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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第5章 バウキス帝国S級ダンジョン攻略編

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第225話 白竜退治②

 重量感のある体を動かし、白竜がアレンたちに歩みを進める。

 地響きを立てながら山の斜面を進み、体に比べたら小さな翼を動かし始める。


(会話はできるが、戦わないという選択肢はないって感じだな)


 名乗れと言うからセシルとキールから名乗らせたが、俺はまだ名乗っていないぞとアレンは思う。どうも、『討伐』という言葉に白竜が強く反応したように感じる。


『待っていた! 待っていたぞ!!』


 呟くように、噛み締めるように、求めるように、口角を上げ笑みをこぼした白竜は、翼の羽ばたきを強くしていく。


 その雄叫びのような言葉で、荒涼とした山の斜面を踏みしめる衝撃音で、白竜山脈の森の広大な範囲で一斉に鳥たちが羽ばたき、獣たちが逃げていく。


 白竜山脈の覇者がアレンたちに迫る。


「クレナ、ドゴラ! 白竜は飛ぼうとしているぞ。地面に固定するんだ!」


「分かった!」


「おう!」


 白竜は、鳥Bの召喚獣に乗り空中戦を仕掛けるアレンたちと戦うため飛ぼうとする。

 アレンはクレナとドゴラを白竜に肉薄させ飛び立てないようにする。


(ドゴラは全然盾の扱いに慣れていないが、グリフのお陰でなんとかと言った感じだな)


 巨大な斧と盾を装備したドゴラは動きづらいのだが、鳥Bの召喚獣が攻撃しやすく守りやすい位置取りに巧みに移動するお陰でなんとか戦えている。


 なんの力が働いているのか分からないが、鳥Bの召喚獣は重量級の装備をしたドゴラが乗っても移動速度が変わらない。

 知力が高いこともあって、死角を突くように白竜を翻弄する。


『ふん、小癪な!』


 白竜の喉の下から膨らみが上がっていく。

 口元に炎が零れる。


「セシル、氷魔法だ!」


(転職していてよかったぜ)


「任せて!!」


 魔導士から大魔導士になったセシルは、4つ覚えられる魔法の属性のシャッフルが起きた。セシルはレベルとスキルレベルが上がれば、最大4つの属性魔法を覚えられるようになり、今まで使えなかった氷魔法を体得した。


 これは精霊魔導士になったソフィーも同じだ。


 スキルレベル1の時のスキルが全員同じであったため、転職しても同じスキルを覚えていくのかと思ったが違っていた。スキルレベル2以降はどうやらスキルが変わっていくようだ。


 ガチャによる確率なのか何なのか不明であるが、今まで使えなかった属性が戦術の幅を大きく広げてくれる。


 水魔法では作れなかった氷の塊を生成する。

 巨大な氷塊が白竜の顔面を襲う。

 しかし、氷塊が顔面にぶつかる前に白竜にブレスを吐かれ、巨大な氷塊は液化することなく蒸発してしまう。


「よけろ!」


 アレンの言葉にクレナとドゴラの乗っている鳥Bの召喚獣が反応する。


(レベル45じゃ、白竜のブレスに押し負けてしまうな)


