 それを率先してやってみせたアレンの力の全てをここで話せとは求めない。


「じゃ、今日はミスリルゴーレムに挑戦します」


「は! 遠距離攻撃で近づけず死体の山を増やすだろうな! やめとけやめとけ!!」


 すると朝からお酒を飲んでいるガララ提督が悪態をつく。


(なるほど。次は遠距離攻撃が得意なゴーレムね)


 何となくもらったヒントも含めてミスリルゴーレムに挑戦しようとアレンは考える。


 神殿から5階層に移動する。

 5階層のメダルをはめる台にはアイアンメダルとブロンズメダルが既にはめられている。

 今日、ミスリルゴーレムを倒して、ミスリルメダルを手に入れたら全てが揃う。

 そしたら、最下層ボスにとうとう挑戦できる。

 今日はそんな戦いの日だ。


 キューブ状の物体からミスリルの間に移動する。


「やはり、この広間も銅や鉄の間と同じ感じだな」


 何となく転移した先の感想を言う。

 いつもの、天井が果てしなく高く広い場所に移動する。


 そして1体のミスリルで出来たゴーレムが棒立ちしてアレンたちの前に立っている。


「いくぞ!」


 アレンたちは鳥Bの召喚獣に乗り、メルルはミスリルゴーレムのタムタムを降臨させ距離を詰めていく。


 ある程度距離を詰めたところで、目の前で棒立ちだったミスリルゴーレムが反応を示す。


 一気に形を変え、小さくまとまったかと思ったら、翼を作り、フラフープ状の大きな輪のようなものが本体の上で高速で回転する。


 駆動音を鳴らしながらミスリルゴーレムが宙に浮く。


「飛んでくるぞ。って、え?」


 何を以って飛ぶのか、ミスリルゴーレムの動力が分からないが宙に浮いた。


 そして、近接し攻めてくるのかと注意しようとしたら、2つの筒状のものを前に突き出した。

 そして、筒状の先端が一気に輝きだす。

 

「あ、あぶない!」


 そう言った瞬間に光球のようなものを無数に連射してくる。

 メルルが遠距離攻撃から仲間たちを守るため、とっさに前に出る。


「ぐ!? んぐぐ!!」


「メルル!!」


 前に突き出したタムタムの両腕が、ミスリルゴーレムの遠距離攻撃に当たり、粉砕されていく。


 体にも無数の攻撃を受け、タムタムの膝が地面につく。

 両腕の大部分を粉砕されたタムタムの水晶の中で、メルルが魔導盤の両腕の部分を、予備の石板に慌てて変えようとする。


「俺が前に行く!!」


「私も!!」


 鳥Bの召喚獣に乗り、大盾を前に突き出しドゴラが宙を飛び回るミスリルゴーレムに迫る。

 クレナ、天使メルスも加勢し、距離を詰めるのだが、ミスリルゴーレムは逃げの一手を選択する。


 近距離戦は一切行わないようだ。

 ひたすら逃げ続けるので、鳥Bの召喚獣に覚醒スキル「天駆」を使わせるが追いつかない。

 そして、アレンたちから十分な位置まで離れたと思ったところで、再度筒状のものから光球を連射する。


(おいおい、グリフは分かるが、メルスのステータスで追いつけないってどういうことだよ)


「「ぐ!?」」


 ドゴラが大盾を突き出し攻撃に耐える。

 距離を詰めようとする2人と1体に、キールが必死に回復をかける。


 転職を重ね、耐久力の高くなったドゴラをミスリルゴーレムは倒すことはできなかったが、鳥Bの召喚獣は違う。


 鳥Bの召喚獣が光る泡となって消えていく。


「アレン次のグリフを出してくれ!!」


 アレンに慌てて新たな鳥Bの召喚獣を出せと言う。


「もう、ちょこまかと!」


 セシルが魔法を唱えぶつけようとするが、常に高速で動くミスリルゴーレムにほとんど当たらない。


 ソフィーはキールと同じく、連射してくるミスリルゴーレムから仲間を守るため、回復と守りに徹している。

 こんなに攻撃が激しいのは初めてかもしれないと思えるほどの強敵だ。


(さて、初めてのタイプの敵だな。遠距離を得意としているせいか魔法攻撃は幾分弱いと。このままだと長期戦になってしまうな)


 付かず離れず距離をとり、優位な位置からひたすら嫌らしく攻撃をしてくる。

 追われたら逃げる敵などこれまで経験をしてこなかった。


「ロカネル、出番だ出てこい」


 【種 類】 石

 【ランク】 A

 【名 前】 ロカネル

 【体 力】 10000

 【魔 力】 8000

 【攻撃力】 6500

 【耐久力】 10000

 【素早さ】 7000

 【知 力】 8000

 【幸 運】 9800

 【加 護】 体力200、耐久200、ダメージ軽減

 【特 技】 吸収、死に戻り

 【覚 醒】 収束砲撃


 ヒヒイロカネで出来た身の丈15メートルほどの石Aの召喚獣を召喚した。

 今までの石系統の召喚獣に比べて随分細身だ。


 そして、大盾ではなくバックラーと呼ばれる小さな盾を両腕に装備している。


「吸収を使え!」


 アレンが特技「吸収」を使うように指示をする。


『……』


 すると無言で反応し、ヒヒイロカネで出来た金属の球を無数に空中に飛ばす。


「ドゴラ、クレナ、すまないが少し下がってくれ」


 アレンの言葉に、ミスリルゴーレムに迫っていた2人が後退する。

 2人が後退して、距離が十分に開いたため、今まで以上に光球を発射してくる。


 ドゴラやメルルが身構えるが、全て石Aの召喚獣が飛ばした宙に浮く金属球が、ミスリルゴーレムの光球をどんどん吸収していく。


 それぞれの金属球は、朱色に輝いていたが、ミスリルゴーレムの攻撃を吸収し続けた結果どんどん光が強くなって、仕舞いには白く輝き始めた。


 ピシッ


 吸収を続けた石Aの召喚獣の体に亀裂が入り始める。

 そして、亀裂が全身に回り、今にも崩れてしまいそうだ。


 しかし、時が戻るように亀裂が消えてしまった。


(お? 一回死に戻ったか?)


 キールの回復魔法を含めて何もしていないのに石Aの召喚獣は完治した。


 しかし、亀裂がまた大きく入り始める。


「限界か。1回戻ってくれると助かる」


 そういうとアレンは両手を前に突き出した。


(とうとうこれを言う時が来たか)


 いつか言いたかった言葉を口にする時が来た。

 気持ちが高揚していく。


 アレンの所作に石Aの召喚獣が反応し、同じように両手を前に突き出した。

 そして、無数の金属球が両手の前に集まって1つの塊となっていく。


 完全に1つの塊になった光り輝く金属球だ。


 アレンは大きく息を吸い、そして叫んだ。


「薙ぎ払え!!」


『……』


 石Aの召喚獣は目が輝き反応する。


 石Aの召喚獣の目の前に浮く光り輝く巨大になった金属球が、ものすごい勢いでミスリルゴーレムに吸い込まれるように突っ込んでいく。


 そして、ミスリルゴーレムを大きく砕くほどの一撃を与えたのであった。


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ヘルモードコミック11巻
発売日:2025年4月11日
ISBN:978-4803021103

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― 新着の感想 ―
[一言] 散々ドラゴンBで薙ぎ払ってたじゃん
[良い点] 何を言うかと思ったら 薙ぎ払え! ロマンですなwww
[良い点] ただのツンデレじゃないか! おじさんのツンデレとか誰得だ でも悪くない
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