目標を決めました
気づいたらブックマークが増えててびっくりです!
ありがとうございます!!
よろしくお願いします。
あのお茶会から一ヶ月。
毎日毎日毎日王太子様に会わない生活。
なんて素敵なんでしょうか。
眼に映る全ての物が優しく見えます。
ただ、たまにぽっかりと心に穴?が空いたような気分になるのです。
何故でしょうか。
「フリージア?どうしたの 変な顔して」
「変な顔ってなんですか お母様」
「百面相してて面白いわよ?貴方」
お母様に指摘されて頰をムニムニ両手で揉んだ。
「ふふっ。ねぇフリージア 王太子様に会えなくて寂しい?」
お母様が笑顔で言ってきた。
「寂しい?何故ですか。寂しいわけないじゃないですか」
「そう?」
「そうです!」
クスクス笑いながらお母様が一冊の本を取り出した。
「じゃあ、これでも読んで暇つぶしをしたらどう?もう王妃教育も一通り終わっちゃったんでしょ?」
フリージアはその本を受け取ってタイトルを見ると首を傾げた。
「『悪役令嬢とヒロインの夢物語』?」
初めて聞く言葉ばかりの本。
「これ、面白いのですか?」
「人それぞれだと思うわ。フリージアの今後の参考になればいいなかなぁって」
今後の、参考、とは。
「はぁ…。わかりました。後程読んで見ます」
「そう?感想が楽しみだわ」
お母様は終始ニコニコしていた。
*
私は先程お母様から渡された本を閉じた。
「これよ。これだわ。私の、求めていた私の結末よ!」
このお話のように王太子様が平民の可愛い娘を好きになれば婚約者である私が捨てられる!!
「私、この悪役令嬢というものを目指しましょう」
こんなお話は夢物語だとわかっている。
だって、王太子様の相手は平民。
この物語の様になんの困難も無く結ばれる訳が無い。
それでも………。
「虐めってどうやってやるのでしょう」
ちくりとした痛みに蓋をして私は呟いた。
*
「あー。早くフィーアに会いたいなぁ。俺、なんでこんなところでこんな事してんだろ。早く家に帰りたい」
灰色の髪を風になびかせて黄色い瞳を闇夜に光らせた青年は賊の塊の上に座って呟いた。
「はぁ。まぁ、こいつら殺しとかないと俺の大切な家族が襲われてたんだけどさぁ」
そこはジェネラル公爵領の近くの森の中。
「はぁ。もう、7年だ。何故か7年もの間家に帰れてない。なんで」
青年は大きなため息をつく。
わかってる。あの、両親のせいだってわかってる。
こんな俺を次期領主にするんだ。
多少の試練は必要だろう。
でもさ……ねぇ。
領の近辺にいる賊を全てどうにかしてこいだなんてさぁ……。
地味にわからない所に潜んでるのが多かったから7年もかかってしまった。
その間にフィーアの婚約が決まってるし。
「あーーー。フィーアはどんな美人さんに成長してるんだろうなぁ」
まぁ、これで仕事は終わり。
やっと家に帰れる。
でも、帰った所でフィーアは一年もしないで学園に行ってしまう。
それに、フィーアは俺のこと覚えてくれてるかなぁ。
青年はもう一度屍になった賊の山の上てため息をついた。