 全員の星が1つ上がり、カンストした前職のステータスの半分を持ち越してのレベル45だ。

 全員、転職する前のレベル60よりステータスはやや高い。


 しかし、その程度では白竜のブレスにセシルの氷魔法は押し負けてしまう。

 一瞬にして巨大な氷塊を蒸発させ、ブレスがクレナ達を襲う。

 今のセシルの氷魔法では、タイミングが合ってもブレスの威力を一瞬殺す程度にしかならない。


 アレンは、ブレスに押し負けることを想定し、鳥Bの召喚獣に回避行動をとらせる。


 躱したのもつかの間、白竜の喉元に何かが上がってくる。


「フォルマール、光の矢で口を狙ってくれ」


「分かっている!」


 アレンが叫んだ時には、フォルマールはエクストラスキルの使用を開始していた。

 セシルの巨大な氷塊を一瞬で蒸発させたブレスの威力が、アレンたち全員に緊張を与えたからだ。


 もし、セシルが氷塊で威力を抑えていなかったらどれほどの威力があったのか、もしかしたら後方にいたソフィーまで届いていたのではとフォルマールは判断した。


 大きく顎を上げた白竜の口元に、真っ直ぐフォルマールのエクストラスキル「光の矢」が吸い込まれていく。


『がはっ!?』


 体まで動くほどの一撃を頭に受け、白竜が全身を後方にのけ反らせる。

 ブレスは口から少し炎が漏れる程度で消えてしまう。


 それを見て、クレナとドゴラが接近して、巨大な剣と斧を真っ白の鱗に打ち込む。

 生き物を殴ったとは思えないほどの強い金属音と火花が、白竜の鱗で覆われた肌から発せられる。


 スキルを使用したクレナやドゴラの攻撃でも、致命傷どころか鱗を数枚剥がす程度でしかない。


 白竜は圧倒的な防御力を誇るようだ。


「ぐあっ!!」


 白竜の尾でドゴラが吹き飛ばされる。

 寸前で大盾を使い防いだが、鳥Bの召喚獣ごとアレンたちの最後方まで後退する。


(できれば、体を損壊させずに倒したかったが、舐めプだったか?)


 倒すだけなら他にも方法はいくつもあった。


 例えば、アレンは数百万個のBランクの魔石を持っている。

 休まず永遠に白竜を攻め立てる方法もある。


 例えば、セシルに白竜のはるか上空からエクストラスキル「小隕石」を落として攻撃させることもできる。


 それでもアレンは、白竜をなるべく原形を留めて倒すという方法を選んだ。 

 しかし、召喚獣の補助を使っても、攻撃が白竜に通じない。


「アレン様、精霊神様のお力を借りますか!?」


 中衛の位置で飛んでいるアレンの後ろからソフィーが声を掛ける。


 ソフィーがエクストラスキル「大精霊顕現」で精霊神を呼び出せば、「精霊王の祝福」を掛けてもらえる。

 実際のところ、精霊神はソフィーの肩に乗っているので顕現する必要はない。

 全魔力を消費し、エクストラスキルを使った時だけ、精霊神は精霊王の祝福を使ってくれる。それ以外の時はソフィーの肩や頭に掴まり基本的に戦闘には参加しない。


 ソフィーはクレナとドゴラの攻撃力が現状では足りていないため、精霊王の祝福で攻撃力の底上げをするか尋ねる。

 精霊王の祝福を使えば、全ステータスが3割増す。


「いや、動きを封じることに注力をしてくれ。白竜の耐久力的にクレナやドゴラのエクストラスキルで倒せるはずだ」


(上位魔族のグラスター級か。たぶんAランクの最上位に位置しているんだろうな。これ以上強くなるとS級の魔獣になるといった感じかな)


 アレンはクレナとドゴラの攻撃を受けたときの白竜のダメージ具合から、精霊王の祝福ではなく、別のエクストラスキルを使うように指示をする。


「動きを止めるのですね。承りましたわ。大精霊よ。私の声にお答えください」


 白竜の足元に大きな岩ができ始める。


 ドンドンでかくなり、そして巨大な上半身に変わる。

 そして、上半身のみで白竜の腹に抱き着き、岩が白竜を覆うように絡みついていく。


『……我は土の大精霊ノーム。精霊王との契約により、エルフの子よ。魔力を対価に我が力を貸そう』


『ぬう! なんだこれは!!』


 メキメキと音を立てながら、白竜が体を覆った岩を無理矢理剥がそうとする。


「ドラドラ、ミラー出番だ!」


『おう!』


『……』


 白竜の両脇から指揮化した竜Bと石Bの召喚獣が現れる。

 この瞬間までアレンは召喚獣を出していない。


 白竜を油断させるために機会を窺っていた。


『な!? ドラゴンがなぜ人に与する!!』


(ふふ、驚いたか)


