兄様。
読んでいただき本当にありがとうございます!
今回も、短めですね。はい。
「お母様。おはよ「フィーア!!」」
凄い勢いで抱きつかれ(全然痛く無い)くるくる回りながらソファーまで連れてこられた。
………え?
誰?何事?
困惑しながら、私を抱きとめている人を見つめた。
えー。
凄い美形な方なのですけど…。
でもキラキラしてなくて…少し影のあるような……?
灰色の髪に黄色い瞳の……。
あれ?
その色に私の呼び方……。
「兄様?」
私がそう呼ぶとその人は凄く嬉しそうに微笑んだ。
「フィーアが俺の事覚えててくれたー!!」
兄様……。
アイゼン・ジェネラル。
7年前に学園に通いながら両親からの命令で何かをしに行ってから一度も帰って来てなかった人。
現在22歳。結婚適齢期。婚約者なし。時期公爵。
「で、母様はなんで勝手にフィーアの婚約者を決めてるのかな」
兄様は私を抱きながら鋭い目つきでお母様を睨みつけた。
「えー?だって王家から打診が来たら断れないじゃ無い?」
「ちっ。話が違う」
兄様の舌打ちは少し迫力?があった。
「フィーアは俺のフィーアなのに」
兄様はぶつぶつ言いながら私を頭を撫でた。
ホームシックだったのかなぁ?
寂しかったのかと思い、私からもぎゅって抱きついたら綺麗な顔で微笑まれて、兄様でも、その顔はずるいなって思った。
「あ、そうだった。王太子様も、フリージアの事をフィーアって呼ぶのよ。お揃いね?」
お母様は楽しそうな笑顔を兄様に向けた。
「は?なにそれ。じゃあ俺はフィーって呼ぶから。いいよね?」
どうぞ好きに呼んでください。
「はい。兄様の好きなように呼んでくださいませ」
「フィー!可愛いなぁ。少し見ない間に綺麗になったねぇ。大丈夫。王太子にフィーはあげないからね」
兄様は微笑んでいたけれど、その笑顔が少し怖かったのは内緒でる。
*
フィーが俺のことを覚えていてくれた。
それだけでも嬉しいのに、その後もずっと俺の足の間に座ったままでいてくれた。
勿論遠慮なく後ろから腰を抱き続けた。
同じ家で過ごしてたのに匂いって違うものだなぁ。フィーから甘い匂いがする気がする。
母様に呆れたような目で見られたけど気にしない。
「あれ?父様は?」
「ん?あぁ、仕事よ。お城のね」
母様が呆れた目をしたまま言った。
「あぁ、宰相だっけ?大変だねぇ。てことは父様は母様不足なのかなぁ?」
「んー?どうかしら。まだ、帰ってきてなくて1週間だからそうでもないんじゃない?」
父様は母様を溺愛しすぎていて、一定時間離れていたら充電とか言って一日中部屋から出てこなかったのだ。7年前までは。
今はどうか知らないけれど母様の言い方的にまだやってんだろうなぁと。
あ、ナニをやってるかは言わないけどわかるよね。
基本凄い優秀な人なのに、母様に対しては残念な人になるんだよなぁ。
案の定仕事が終わって帰ってきた父様は俺を見て「帰ったのか」とだけ言って、母様を抱き上げて部屋に消えていった。
7年間帰ってなかった子供を見てそれですか。父様。
ちらっとフィーを見たら無表情で紅茶を飲んでいた。
無表情でもフィーは可愛いなぁ。
フィーを愛でていたら月日は流れて、ついにフィーの入学前日になった。
俺もどうにかして学園に行こうかなぁ。
王太子も見たいしね。
次回は王太子目線(の予定)