 石Bの召喚獣に比べて、圧倒的に竜Bの召喚獣に強く反応する。

 指揮化して白竜と同じ大きさになった竜Bの召喚獣が、人間の味方をすることに理解が追い付かないようだ。


(頭が良いのも考えものだな。理解することを優先させやがって)


「ドゴラ、今だ!! 全身全霊でドラゴンの首を落とせ!!」


 足元はソフィーの土の大精霊が、両脇は石Bと竜Bの召喚獣が動きを封じた状態だ。


「ああ、分かった!! うおおおおおおおおおおぉぉあああ!!!」


 ドゴラがアダマンタイトの大盾を空中に投げ出し、片手で握っていた大斧を両手で握り締める。


 そのまま、全身の力を大斧に集中させ、掛け声とともに白竜の首元に迫る。


 しかし、


 ガキイイイイイン!!!


 白竜の首元の鱗を数枚弾き飛ばしたところでドゴラの大斧が止まる。


(また失敗か。というか、魔神レーゼルと戦った時の一発から一度も成功していないんだが)


 ドゴラは無念をジャガイモのような顔全体で表現する。

 ダンジョンでドゴラにエクストラスキル「全身全霊」を再現させようとしたが、一度も成功しなかった。


 今回は強敵である白竜との戦いだ。

 もしかしたら、またエクストラスキル「全身全霊」を使えるかと思ったが駄目であった。


「ドゴラ、下がれ!! クレナ、エクストラスキルだ!!」


 盾を投げ捨てたまま首元にいるドゴラを白竜がかみ砕こうとする。

 一旦ドゴラを下がらせ、クレナにエクストラスキルで倒すように指示をする。


「分かった!!」


 アレンの言葉を聞いたクレナの体が陽炎のように屈折する。

 いつものようにエクストラスキル「限界突破」を発動させた。


 そして、そのまま両手で大剣を握りしめ、白竜の首元に迫る。

 白竜の巨大な牙を避け、さらにスキルを使用した渾身の一撃が白竜の首元にぶち込まれる。


『がはっ!?』


 白竜にとって驚きに近い一撃であった。

 その一撃を受け、白竜は自らの体を上から見つめるように落下する。

 その首元には頭部がない。


 白竜はクレナの一撃で首を切り落とされた。


 首から大量に血潮が流れる。

 そして、頭を失った体も山の斜面に地響きを立て伏してしまう。


『これが倒されるということか』


「ん? そうだな、俺らの勝ちか」


 頭だけになったが、勝負はついたので白竜の頭と話をする。


『貴様、もしや昔から麓の村で我を倒そうと目論んでいた者か?』


「え? まあ、そうだな。反対側の村にいたころから倒すつもりでいた」


(俺のことを知っていたのか? 自らに対する意識や殺気を感じることができたのか? 随分広く、そして高性能な索敵能力だな)


『そうか。ずっと待っていた。これで退屈せずに済みそうだ……』


 アレンが感心する中、白竜は笑みを浮かべ、その目から輝きを失う。


『白竜を1体倒しました。経験値2800万を取得しました』


(ずいぶんな経験値だな。経験値も上位魔族級か。というか仲間たちが全員レベル52まで上がったんだが)


 満足そうに笑みを浮かべながら白竜は倒された。

 そして、膨大な経験値がアレンたちに入ったのであった。


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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
[一言] この白竜がAランクかSランクの召喚で復活する伏線かなぁ
[一言] 白竜の最後?の言葉、、、 何かの伏線でしょうか??? 実は分身体で本体も存在するとか?! 続き楽しませて頂きます(''ω'')ノ
[一言] はくりゅうぅぅぅーーーッッッ!!
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